2025年夏ドラマ『DOCTOR PRICE(ドクタープライス)』は、岩田剛典さん主演で話題沸騰中。転職エージェントを舞台に繰り広げられる異色の医療ドラマですが、印象的なシーンの背景には実在するロケ地がしっかりと映し出されています。
この記事では、『DOCTOR PRICE』の舞台となったロケ地を正確な情報とともにご紹介。各施設の特徴や撮影シーンの背景も合わせて解説するので、聖地巡礼にもぴったりです。
ドラマの世界観に浸りながら、実際の場所を訪れて物語の余韻を感じてみてください。
- ドラマ『DOCTOR PRICE』の主要ロケ地とその背景
- 実在施設のアクセスや立ち入り可能かどうかの注意点
- ロケ地が物語の感情や人間関係をどう支えていたかの考察
まず訪れたい!物語の中心「Dr.コネクション」のオフィスは門前仲町に
ドラマ『DOCTOR PRICE』の中核を担うのが、鳴木金成(岩田剛典)が立ち上げた医師専門の転職エージェント会社「Dr.コネクション」のオフィス。
その重要な舞台として選ばれたロケ地が、東京都江東区にある「HYPERMIX門前仲町」です。
ビジネスの現場を舞台に、理想と現実の狭間で揺れる人間模様を描く本作にとって、この場所が持つ“今っぽさ”と“リアルさ”は絶妙な選択だったと言えるでしょう。
HYPERMIX門前仲町が使用された理由と撮影背景
HYPERMIX門前仲町は、複合型レンタルスペースとして知られています。
東京都江東区、下町情緒が残る門前仲町という立地にありながら、施設内は都会的でスタイリッシュな空間。
会議室やイベントスペース、展示会場などに対応できる多機能な施設で、撮影ロケ地としても柔軟性が高く、ここ数年で注目を集めています。
ドラマでは、「Dr.コネクション」のオフィスとして、モダンな内装と適度な生活感を持ち合わせたインテリアが効果的に映し出されています。
壁に並ぶ書類棚やパーテーション、デスクの配置など、まるで本当に医師向けの転職会社が存在しているようなリアリティ。
それを支えているのが、HYPERMIX門前仲町が持つ空間の質感なのです。
筆者が特に印象に残ったのは、ガラス越しに映る街の光景と、鳴木が語る「理想の医療業界」へのビジョンが重なった瞬間。
これはまさにロケ地と演技と脚本が重なり合って作り出した、“ドラマならではの説得力”と感じました。
HYPERMIXの都会的な雰囲気が、鳴木の革新的な理念を視覚的に支えている、そんなシーンに胸を打たれた方も多いのではないでしょうか。
貸し会議室としても使えるアクセス良好な立地
HYPERMIX門前仲町は、東京メトロ東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」から徒歩約3分の場所に位置しています。
駅チカの便利な立地でありながら、すぐ近くには深川不動堂や富岡八幡宮といった歴史あるスポットもあり、現代と伝統が共存する街並みもまた、作品世界に深みを与えています。
実際のHYPERMIX門前仲町は、法人向けのセミナーや展示会、撮影スタジオとして幅広く利用されており、一般の人でも予約すれば見学や利用が可能です。
ただし、常に公開されているスペースではないため、聖地巡礼を目的に訪れる場合は、事前に施設に確認するのがマナーです。
施設の公式サイトや貸出スケジュールを事前にチェックすれば、作品と同じ空間に立つことができるかもしれません。
ただ歩くだけでは見逃してしまうような、ドラマの細やかな演出や空気感──
それがロケ地に立ってはじめて、「ああ、ここで鳴木が決意を口にしたんだ」と、作品との距離が一気に縮まる瞬間があるのです。
物語の始まりの場所であり、信念の原点でもあるDr.コネクションのオフィス。
あなたがもしこのドラマのメッセージに心を動かされたなら、HYPERMIX門前仲町は、一度は訪れてみてほしい場所です。
極東大学病院のロケ地は2か所で構成されている
ドラマ『DOCTOR PRICE』のなかで、かつて鳴木金成(岩田剛典)が勤務していた「極東大学病院」。
彼の医師としての過去、そして“転職”を選ぶまでの背景が語られるこの病院のシーンは、視聴者の心に深く刻まれたはず。
その舞台となったロケ地は、実は2か所に分かれて撮影されています。
外観:創価大学「中央教育棟」|東京都八王子市
まず病院の外観として登場するのが、東京都八王子市にある創価大学「中央教育棟」です。
