2025年度前期の朝ドラ『あんぱん』(主演:今田美桜)の放送に続き、NHKは次期・次々期の朝ドラとして『ばけばけ』『風、薫る』を発表しました。
『ばけばけ』は怪談文学で知られる小泉八雲の妻・小泉セツをモデルにした異文化交流と語りの物語。
一方『風、薫る』は、明治期の女性看護師の先駆者たちを描くフィクションドラマで、看護の黎明期を背景に女性たちの生き様が描かれます。この記事ではそれぞれの作品のテーマ、キャスト、見どころをまとめて紹介します。
- 2025後期『ばけばけ』と2026前期『風、薫る』の基本情報
- 実在女性をモデルにした朝ドラの背景と見どころ
- “語り”と“看護”で描かれる女性たちの人生ドラマ
次の朝ドラ『ばけばけ』は怪談がつなぐ国際夫婦の物語
2025年度後期のNHK連続テレビ小説第113作として放送されるのが、『ばけばけ』です。
ひらがな4文字のユニークなタイトルに込められたのは、明治時代の日本で“語り継がれるもの”と“文化のはざま”を生きた人々の物語です。
本作は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルとしたフィクションで、語られざる名もなき人々の声を描く朝ドラとなります。
ヒロイン・松野トキは小泉セツがモデル
物語の主人公は松野トキ。彼女は旧松江藩の没落士族の娘で、明治の時代に翻弄されながらもたくましく生きる女性です。
そのモデルとなったのが、小泉八雲の妻・小泉セツ(1868〜1932)。11歳で織子として働き、再婚を経てハーンと出会い、国際結婚を果たした実在の女性です。
彼女の語った怪談話が、ハーンの名作群の源となったという史実が、本作の核になっています。
高石あかり×トミー・バストウが挑む異文化夫婦役
松野トキを演じるのは、オーディションで選ばれた若手実力派女優・高石あかり。
そして、ハーンに相当する英語教師・ヘブン役には、世界的俳優トミー・バストウが抜擢されました。
国内外から注目を集めるキャスティングは、“文化を越えた絆”を説得力ある形で描いてくれるはずです。
ふじきみつ彦脚本による“静かで不思議な日常”描写に注目
脚本を手がけるのは、Eテレ『みいつけた!』や『デザイナー渋井直人の休日』『きょうの猫村さん』で知られるふじきみつ彦。
日常のなかの違和感や愛おしさを描く作風が持ち味で、怪談という“非日常”との接点をどう表現するかにも大きな期待が寄せられています。
異文化と怪談、そして貧しさの中に光るユーモア──その融合が、このドラマ最大の見どころになるでしょう。
『ばけばけ』の物語と舞台|松江から始まる「へんてこな暮らし」
『ばけばけ』の舞台は、明治時代の島根県・松江から始まります。
武士の時代が終わり、時代の波に取り残された人々の中で育ったヒロイン・トキは、“生きづらさ”を抱えたひとりの女性として物語に登場します。
松江という土地が持つ湿り気のある情緒と、日本文化と西洋文化が交錯する時代背景が、物語の魅力をさらに深めています。
貧困・偏見・怪談を通して心を通わせるふたり
ヒロインのトキは、父の事業失敗により極貧の生活を余儀なくされます。
そんな中で彼女が出会うのが、松江に赴任してきた外国人英語教師・ヘブンです。
異文化、言葉の壁、そして世間の偏見という困難の中で、ふたりは怪談という共通の趣味を通じて心を通わせていきます。
一夜ごとに語られる不思議な話たちが、二人の関係性を少しずつ深めていく「語りの時間」となる様子は、見ている側にもじんわりと染み入る展開になるでしょう。
ラフカディオ・ハーンの世界観と明治の日本文化が交錯
本作は、実際に「怪談」を通じて日本文化を世界に伝えた小泉八雲の世界観を土台にしています。
幽霊や妖怪の話に、社会の影や個人の記憶が重なる構成は、ファンタジーでありながらドキュメントのような力を持ちます。
日常の中に潜む“異界”を丁寧に描く演出が、視聴者の想像力を刺激することでしょう。
松江・熊本・神戸・東京…歴史的都市を旅するドラマに
物語は松江から始まり、その後ヘブンの仕事に伴って、熊本、神戸、東京へと舞台が移っていきます。
それぞれの土地での人々との出会い、交流、そして別れが、トキとヘブンの成長と人生の深まりを映し出します。
実在の人物——嘉納治五郎や夏目漱石などとの関わりが描かれる可能性もあり、歴史好きにもたまらない作品となるでしょう。
2026年前期『風、薫る』は女性看護師の先駆けたちの物語
『ばけばけ』の次、2026年度前期のNHK朝ドラ第114作として放送されるのが、『風、薫る』です。
明治の文明開化の時代に、看護という新たな職業に挑んだ女性たちの姿を描く本作は、これまでの朝ドラとは異なる社会的テーマが際立っています。
まだ「看護婦」という職業が世間に認知されていなかった時代、彼女たちは人の命と向き合いながら自らの生き方を切り開いていきます。
見上愛主演、大関和&鈴木雅がモデルのW主人公
ヒロインの一人・一ノ瀬りんを演じるのは、注目の若手女優見上愛。
モデルとなったのは、日本の近代看護の黎明期を支えた大関和(1858〜1932)と鈴木雅(1857〜1940)という2人の実在の看護師です。
