ドラマ『舟を編む』ロケ地ガイドと“静けさ”を感じる聖地巡礼のすすめ

舟を編む~私、辞書つくります~
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ドラマ『舟を編む ~私、辞書つくります~』は、静かで丁寧な時間が流れる作品。セリフの行間、目線の揺らぎ、空気の匂いまで感じられるような映像美に、胸がじんわり温かくなった人も多いのではないでしょうか。

そんな『舟を編む』の世界観を支えていたのが、数々の実在ロケ地たち。物語の舞台となった編集部や大学、下町の坂道や料理屋は、どれも“言葉”を大切にするこのドラマにぴったりの空気感をまとっています。

この記事では、ドラマファンなら一度は訪れてみたくなる『舟を編む』のロケ地を、心を添えるように紹介していきます。観光ではなく、“物語を歩く旅”に出てみませんか?

この記事を読むとわかること

  • ドラマ『舟を編む』の主要ロケ地の実在場所とその魅力
  • 静かな街並みと風景が物語に与えた深い意味
  • “言葉を旅する”聖地巡礼の楽しみ方とマナー
  1. 『舟を編む』のロケ地巡りは“静けさを味わう旅”から始めよう
    1. 物語に流れる静寂は、ロケ地の空気感から生まれていた
    2. ロケ地巡り=「写真を撮る」ではなく「物語を感じる」こと
  2. 編集部の撮影地は越中島STビル──“言葉と向き合う場所”のリアル
    1. 編集部の内観はセット、屋上や廊下は実在のオフィスビルで撮影
    2. 外観には複数の建物を使用、編集の“迷い”を空間で表現
  3. “月の裏”のしっとりとした空気感──神楽坂と浅草に溶け込む名シーン
    1. 外観は浅草の「浅草じゅうろく」、内装は神楽坂の風情がモデル
    2. ロケ地は2つの街を組み合わせて“理想の店”を再現
  4. みどりが暮らした「早雲荘」は根津スタジオ──昭和の懐かしさを纏う舞台
    1. 根津スタジオが持つ木造の温もりが、日常のやさしさを演出
    2. 他ドラマでも使用される“生活感を持つロケスタジオ”の魅力
  5. 馬締が通った大学は城西大学坂戸キャンパス──知性と静けさの象徴
    1. クラシカルな薬学部21号館が“言葉を学ぶ場”にふさわしい
    2. 図書館シーンは他施設の可能性も? 本と向き合う時間の演出力
  6. 印象的な坂道と下町風景──谷根千や芝浦が物語に色を添える
    1. 夕凪橋やモノレール高架下、下町風景が語りかけてくる
    2. 神保町・谷中・根津の“歩く文学”のようなロケーション
  7. トーハン本社で描かれた“辞書を支える人たち”の現実
    1. 企業の会議室が持つ“真剣さ”が、物語に深みを与える
    2. 食堂シーンに込められた“職場の日常”の尊さ
  8. SNSから判明した“隠れロケ地”で物語の余白をたどる
    1. ファンの目撃情報がつないだロケ地の点と線
    2. 駒場や銀座など、“会話の余韻”が残る空間たち

『舟を編む』のロケ地巡りは“静けさを味わう旅”から始めよう

「このドラマは、音のない時間が心地いい」

そう思ったのは、第一話の終わり、馬締が辞書に向かって静かにペンを走らせるシーンを観たときでした。

ドラマ『舟を編む ~私、辞書つくります~』は、誰かとぶつかったり、派手な出来事が起きるわけではないのに、心にすっと入ってくる──そんな不思議な引力を持っています。

物語に流れる静寂は、ロケ地の空気感から生まれていた

このドラマがまとっている“静けさ”は、撮影された場所の空気に助けられていたと思います。

たとえば、編集部の屋上で風がそっと髪をなでる場面。そこに吹いている風は演出ではなく、本当にその場所に流れていた空気そのものなんです。

神楽坂の路地裏でみどりが立ち止まるシーン、芝浦の橋の上で馬締が景色を見つめるシーン──どれもが“言葉にできない感情”を映すための場所であり、風景そのものが台詞になっているような印象さえ受けました。