高台に位置するこのキャンパスは、近代的な建築と広々とした敷地が特徴で、学術施設でありながら、まるで大規模な病院のような風格を感じさせます。
実際に映像で見たとき、「あれ? これって大学?」と気づく人は少ないかもしれません。
中央教育棟は創価大学の象徴とも言える建物で、授業や講義の中心施設として日々学生が行き交う場所。
そんな日常の風景が、ドラマでは“大学附属病院”として静かに変身しています。
角度や光の入り方、建物の入り口を巧みに映すことで、現実とフィクションの境界を曖昧にする——それがこのロケ地の魅力です。
創価大学の住所は東京都八王子市丹木町2丁目。アクセスにはJR八王子駅からバスを利用するのが一般的です。
キャンパス内は原則、関係者以外立ち入り禁止の区域もあるため、ロケ地巡りの際には、敷地内への立ち入りに注意が必要です。
外から眺めるだけでも、あのシーンの余韻はじゅうぶん感じ取れます。
内部・パーティ会場:LINK FOREST(リンクフォレスト)|東京都多摩市
そして極東大学病院の内部、特に創立記念パーティーのシーンが撮影されたのが、東京都多摩市にある「LINK FOREST(リンクフォレスト)」です。
LINK FORESTは、最大1,500人収容可能な研修・イベント施設で、企業の宿泊研修や会議などに広く利用されています。
その多目的ホールは、式典シーンのようなフォーマルな場面にぴったり。
ドラマでは、鳴木が医師としての“表舞台”に立つ最後の瞬間として、この場所が描かれました。
華やかな照明、シックな内装、フォーマルな衣装の出演者たちが並ぶ映像は、実際のイベントさながらの空気をまとっています。
この空間に映る鳴木の目は、もう未来を見据えていた。
リンクフォレストの住所は東京都多摩市鶴牧3-5-3。多摩センター駅から徒歩約10分と、公共交通でのアクセスも良好です。
施設自体も非常に綺麗で、外観だけでなく内部空間も開放的。
一般見学は受付していないことが多いため、イベントなどの機会を利用して訪れるのが現実的でしょう。
「極東大学病院」という一つの舞台に、“外観の説得力”と“内部のリアリティ”を兼ね備えた2つのロケ地。
それぞれが役割を分担しながら、ドラマの緊張感や人間関係の重みを支えています。
ロケ地としての魅力もさることながら、「医師としての鳴木」と「エージェントとしての鳴木」を繋ぐ過去の象徴として、印象深く残る場所です。
第1話に登場した病院の外観は茨城県の牛久愛和総合病院
ドラマ『DOCTOR PRICE』第1話で、葛葉圭祐(阿部顕嵐)の転職先として描かれた「柊総合病院」。
その外観シーンは、茨城県牛久市にある「牛久愛和総合病院」で撮影されました。
リアリティを重視する本作において、この病院の持つ“現場感”は作品の空気を引き締める鍵となっています。
「柊総合病院」の設定で使用されたリアルな医療施設
牛久愛和総合病院は、急性期から慢性期まで幅広く対応する地域中核病院であり、設備の充実度も高いのが特徴です。
その堂々とした外観、整然としたアプローチ、そして敷地の開放感が、医療ドラマの舞台として“実在感”を持たせるのに非常に適していました。
ドラマ内では、鳴木が圭祐の転職先として訪れるシーンに登場。
病院の正面玄関やエントランス付近が撮影に使われ、実際の建物の設計を活かしたアングルで映像が組み立てられています。
こうした“リアルな医療の現場”を見せることで、視聴者の没入感が高まり、キャラクターの選択や葛藤に重みが増していくのです。
また、圭祐が新天地で働く姿を通じて、「理想の医療環境とは?」というテーマがにじみ出てきます。
それはまさにこの病院のリアルな姿に支えられた演出のひとつとも言えるでしょう。
牛久市民に親しまれる地域密着型の総合病院
牛久愛和総合病院は、地元住民にとっては“日常の安心”を支える存在です。
茨城県牛久市猪子町896に位置し、アクセスも良好。
JR常磐線「牛久駅」から車で約10分の距離にあり、駐車場も完備されています。
この病院は一般診療だけでなく、救急医療・リハビリテーション・在宅支援にも対応している医療機関。
そのため、医療業界を描くドラマにとっては、単なる“建物”ではなく、実際の医療現場と通じ合う重みのあるロケ地と言えるのです。
ただし、現在も現役で稼働している医療施設であるため、聖地巡礼には十分な配慮が必要です。
