『イカゲーム3』第4話ネタバレ考察｜命を賭けた“かくれんぼ”と母性の崩壊、ギフンが抱える決断の地獄

Netflixの韓国ドラマ『イカゲーム3』第4話では、シリーズ中でも指折りの衝撃展開が視聴者を襲う。注目のデスゲーム「かくれんぼ」がスタートし、登場人物たちは“信頼”“親子の絆”“自己犠牲”という感情に引き裂かれながら命の選択を迫られる。

特にギフンの揺れる心と、出産したばかりのジュニが迎える運命は、視聴者の心を容赦なく突き刺す展開だ。第4話のストーリー展開をネタバレありで追いながら、その裏に込められた演出意図やキャラ心理をキンタ式に読み解いていく。

この記事では、単なるあらすじを超え、「なぜこのシーンで涙が止まらなかったのか？」という“感情の構造”まで深掘りしていく。あなたの感情が震えた理由、すべてここにある。

第4話で最も揺さぶられるのは「命より大切なもの」を選ばされる瞬間だ

『イカゲーム3』第4話。静かに、そして確実に、視聴者の「理性」と「感情」を引き裂いていくようなエピソードだった。

今回のメインとなるのは、“かくれんぼ”という名のデスゲーム。

だがそれはただの子供の遊びではない。

“かくれんぼゲーム”のルールが示す「生存条件＝誰かの死」

第4話における“かくれんぼ”は、参加者たちが青と赤に分かれ、「逃げる者」と「殺す者」になるという地獄のゲームだった。

青ゼッケンは生き延びるために迷路の出口を探し、赤ゼッケンは一人でも殺せば勝利。

しかしこのゲームには、希望を持たせるような、残酷な“交換”制度があった。

「人を殺したくない者は、希望すれば青と赤を交換できる」――一見、良心に救いを与える仕組みに見える。

だが、視点を変えればこれは“死の役割を自分の意志で選ばされる”という、より過酷な心理的拷問に他ならない。

このゲームで起きたことは、ただの殺し合いではない。

それぞれが「誰かの命を奪わなければ生きられない」という現実にぶち当たり、

仲間を裏切るか、自分が死ぬか、という二択しか残されていない。

「殺すべきか、殺されるべきか」ではない。

“選ばされている”という構造こそが、このゲームの本質的な残酷さだ。

赤と青のゼッケンが描く“人間性の残酷なグラデーション”