このロケ地たちには共通して、「わざとらしさのない日常」が流れているんです。

そこには観光地のような賑やかさも、劇的な美しさもないけれど、確かに人が暮らしている空気がある。

そんな場所だからこそ、辞書を編む人々の“淡々とした情熱”がリアルに映えるんだと思います。

ロケ地巡り=「写真を撮る」ではなく「物語を感じる」こと

「ロケ地巡り」って聞くと、SNSに写真をアップしたり、聖地の前でポーズを決める…そんな旅を想像する人も多いかもしれません。

でも、『舟を編む』という作品において、ロケ地巡りはもっと静かで、内省的なものだと思うんです。

例えば、谷中の坂道をゆっくり登るとき。

「この坂、みどりが自転車を押して歩いてたよね…」

そんなふうに、誰かの気持ちにそっと自分の感情を重ねる時間が訪れます。

ただ歩いて、ただ立ち止まって、深呼吸してみる。それだけで、心のどこかに言葉にならない感情が流れ込んでくる。

わたしが神楽坂の兵庫横丁を訪れたときもそうでした。

夕暮れの石畳、店先のちょうちん、遠くから聞こえる三味線の音。

スマホを構える手を下ろして、その風景に浸ったとき、ドラマの“あの空気”と、自分の今が静かに重なった気がしたんです。

旅って、何を見たかじゃなくて、どう感じたかが大事だと思う。

だからこの作品のロケ地巡りは、「言葉の旅」であってほしい。

写真に残すよりも、自分の記憶にそっとしまう旅──それが『舟を編む』にふさわしい聖地巡礼のかたちじゃないかなって、私は思います。

“静かな作品”には、“静かな旅”がよく似合う。

ドラマの中で心を動かされたあの瞬間を、今度は自分の足でたどってみてください。

言葉がつむがれる背景には、こんなにも豊かな風景があったのだと、きっと気づけるはずです。

編集部の撮影地は越中島STビル──“言葉と向き合う場所”のリアル

言葉をひとつひとつ拾い上げて、丁寧に並べていく──。

『舟を編む』の舞台である玄武書房の編集部は、まさにその“静かな情熱”が息づいている空間です。

画面越しでも伝わるその重みと温度には、実在する場所の空気感が確かに影響していると感じました。

編集部の内観はセット、屋上や廊下は実在のオフィスビルで撮影

『舟を編む』の中で何度も登場する場所といえば、やはり玄武書房の編集部

辞書という“終わりのないもの”をひたむきに編み続ける彼らの職場は、静かな熱気と、無数の言葉が生まれては並べ替えられていく、そんな凛とした空気を纏っています。

あの空間の雰囲気に魅せられて、「ここ、実在する場所なのかな?」と気になった方も多いはず。

実際、編集部の内観シーンの多くはセットで撮影されているそうですが、廊下や屋上といったシーンでは「越中島STビル」が使われていたことが明らかになっています。

この越中島STビルは、東京都江東区に実在するオフィスビルで、現代的な造りの中に落ち着きも感じられる、まさに“辞書編集”という静かな職業を支えるにふさわしい空間なんです。

