
相棒9 第10話 元日SP『聖戦』ネタバレ感想 狂気は“母性”を纏う──「復讐の限界点」
それは、もはや推理ドラマではなかった。『相棒season9』正月スペシャル第10話「聖戦」は、南果歩演じる一人の母親の“静かなる復讐劇”を描く異色作。視聴者に突きつけられるのは、正義の境界線でも、トリックの妙でもなく、「喪失を抱えた人間が、どこまで壊れてしまうのか?」という命題だった。視聴後に残るのは、事件の全容よりも、母・寿子と妻・夏実、そして母を亡くす江上の姿を通して描かれる“女たちの戦い”の記憶。そのすべてが、胸をえぐる。今回は、『相棒』という枠を超えて「母と復讐」について問いかける本作を、感情の導火線に火をつけるキンタの思考で解剖していく。