ゲーム中盤、赤ゼッケンの1人がこう口にする――「殺せば殺すほど賞金が増える」。

これは視聴者に強烈な問いを投げかける。

人間は、“条件”が変われば、こんなにも簡単にモンスターになれるのか？

迷路の中では、同じ青ゼッケンの仲間すら裏切る者が現れる。

鍵を奪い、扉を閉じて、自分だけが助かろうとする。

希望という名の抜け道は、次の瞬間には「裏切り」の通路になってしまう。

一方で、何もせず終わる者もいる。

「誰も殺せなかった…」と絶望する若者の姿は、ただの敗者ではない。

“良心を保ったままでは、生き残れない”というテーマの象徴だ。

このゲームを見ていて、ふと自分にも問いが浮かぶ。

もし自分がこの状況にいたら、誰かを刺せるか？

仲間を裏切って生き延びた自分を、胸を張って愛せるのか？

『イカゲーム』がずっと問いかけてきたのは、

「正義」とは、「生きる価値」とは、誰がどう決めるのかという哲学だ。

第4話は、そのテーマを“かくれんぼ”という誰もが知る無垢な遊びに乗せ、

視聴者の感情にナイフを突き刺してきた。

子供の頃、あんなにも楽しかったはずの“かくれんぼ”が、

こんなにも血と涙で染まるとは思わなかった。

母性という希望が、無慈悲なゲームの中で崩れ落ちていく

イカゲーム3・第4話が刺してくるのは、暴力でも死でもない。

それは「希望だったはずの母性」が、むしろ命を追い詰める刃になるという逆説だ。

血と恐怖の迷路の中で、1人の女性が子供を産む。

それは“生”の象徴でもあるが、同時に“死”の引き金でもあった。

出産したジュニが示す「母になること」の覚悟と限界

ジュニの破水は、物語の空気を一変させた。

立体迷路の一角で、銃声と悲鳴が響く中、彼女はしゃがみ込み、赤子をこの世に産み落とす。

死が支配する空間で「生」が誕生した瞬間に、思わず画面の前で息を呑んだ。

この瞬間、視聴者の誰もが祈る。

「せめてこの赤ちゃんだけは…」と。

だがその祈りは、無情な展開に叩き落とされる。

ジュニは負傷し、逃げ場を失い、ついには自ら“落下”という選択をする。

それは、母として「守る」ための最終手段であり、「生きる」ことの放棄でもあった。

ジュニの顔に浮かんだ微笑が恐ろしい。

“これで子供だけでも生き延びられる”という信念と、“それ以外に道がない”という諦めが同居していた。

イカゲームは、母になるとはどういうことかを、過酷すぎる条件で突きつけてくる。

命を産むという「始まり」が、命を失うという「終わり」へ直結してしまうこの世界。

ジュニが示した母性は、もはや希望ではなく「贄（にえ）」だった。

クムジャの自己犠牲と、息子との断絶が引き起こす涙腺崩壊

そして第4話でもう一つ、見逃してはならないのがクムジャと息子・ヨンシクの対話なき別れだ。

クムジャはジュニの出産を助け、その命を必死で守ろうとする。

自らも青ゼッケンを選び、「殺される側」に回ることで、息子を殺人者にしないようにと最後の母心を差し出した。

だが、ヨンシクはそれでも母を刺せなかった。

葛藤の末、クムジャは自ら息子を刺し、彼を殺させずに死なせた。

誰も殺せなかった少年と、自分を殺させなかった母。

そのすれ違いこそが、この話の最大の痛みだ。

「お母さんは最後まで、あんたの“人間らしさ”を守ろうとしたんだよ」

この台詞がないのがまた、泣ける。

言葉ではなく、選択と行動ですべてを示したクムジャの姿に、誰もが涙腺を撃ち抜かれた。

さらに翌朝、クムジャは首を吊っていた。

彼女の死は、「贖罪」ではなく、「覚悟」だった。

そしてその死は、ギフンに“次の決断”を迫る伏線ともなっている。

クムジャとジュニ。どちらも母だった。

だが、2人が命と引き換えに守ろうとした赤子は、後に「第6ゲームの参加者」として再び舞台に立たされる。

それは“生まれる”ことさえも、ルールから逃れられないという宣告のようだ。

この回は、愛が命を救えない世界で、それでも誰かを愛そうとする人々の「破れた祈り」で満ちていた。

ギフンの「選べなさ」が視聴者の心を突き刺す

『イカゲーム3』第4話で、ギフンという男の輪郭が決定的に“歪んだ”瞬間がある。