特に、屋上でキャラクターが黙って空を見上げるシーン──そこには何も語らずとも、「この仕事に向き合う覚悟」がにじみ出ていました。

階段の踊り場や廊下も含め、あの場所に立つだけで、言葉と向き合う背中の気配を感じることができるはずです。

外観には複数の建物を使用、編集の“迷い”を空間で表現

もう一つ面白いのは、編集部の“外観”が一つの建物だけではなかったという事実。

ドラマでは、遠景として「芝浦スクエアビル」、近景には「日本電気計器検定所 別館2号館」が使用されており、場所によって編集部の“顔”が変わっているんです。

これは、映像的な工夫でもあり、同時にこのドラマが描く“言葉の世界”の不確かさや曖昧さを象徴しているようにも感じられました。

一つの建物に定まらない編集部の姿──それは、辞書というものが常に進化し、形を変えていくものだというメッセージのようにも思えるのです。

私はこの事実を知ってから、改めて編集部のシーンを見直しました。

すると、確かに「この入口の角度、さっきと違うかも…」とか、「この階段、前回とは別の場所かも?」といった発見がいくつもあって。

作品が意図的に“揺らぎ”を演出しているという視点で見ると、その奥にある制作陣の緻密なこだわりが伝わってきます。

ロケ地としての「越中島STビル」や「芝浦スクエアビル」は、普段は何気ないオフィス街の一角かもしれません。

でも、そこに物語が宿ることで、ただの“場所”が“言葉を生み出す舞台”へと変貌する

この変化を目の当たりにできるのが、ロケ地巡りの醍醐味だと私は思っています。

編集部に憧れた人も、あの屋上で風に吹かれてみたくなった人も、ぜひ一度越中島の辺りを歩いてみてください。

街の喧騒から少し離れたその場所で、あなたもきっと“言葉と向き合う時間”に出会えるはずです。

“月の裏”のしっとりとした空気感──神楽坂と浅草に溶け込む名シーン

仕事の疲れがじんわりと残る帰り道、ふと立ち寄りたくなる場所。

ドラマ『舟を編む』に登場する小料理屋「月の裏」は、そんな“心の居場所”のような存在でした。

誰にも言えないことを抱えた夜も、あの店の明かりとぬくもりに救われる──そんな空気が画面越しにも伝わってきましたよね。

外観は浅草の「浅草じゅうろく」、内装は神楽坂の風情がモデル

「月の裏」って、どこか実在するんじゃないかって思わせるリアリティがありました。

実は、あの印象的な外観は、東京都台東区にある浅草の名店『浅草じゅうろく』が使われているんです。

もともと落ち着いた和モダンな佇まいのお店に、ドラマ用の装飾を加えて「月の裏」として仕立てられたそう。

ほんのりオレンジの照明、格子の影、控えめな暖簾……どれもがしっとりと胸に染み入る、“大人の隠れ家”の風格を醸し出していました。

そして、あの静かに話が弾むカウンターや、奥の座敷のやわらかな灯りは、神楽坂の小路から着想を得た演出

兵庫横丁や芸者小道といった、風情あるロケ地が背景に選ばれていることで、店全体に“記憶の中の和の情景”を映し出すような仕掛けがされていたんです。

つまり、「月の裏」という空間は、浅草と神楽坂のエッセンスを掛け合わせた、架空のようで実在する場所

それは、視聴者の「行ってみたい」という感情をそっと刺激しながらも、どこか“心の中にだけある”店のようにも思えてしまうんです。

ロケ地は2つの街を組み合わせて“理想の店”を再現

「月の裏」は、ただの居酒屋ではありません。

キャラクターたちが言葉では言いきれない感情をそっと零していく場所であり、彼らの“心の揺らぎ”が丁寧に映される舞台です。

そんな繊細なシーンを支えるために、制作陣は神楽坂と浅草という、空気の違う2つの街を融合させるという選択をしたのだと思います。

浅草の下町らしさは、ちょっとした親しみや温かさを。

神楽坂の静けさと雅な雰囲気は、心に降り積もるような時間の流れを。

この“二層構造”が、「月の裏」を唯一無二のロケ地として成立させたのです。

私自身、ロケ地巡りで神楽坂の路地を歩いたとき、ふと“ここで誰かが何かをこぼした気がする”という残像を感じました。

それはもしかしたら、作品の中の余韻が、まだ街に残っていたからなのかもしれません。

ロケ地巡りって、単なる“見学”じゃないんですよね。

むしろ、「自分の心と登場人物の感情を、そっと重ねる時間」だと思うんです。

「月の裏」があった路地裏に立ったら、あなたもきっと、言葉にならないぬくもりを感じ取れるはず。

それは、ドラマを観たときに胸の奥に残ったものと、同じ色をしていると思います。

みどりが暮らした「早雲荘」は根津スタジオ──昭和の懐かしさを纏う舞台

玄関の引き戸、細い階段、どこか湿った木の匂い。

ドラマ『舟を編む』でみどりが暮らすアパート「早雲荘」は、そんな懐かしさを静かに呼び起こしてくれる場所でした。

新しい生活に不安を抱えながらも、この小さな部屋で彼女は少しずつ変わっていく──その変化を、まるで住まいそのものが受け止めてくれているような、そんな温度がありました。