彼女たちは桜井女学校の第一期生として看護教育を受けた後、派出看護婦会を通じて現場に立ち、防疫や衛生の最前線で奮闘しました。
もう一人の主人公・大家直美役は現在オーディション中で、誰がW主演を務めるのかも注目を集めています。
文明開化の波と看護の誕生に立ち向かう女性たち
物語は1885年、日本で初めての看護婦養成所設立を契機に始まります。
看護の知識や倫理が未整備の中、新しい価値観と古い慣習の板挟みで揺れながらも、女性たちは懸命に学び、実践します。
「患者と向き合うとは?」「看護とは何か?」という本質的な問いが、視聴者にも深く響くテーマとして描かれるでしょう。
脚本は吉澤智子|社会と命に向き合う骨太な人間ドラマ
脚本を手がけるのは、『あなたのことはそれほど』『病室で念仏を唱えないでください』などで知られる吉澤智子。
医療や家族、命の重みを軸としたストーリー構築に定評があり、今回の看護ドラマでもその筆力が発揮されることは間違いありません。
『風、薫る』というタイトルが示すように、新しい時代の風と共に女性たちがどう薫り立つのか、見届けたくなる作品です。
『風、薫る』のあらすじと期待の人物像
『風、薫る』は、近代日本における“看護”の誕生を背景に、2人の女性の人生を描くフィクションドラマです。
シングルマザーとなったりんと、教会で育った直美という、異なる境遇に生まれた女性たちが、看護婦養成所で出会うところから物語が始まります。
やがて2人は同じ志を抱き、困難な現実の中で“命を守る”という使命に向き合っていくのです。
時代に翻弄されながらも前進する二人のナース
りんと直美は看護の知識を学びながら、明治という混沌とした時代を生き抜いていきます。
社会からの理解がまだ得られていない中での看護業務、女性であるがゆえの偏見、そして家族や愛にまつわる試練が彼女たちを待ち受けています。
特にりんは職場を追われるなど、苦しい局面に立たされながらも、自分の人生と理想を諦めません。
大山捨松や清水卯三郎ら実在の歴史人物との出会い
物語には、鹿鳴館の華・大山捨松や、明六社の商人・清水卯三郎といった歴史上の人物も登場。
彼らとの出会いが、主人公たちの考え方や人生観を大きく変えていきます。
時代の“風”に乗りながら、弱き者を支える力とは何かを模索する展開が期待されます。
コレラや赤痢に立ち向かう“命を守るヒロイン”の成長物語
明治後期、日本各地ではコレラや赤痢といった感染症が猛威を振るっていました。
その中で看護師として立ち上がるりんと直美は、「誰かの命のそばにいる強さ」を学んでいきます。
一度は離れた2人が再び手を取り合い、疫病という大敵に挑む姿は、感動と勇気を与えるクライマックスとなるでしょう。
今を生きる私たちにとっても、支え合うこと、働くこと、命を守ることの本質を見つめ直すヒントになるような物語になるはずです。
ばけばけ・風、薫るの注目ポイントまとめ|あんぱんの次はどんな朝ドラ?
『あんぱん』の感動冷めやらぬ中、続いて放送されるのが『ばけばけ』『風、薫る』という2つの個性豊かな作品です。
いずれも実在の女性をモデルにしながら、異なる時代とテーマで描かれており、朝ドラの新たな潮流を感じさせます。
どちらの物語も、“静かな強さ”を持った女性たちの生き様を丁寧に追いかける構成が魅力です。
ひらがな4文字タイトルが続く新シリーズの共通点
『おむすび』『あんぱん』『ばけばけ』『風、薫る』と、短く覚えやすいタイトルが続く近年の朝ドラ。
それぞれの言葉に“手に取れる日常感”や“情緒”が込められており、視聴者の記憶に残りやすい工夫が感じられます。
タイトルから作品の温度を感じ取れる点も、近年の朝ドラの特徴となっています。
女性たちの“語り”と“看取り”を描く2作品の対比
『ばけばけ』では怪談を語ること、『風、薫る』では看護を通じて命と向き合うことがテーマ。
どちらも“言葉を介して誰かに寄り添う”という行為が共通して描かれており、静かで深い感情のやりとりが胸を打ちます。
語り=心の救済、看取り=命の尊厳。それぞれの手段で誰かを支える女性たちの姿は、多くの共感を呼ぶはずです。
あんぱん〜ばけばけ〜風、薫るへと続く時代と心のリレー
『あんぱん』で描かれた昭和戦前の時代から、『ばけばけ』で遡る明治の国際交流、そして『風、薫る』での医療と女性の自立へ。
これら3作品は時代の流れとともに変わっていく女性の立ち位置を、丁寧につないでいます。
どの時代にも「生きること」に悩み、「誰かのために生きる」ことを選ぶ人がいたというメッセージが感じられるシリーズになるでしょう。
これからの朝ドラも、ただの“朝の物語”ではなく、現代の私たちに問いかける人生の教科書として、多くの人の心に残ることが期待されます。
- 2025後期朝ドラ『ばけばけ』は怪談好きの国際夫婦の物語
- モデルは小泉八雲の妻・小泉セツ
- 2026前期朝ドラ『風、薫る』は看護黎明期を描くドラマ
- W主人公の女性たちが命と向き合う姿に注目
- 2作とも“ひらがな4文字”の情緒あるタイトルが印象的
- 時代と心をつなぐ朝ドラ3作品の流れが楽しめる
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