異色の大抜擢！「べらぼう」に登場した“ひょうろく”とは何者か？

NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に突如として登場した“ひょうろく”という名のキャラクターに、ネットが騒然となっています。

演じるのはバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』で話題を集めたピン芸人・ひょうろくさん。大河初出演とは思えぬ抜擢に驚きの声が上がる中、その役柄である松前廣年とはどのような人物なのでしょうか。

この記事では、「ひょうろく」＝松前廣年の人物像、兄・道廣との対比、そして彼がドラマの物語にどのように関わっていくのかを詳しく解説します。

「ひょうろく」＝松前廣年とは？──自由と誠実の狭間で揺れる江戸家老の素顔

NHK大河ドラマ『べらぼう』に登場する「松前廣年（まつまえ・ひろとし）」。

一見すると地味な家老の役柄ですが、その人物像には「自由」と「誠実」が共存する独特の魅力が詰まっています。

演じるのは異色の大抜擢となった芸人・ひょうろくさんであり、そのキャスティングもまた注目を集めています。

蠣崎波響の画名を持つ“心優しき芸術家”

松前廣年は実在の人物であり、江戸時代後期の松前藩家老にして、画号「蠣崎波響（かきざき・はきょう）」としても知られる文化人です。

彼はアイヌ文化に深い関心を寄せ、自らの絵にその暮らしぶりを記録しました。

政治家でありながら、筆を通して“人間”を描こうとした姿勢には、当時としては非常に先進的な思想が感じられます。

『べらぼう』では、そうした文化人としての一面が、物語に深みと優しさをもたらしているのです。

兄・松前道廣との対比で際立つ性格と運命

松前廣年の兄は、松前藩の藩主・松前道廣。

道廣は現実的で統治者らしい人物として描かれる一方、廣年は誠実で真っ直ぐな気質を持つ“人のために泣ける男”として物語の中に立っています。

その違いは、兄弟でありながら、真逆の生き方をしてきた二人の人生の縮図とも言えるでしょう。

廣年の視点は、蔦屋重三郎のような奔放な人物に対して、良識や共感をもって接する“緩衝材”のような役割も果たしています。

彼の存在があるからこそ、激動の時代を人間的に描く『べらぼう』の世界が成立するのです。

“水ダウ芸人”から大河へ──ひょうろく本人のコメントと抜擢の背景

まさかの大河出演に視聴者も驚いた「ひょうろく」さん。

バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』で一躍話題となった彼が、NHK大河ドラマ『べらぼう』で松前廣年役を演じるという異色のキャスティングが話題を呼んでいます。

芸人から本格時代劇への挑戦、その舞台裏には、本人の強い覚悟と誠実な姿勢がありました。

大河初出演で語られた“ドキドキのかつら体験”

ひょうろくさんは出演決定後、取材にて「最初にカツラをかぶった瞬間、心の中で『やった！』と叫びました」と語っています。

大河ドラマという日本最高峰の時代劇の現場で、衣装や所作、セリフ回しに真摯に向き合ったことが伝わるコメントでした。

周囲の俳優陣からのサポートも厚く、現場では「ひょうろくさん」としてではなく、一人の“松前廣年”として扱われていたといいます。

それに応えるように、ひょうろくさんは緊張しながらも丁寧に役を演じ、

その真面目な姿勢が制作陣からも高く評価されたとのことです。

ピンボケ写真騒動の真相と「裏さらば」の裏話

ひょうろくさんといえば、『水曜日のダウンタウン』で披露された“ピンボケ写真”ネタで強烈な印象を残した芸人。

その際の“話題の写真”がSNSでも拡散され、「なぜこの人が大河に！？」という驚きと笑いが巻き起こりました。

さらに、彼が所属するグループ「裏さらば」が、“さらば青春の光”の公認（？）派生コンビだったこともネット上で話題に。

しかし、バラエティでの立ち位置とは裏腹に、ひょうろく本人は演技にも芸にも真剣に向き合う職人肌です。

その“ギャップ”こそが、彼の持つ人間的な魅力であり、今回の大河出演においても、

笑いと誠実さを併せ持つ新しい風として注目を浴びているのです。

松前廣年の生き方が『べらぼう』に与える意味とは？

『べらぼう』の物語の中で、松前廣年の存在は決して派手ではありません。

しかし、その静かな誠実さと優しさが、激しく動く物語に安定感と“人間味”をもたらしているのです。

一見、歴史の大波に翻弄される脇役に見えながら、彼の視点こそが現代人に響く“共感”の軸となっています。

吉原文化に翻弄される“誠実な男”の視点

蔦屋重三郎や吉原の人々は、時に破天荒で、自由奔放に生きています。

その世界観の中にあって、松前廣年は「誠実で真っ直ぐな人間」の代表として描かれています。

彼のような人物が、吉原の華やかさや人情に触れ、戸惑いながらも人と向き合っていく姿は、視聴者の視点と重なる部分が多くあります。

誰かを裏切ることもなく、虚飾に踊ることもなく、「自分にできること」を淡々と果たしていく姿──

それは、江戸の時代にあっても、今の時代にあっても共通する“人間の美しさ”です。

蔦屋重三郎との関わりが物語にもたらす“人間味”

重三郎のような型破りな存在が輝くためには、それを受け止める“地の人間”が必要です。

松前廣年はまさにその存在であり、重三郎の「やりすぎ」を許容する懐の深さが、2人の関係をより人間的に描いています。

対立でもなく、称賛でもなく、理解と受容の距離感。

その絶妙なバランスが、視聴者に「こんな友がほしい」と思わせる関係を成立させているのです。

ひょうろくさんの演技が醸し出す、不器用だがまっすぐな人間らしさ。

それこそが、『べらぼう』の中で最も“現代的”な価値観を映し出しているのかもしれません。

「べらぼう」「ひょうろく」──異色キャストが描き出す新たな大河の魅力とは

『べらぼう』におけるひょうろくさんの起用は、大河ドラマの常識を覆す“異色のキャスティング”でした。

しかしその存在は、物語の中で違和感なく溶け込み、むしろ新たな大河の可能性を提示する結果となっています。

演技経験の少なさを感じさせない自然体な演技は、視聴者に親近感と感動を与えているのです。

芸人だからこそ伝えられる“優しさと滑稽さ”

芸人としてのキャリアを持つひょうろくさんには、人の感情の“機微”に敏感な感覚があります。

笑いとは、緻密な観察と共感の産物であり、それは演技にも通じる力。

彼が演じる松前廣年には、真面目さの中にふとした滑稽さや、優しさゆえの迷いがにじみ出ています。

そのバランス感覚こそが、大河という重厚な物語に、“人間くささ”というリアリティを与えているのです。

視聴者がひょうろくに共感する理由

SNSでは「ひょうろくさん、思った以上にうまい！」「なんか応援したくなる」といった声が多く見られます。

それは彼の演技力だけでなく、“無名の芸人が大河で一所懸命に生きる姿”が重なるからでしょう。

どこか不器用で、でも真っすぐで、懸命に役を全うしようとするその姿に、

私たちは自分自身の姿を重ね、心を動かされるのです。

『べらぼう』という物語の中で、

ひょうろくが演じる松前廣年は、決して派手ではないが、確かな温かさを宿すキャラクターです。

その存在が、新しい時代の大河ドラマに静かな革命を起こしているのかもしれません。