根津スタジオが持つ木造の温もりが、日常のやさしさを演出

「早雲荘」は実在のアパートではなく、東京都台東区にある『根津スタジオ』で撮影されたセットです。

でもその佇まいは、まるで昭和の下町に今も残る長屋のようで、「あ、うちのおばあちゃんの家、こんな感じだったな…」と懐かしくなる人も多いのではないでしょうか。

根津スタジオの特徴は、本物の古民家を改装した“暮らしの空気が残る”スタジオであること。

壁のシミも、きしむ床板も、少し暗い階段も──全部がリアルで、どこかほっとする。

完璧じゃないからこそ、人が住んでいたぬくもりがある。それが、このスタジオが選ばれた理由なのだと思います。

みどりの部屋は狭くて、使い勝手がいいとは言えない。

だけど、そこで彼女がインスタント味噌汁を飲んでいたり、寝転がって空を見ていたりする姿は、何より“生活”を感じさせるんですよね。

その自然さは、根津スタジオというロケ地の力に支えられていると思います。

他ドラマでも使用される“生活感を持つロケスタジオ”の魅力

実はこの根津スタジオ、NHKの他作品でも何度も使われている“名ロケ地”でもあります。

たとえば、朝ドラ『半分、青い。』や『恋せぬふたり』などでも、このスタジオが登場していて、昭和の風情や静かな生活感を描くドラマには欠かせない存在となっています。

セットとはいえ、根津スタジオの魅力は“作られすぎていないこと”。

それが、登場人物たちの心の揺らぎを、自然に映し出す空間になっているんです。

実際には一般公開されておらず、中に入ることはできません。

でも、根津周辺の町並みを歩くだけでも、作品の空気に触れることはできるはずです。

谷中銀座を抜けて根津神社までの道を、ゆっくり歩いてみてください。

木漏れ日と猫と、ちょっと古いコンクリートの匂い──そのすべてが、みどりの生活に重なって見えるかもしれません。

「新しい場所で、自分を見つける」

そんな彼女の物語に寄り添うように、ロケ地にもそっと心を重ねてみてください。

きっとあなた自身の“原風景”とも繋がっていく、やさしい時間になるはずです。

馬締が通った大学は城西大学坂戸キャンパス──知性と静けさの象徴

「言葉は、誰かの人生そのものだと思う」

そんな台詞が似合うのが、馬締という人物でした。

彼が学生時代を過ごした大学の風景は、派手さはないけれど、どこか品があって、静かに思考する時間を大切にしているように感じました。

クラシカルな薬学部21号館が“言葉を学ぶ場”にふさわしい

馬締が通っていた大学のロケ地として使われたのは、埼玉県にある城西大学 坂戸キャンパス

なかでも薬学部21号館のクラシカルな建物が、あの“文学の香り”漂う講義棟として登場しています。

窓枠のデザイン、少し古びた白い壁、どこか外国の大学のような空気感──そこには、馬締の内面を映す静謐さが宿っていました。

東京から少し離れた坂戸の自然に囲まれたキャンパスは、まさに「自分と向き合う時間」にぴったり。

にぎやかなキャンパスライフとは違って、一人で考え込むための“余白”がある大学なんです。

馬締が通う姿を想像しながらこの場所を訪れると、なんでもない校舎の壁や階段が、どこか詩的に見えてくるから不思議です。

「言葉と向き合うって、きっと孤独なことなんだ」

でも、この建物に吹く風は、その孤独をやさしく受け止めてくれているように感じました。

図書館シーンは他施設の可能性も? 本と向き合う時間の演出力

もうひとつ印象的だったのは、馬締が辞書を手に静かに読みふけっていた図書館のシーン

このシーンについては、城西大学ではなく、別の図書館で撮影された可能性があると言われています。

候補として挙がっているのは、早稲田大学の中央図書館や、旧東京女子師範学校のような歴史ある施設。

どちらも、高い天井と木の本棚が印象的な“本の聖域”のような場所です。

本に囲まれていると、人は自然と静かになる。

その空気感を演出するために、実際の図書館のもつ“音のないドラマ”が選ばれたのだと、私は感じました。

辞書を読むことは、情報を得るというより、「言葉そのものに出会い直す」こと。

そんな時間を映し出すには、空間そのものに重みがなければいけません。

図書館の光と影、ページをめくる音の静けさ、そして人のいない机。

すべてが、馬締という人物の孤独と誠実さを、丁寧に語ってくれていた気がします。

大学ロケ地は、ただの背景ではなく、“人物の心の奥”を写す鏡のような存在。