デスゲームの只中で、彼は自分の手で仲間・デホの首を絞めた。

「お前のせいだ」――そう言い残して、デホは死んでいく。

それは、ギフンが背負わなければならなかった“失敗の代償”だった。

仲間を殺した男の後悔と、自分を許せない苦悩

第4話におけるギフンの表情は、もはや“生き残る”ことに意味を見出していないように見える。

仲間を殺した罪悪感、自分の無力さ、そして過去に背負ってきた“選ばなかった”ことへの悔い。

そのすべてが、彼を人間として壊し始めている。

「自分が信じた作戦は間違っていたのか？」

「誰かを守るために動いたつもりが、結果的に何も守れなかったのではないか？」

ギフンの苦悩は、視聴者の“自己投影”と直結している。

大切な人を守れなかった過去、選べなかった選択、そして“その先の後悔”。

こうした感情は、現実に生きる私たちにも少なからずある。

だからこそ、彼の葛藤が、私たち自身の記憶に傷をつけてくる。

“信じたい”という最後の灯火が、彼を何度も立ち止まらせる

この回で、ギフンはジュニを助けるため、再び危険の中へ戻ろうとする。

ギフンは本能的に、「信じることを諦めたら、もう人間じゃない」と知っていた。

だが、彼は同時に理解している。

信じ続けることは、自分自身をさらに壊していくという事実も。

希望と絶望の間で立ち尽くすギフンは、まるで「選択すること」そのものに呪われているようだった。

だからこそ、彼は“選ばない”という選択を繰り返してしまう。

その結果、クムジャは死に、ジュニは落下し、赤ん坊だけが残される。

選べなかったことで、彼はすべてを失っていく。

そして彼が選んだ「自殺未遂」すら、ピンクガードによって止められる。

ここで、彼はすでに“自分の人生を自分で選ぶ権利”すら奪われているのだ。

ゲームの主催者はルールを与えるが、ギフンはいつも「心」で選ぼうとし、それゆえに壊れていく。

この“選ばなさ”が、最終話の彼の「最後の選択」――つまり自らの落下へとつながる布石であることを思うと、

この回のすべてが、静かに痛みの地層を積み上げていたと気づかされる。

ギフンは悪人じゃない。ただ、ずっと“誰かのために選ぼうとして”間に合わなかっただけだ。

それがこんなにも苦しい理由は、

私たちが“間に合わなかった経験”をどこかに持っているからなのかもしれない。

ミョンギの葛藤と選択が、物語に静かに火をつける

『イカゲーム3』第4話の中盤、ひときわ静かな余韻を残すのがミョンギという男の葛藤と選択だった。

彼はかつての仲間・ジュニと再会し、赤ん坊と対面する。

だがその瞬間、彼は「この子と自分は無関係だ」と言い残し、迷路の奥へと去っていく。

それは“裏切り”だったのか？ それとも“逃げ”だったのか？

元仲間との再会に心が揺れた男が選んだ「去る」という選択

ミョンギは、ジュニの中にかつての「希望」を見た。

だがそれは同時に、自分がすでに捨てた“かつての自分”との再会でもあった。

ジュニが「あなたみたいなクズと子供は関係ない」と言ったのは、彼を突き放す言葉だった。

だが、それ以上に、彼の良心を突き刺す刃でもあった。

この一言で、ミョンギは「誰かの父親として生きる道」を完全に閉ざされた。

その瞬間、彼は黙って去る。

そこには泣きも怒りもない。

ただ、もう自分には“戻る場所がない”と悟った男の背中がある。

彼の「去る」という選択は、弱さではない。

むしろ“愛を知らぬ者”として生き延びるしかない男の、最後の矜持だった。

それでも彼はゲームを進める、「正しさ」ではなく「生き残り」のために

以降のミョンギは、感情を封じたかのように淡々とゲームを進めていく。

味方を作り、戦略的に人を落とし、まるで「人間を切り捨てる機械」のように振る舞う。

第5ゲームでは自分の生存を最優先に考え、ジュニを見捨てて跳躍し、ゴールに立つ。

だがそこにあったのは、勝者の表情ではない。

むしろ“敗者の笑顔を貼り付けた仮面”のようだった。

ミョンギは、ゲームでの勝利を通じて「正しさ」を捨てた。

彼はもう、“誰かを助ける”ことをしない。

それは失ったものが多すぎて、自分が誰かの希望になる資格すらないと知っているからだ。

だが同時に、この選択が後の展開で爆発的なカタルシスを生む「火種」になっていく。

かつて何も守れなかった男が、いつか何かを守る。

そう信じさせてくれる“余白”を、この回のミョンギは確かに残していた。

もしこのドラマが「人間は変われるのか？」という問いで終わるとしたら、

ミョンギはその最も重要な「実験体」なのかもしれない。

無言の演出に滲み出る、“誰かに見てほしかった”という心の叫び

イカゲーム3・第4話を観ながら、ふと思った。

このゲームって、なんでこんなに「視覚的に見せる」設計になってるんだろう？

逃げる者は走り、殺す者は追い、ジャンプして、落ちて、泣いて、叫んで。

このゲームのすべてが、まるで“誰かに見せるための演技”のようだった。

見てほしい、気づいてほしい――その“承認欲求”が人を人間にしていた

ジュニの出産も、ギフンの迷いも、ミョンギの背中も。

あの場面ひとつひとつに共通して流れていたのは、「誰か、見てくれ」と言いたげな空気だった。

これは日常でもよくある。

「頑張ってる自分」に誰かが気づいてくれなかった瞬間って、地味にしんどい。

泣くほどじゃない。でも、心のどこかがちょっと死ぬ。

イカゲームに出てくるキャラたちは、まさにその“ちょっと死んだ心”を抱えて生きてる。

だからこそ、ゲームの中でようやく“見てもらえる状況”になったとき、

ギフンは怒り、ジュニは産み、ミョンギは去った。

「誰かが見てくれる」だけで、人は最期の一歩を踏み出せる

ギフンがナイフを持ちながら自殺を踏みとどまったのも、

ミョンギが去ったあとに振り返らなかったのも。

それはたぶん、最後まで誰かに“見届けてほしかった”からだ。

第4話はそういう意味で、“人は1人では壊れない。誰にも気づかれないときに壊れる”という真実を、突きつけてくる。

たとえ絶望の中でも、視線がある限り、人は踏みとどまれる。

それを最も美しく、そして哀しく描いたのが、あのジュニの最期の眼差しだった。

誰かが自分の“正しさ”を見てくれると信じて、自分を手放した。

その瞬間だけは、確かに、ゲームではなく人生だった。

『イカゲーム3』第4話ネタバレまとめ｜感情が壊れ、選択が奪われる地獄

『イカゲーム3』第4話は、シリーズの中でもっとも“人間の内部”を破壊しにきた回だった。

殺し合いの中で、誰もが「選べなかった」「守れなかった」「耐えられなかった」。

生き残ったのは、選ばなかった者の屍の上に立った者たちだった。

「生きる」ことの意味を誰もが見失う回、それでも人は手を伸ばす

ギフンは仲間を殺し、クムジャは息子を刺し、ジュニは子を守って自ら落ちた。

どの行動も、強さではない。むしろ、壊れてなお誰かを守ろうとした人間の「最後の手」だった。

この物語が執拗に描いたのは、「生きる」ことが必ずしも希望ではない世界。

むしろ、「生きるために誰かを犠牲にしなければならない」という矛盾に満ちていた。

でも、それでも――人は手を伸ばす。

目の前の誰かを守ろうとして、自分の命を投げ出す人がいる。

だから、この話は希望がないのではない。

むしろ、「希望すらも人を壊す」ことを描くことで、より強烈な“生の美しさ”を浮かび上がらせている。

赤ちゃんが生まれるという“始まり”の物語が、逆説的に“終わり”を感じさせる

ジュニが産んだ赤子、それは確かに希望の象徴だった。

だが皮肉にも、彼女の命と引き換えに生まれたその命は、

フロントマンによって「222番」というゼッケンを与えられる。

生まれた瞬間から“ゲームの駒”として数えられる命。

それは、この物語が「この世界に生まれることそのものがゲームだ」と断言していることに他ならない。

ゲームにルールはあるが、正義はない。

選択肢はあるが、救いはない。

それでも、誰かが誰かのために死んでいく。

その死を誰かが覚えている限り、人は“人間”でいられるのだ。

この第4話は、そんな“感情の墓場”であり、“記憶の灯火”でもある。

心が骨折するようなラストを観終えたあと、僕は静かに思った。

「あの子が生まれた意味を、誰かが証明してくれる物語であってくれ」と。