もしあなたが坂戸まで足を運ぶなら、写真を撮るだけでなく、少し立ち止まってみてください。

その風の中に、馬締が通った時間の余韻が、今もそっと残っているかもしれません。

印象的な坂道と下町風景──谷根千や芝浦が物語に色を添える

このドラマを観ていて、ふと涙がこぼれそうになる瞬間がありました。

それは誰かが泣いたときでも、告白したときでもなく、ただ歩いている後ろ姿に、心が揺れたときでした。

『舟を編む』は、登場人物の心情を風景で語る作品です。そしてその舞台になっているのが、谷根千や芝浦といった、東京の“静かな顔”を持つ下町たちでした。

夕凪橋やモノレール高架下、下町風景が語りかけてくる

港区芝浦の「夕凪橋」、名前の響きからしてもう詩的ですよね。

ドラマの中では、馬締やみどりが何度も言葉を交わした場所として登場しました。

風が少し強くて、川の音がかすかに聞こえる。

その静けさが、むしろ感情を引き立てるようなシーンがたくさんあったのを覚えています。

特に印象的だったのは、東京モノレールの高架下で交わされる短い会話。

鉄の柱に囲まれた無機質な風景なのに、そこにはなぜかあたたかさがある。

都市の隙間に生まれたようなロケーションが、“言葉にできない感情の置き場所”になっているようで、私は何度も胸をつかまれました。

下町のロケ地って、派手さはないけれど、誰かの記憶の底にふれるような力がある気がします。

たとえば、芝浦の路地を歩いていると、ふと画面の中から馬締の声が聞こえてくるような気がする。

それって、風景が語りかけてきてるんですよね。セリフの代わりに、場所が感情を伝えてくる──そんなロケーションがこのドラマにはたくさんありました。

神保町・谷中・根津の“歩く文学”のようなロケーション

谷中、根津、千駄木──通称「谷根千(やねせん)」と呼ばれるこの一帯も、『舟を編む』の世界観にぴったりの場所です。

細い坂道、石畳、木造の民家。

昭和の名残をそのまま残すこのエリアは、派手ではないけれど、歩いているだけで物語が浮かんでくるような場所です。

実際にドラマでは、みどりが一人で考え事をする場面や、言葉にならないまま感情を抱えて歩くシーンで、この街並みが静かに背景を支えていました。

石畳に落ちる影、ゆれる木漏れ日、どこからか聞こえる子どもの笑い声。

そんな日常の中に、“言葉を扱う人の孤独と誠実さ”が映し出されているようでした。

そしてもうひとつ忘れられないのが、神保町の古書店街です。

辞書という重たい存在に関わる物語の中で、本に囲まれた神保町という場所が登場するのは、とても象徴的なことだと思いました。

矢口書店や、並ぶ古書の棚は、ただの背景ではなく、ドラマの“言葉の重み”を支える静かな柱のように感じます。

「この場所に立つと、心が静かになる」

そんな感覚を大切にしながら歩くと、ロケ地巡りはただの観光ではなく、“言葉を旅する時間”に変わっていきます。

静かな坂道を歩きながら、馬締やみどりの足音を想像してみてください。

それだけで、今いるその場所が、自分だけの文学になる気がするから、不思議です。

トーハン本社で描かれた“辞書を支える人たち”の現実

『舟を編む』という作品は、主人公だけの物語ではありません。

辞書が一冊生まれるまでには、見えないところで汗をかき、悩み、支える人たちがいます。

それを丁寧に描いてくれたのが、ドラマに登場した「会社」の風景でした。

企業の会議室が持つ“真剣さ”が、物語に深みを与える

「あけぼの製紙」という企業名で登場したロケ地は、実際には新宿区東五軒町にある『トーハン本社』の会議室を使用して撮影されたものです。

大手出版取次会社であるトーハンは、実際に出版業界を支える“現場”のリアリティを提供してくれました。

あの会議室で交わされた言葉たちは、どれも華やかさはないけれど、言葉を扱う人たちの矜持が静かに滲んでいたと思います。

照明が落ち着いていて、テーブルは大きくて、壁には無駄がない。

その「余白」が、逆に登場人物の表情を引き立て、一言一言の“重さ”を強調していたのだと感じました。

あの場所で交わされる「辞書の未来」や「言葉の責任」にまつわる議論は、まさに私たちの言葉の使い方に問いかけてくるような気がしました。

舞台がリアルであればあるほど、台詞も生きる。

そういう意味で、このロケ地は“現実”を地続きにした重要な場所だったと思います。

食堂シーンに込められた“職場の日常”の尊さ

もうひとつ忘れられないのが、社員食堂のシーンです。

仲間と並んで定食を食べながら、何気ない言葉を交わす。

たったそれだけの場面が、こんなにも沁みるのはなぜなんだろう、と私は考えました。

この食堂もまた、実在するトーハン本社の社員食堂をそのまま使用して撮影されたそうです。

カフェテリア風ではなく、どこか昭和の香りが残る雰囲気。

“働く人の昼休み”の空気が、画面越しにも伝わってくる。

印象的だったのは、「サザエの漢字」をめぐる何気ない会話

辞書を作る人たちが、食事の合間にも言葉について語る。

それは、「職業病」ではなく、“ことばを愛している”人の習性なんだと思います。

食堂という場所が持つ、“個人”から“チーム”へとつながる空気。

誰かと食べることで、少しずつ心がほどけていくような時間。

それを演出するには、リアルな食堂であることがとても大事だったと感じました。

仕事に追われる毎日でも、ほんのひとときの「昼休み」が、その人を支えている。

あの食堂シーンには、そんな“職場の日常”の尊さが、丁寧に描かれていたと思います。

もしあなたが辞書づくりに魅せられたなら、SNSから判明した“隠れロケ地”で物語の余白をたどる

公式には語られない風景に、心を奪われることがあります。

『舟を編む』には、そんな“言葉にされなかった場所”がいくつもあって、

ファンの間では「ここ、もしかして…?」という小さな発見が、密やかに共有されてきました。

ファンの目撃情報がつないだロケ地の点と線

最近では、ロケ地の多くがSNS上の目撃情報から特定されているのをご存じでしょうか?

X(旧Twitter)やInstagramでは、「舟を編む 撮影してた!」「神楽坂でロケバス見た!」など、

視聴者や通行人のリアルな声が、新たなロケ地の“点”として浮かび上がってくるんです。

たとえば、港区芝浦の夕凪橋周辺では、何度もロケバスが目撃され、

その後、作中の橋のシーンと照らし合わせて「ここで間違いない」と話題になりました。

他にも、「根津で主演の二人を見た」「駒場のあのカフェにロケ隊がいた」など、

ファンの記憶が、ロケ地の点と点をつないで“地図”を描いていったんです。

こうして集まった情報は、どれもほんの一瞬の目撃談。

でも、それが作品の余韻を辿る“宝の地図”になると思うと、胸が高鳴りますよね。

正解がなくても、感じたものが確かなら、それもひとつの“聖地”

駒場や銀座など、“会話の余韻”が残る空間たち

特定の台詞やエピソードが残っていないシーンほど、印象に残っていたりします。

たとえば、駒場にあるカフェでは、主演の二人が並んで座っていたという目撃談がありました。

店名は公表されていませんが、その空間には“静かに会話が終わる時間”が流れていたのだと思います。

また、銀座フェニックスプラザでは、パーティーシーンの撮影が行われたという情報も。

煌びやかな会場の奥で、ひとり誰かが黙ってグラスを持っていた──そんな想像ができる場所です。

この他にも、たい焼きのシーンで登場した交差点や、

狛江の西河原公園なども、住民のSNS投稿から存在が明らかになった“隠れた名所”です。

作品を深く愛するファンたちが、ほんの少しずつ“風景のかけら”を拾い集めて、

やがてそれが物語の余白を補う、もうひとつの物語になっていく。

そんなつながり方も、ロケ地巡りの醍醐味のひとつだと思うのです。

そしてその“余白”の中には、自分自身の物語もきっと忍び込んでくるはず。

t(transparent 60%, #ffff00 0%);”>その裏側で働く人たちの“静かなドラマ”にも、ぜひ想いを寄せてみてください。

この記事のまとめ

  • ドラマ『舟を編む』の世界観を支えた静かなロケ地たちを紹介
  • 編集部・大学・料理屋・住まいなど実在の撮影場所を詳細に解説
  • 越中島、神楽坂、浅草、谷根千など“言葉と向き合う風景”が満載
  • トーハン本社での会議室・社員食堂も物語のリアリティを支える舞台に
  • SNS目撃情報から判明した“隠れロケ地”も多数掲載
  • 観光ではなく“物語の余韻を歩く旅”としてのロケ地巡りを提案
  • 写真を撮るより、風や音を感じる“言葉の旅”のすすめ
  • 静かな場所だからこそ守りたい、巡礼マナーや地域への配慮

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