撮影スポットを訪れる際は、立ち入り禁止区域や通院されている方々への配慮を忘れずに。
筆者が現地を訪れた際、建物の前に立っただけで、葛葉圭祐が“新しい環境で何かを始めようとしていた”あの一瞬の表情が思い出されました。
ロケ地の持つ空気は、映像の記憶をじわっと立ち上がらせてくれる力があります。
この場所がただの“背景”ではなく、物語の始まりと再生の場として描かれていることに、あらためて胸が熱くなりました。
日々の生活を支える実在の病院が、ドラマの中で「人生の分岐点」として機能している——
そんな視点でこのロケ地を見つめると、作品への理解が一段と深まるはずです。
社長・石上のオフィスは実在する企業スヴェンソンの本社
ドラマ『DOCTOR PRICE』の中で、もうひとつ印象的だったのが、三浦貴大さん演じる石上道徳が代表を務める転職エージェント会社「MEDIATE MANAGEMENT」のオフィスです。
このオフィスシーンのロケ地として使われたのが、東京都港区にある「株式会社スヴェンソン」の本社オフィス。
都心の洗練されたオフィス空間が、ビジネスシーンの緊張感とリアルさを視覚的に支えているのがよくわかります。
東京都港区にある最新オフィスビルでの撮影
スヴェンソン本社の所在地は、東京都港区赤坂1丁目エリア。
都心の中でもビジネス色が強く、多くの大手企業が拠点を構える一等地にあります。
ガラス張りの高層オフィスビルの一室に構えられた同社の本社は、現代的でスタイリッシュな内装が特徴。
ドラマでは、石上が冷静かつビジネスライクに指示を出すシーンや、ライバル同士の緊張感あるやり取りが描かれます。
その空気を際立たせているのが、まさにこの「無機質だけど高級感のあるオフィス」というロケーションなのです。
また、会議室や通路、窓から見える都会の風景も、どこか冷たく張り詰めた空気感を醸し出していて、企業同士の駆け引きという舞台を一層リアルに演出しています。
ちなみにこのロケ地、ドラマや映画の撮影に使われたことはあまり多くなく、『DOCTOR PRICE』で初めて知ったという視聴者も多いのではないでしょうか。
ヘアケア・コスメ企業の空間がドラマにリアル感を加える
「スヴェンソン」と聞いてピンとこない人もいるかもしれませんが、実はウィッグや増毛、化粧品を扱うヘアケア業界の大手企業です。
全国に直営サロンを展開しており、特に医療用ウィッグや育毛サービスで知られています。
その企業本社がロケ地に選ばれたことで、ビジネスシーンに本物の“企業感”が加わったという印象が強く残ります。
現場で働く社員のデスクがリアルに並ぶ空間にカメラが入ったことで、ドラマの「架空の企業」に“実在感”を吹き込んだ、と言っても過言ではありません。
それは決して美術セットでは出せない、本物の企業の空気です。
撮影はオフィス営業時間外に行われたと見られ、ビジネスの邪魔をせず、最大限のリアリティを追求する姿勢もまた、この作品の丁寧さを物語っています。
このオフィスビルへの立ち入りは、基本的に関係者以外不可のため、聖地巡礼目的での訪問は控えるのが賢明です。
それでも、「このビルの前を通った」「あのシーンの背景にあったビルだ」と知るだけで、作品の世界に一歩近づいたような感覚があるのは不思議です。
“本物”の空間があってこそ、“嘘のない物語”が成立する。
スヴェンソンのオフィスは、そんなドラマの信念を体現したようなロケ地でした。
ベンチの会話シーンは稲城市の自然豊かな野球場
ドラマ『DOCTOR PRICE』第1話で、鳴木金成(岩田剛典)と依岡健(北山宏光)が並んで座り、静かに会話を交わすシーン。
都会の喧騒を離れたそのロケーションは、東京都稲城市にある「稲城中央公園 野球場」で撮影されました。
ただの公園ではない、感情がそっと交わる“場所”としての存在感が、あのシーンをより印象的なものにしています。
稲城中央公園 野球場での心の通い合い
稲城中央公園は、稲城市のほぼ中央に位置する市営の大型公園です。
その中に整備されている野球場は、市民スポーツの場でありながら、緑に囲まれた落ち着いた空間が魅力。
広い空、遠くの雑木林、ベンチに座る2人の間には、どこか“もう一度ちゃんと話せる場所”という空気が漂っていました。
鳴木と依岡の会話は、どちらかが答えを出すものではなく、ただ、並んで過去と未来を見つめるだけの時間。
その“答えの出ないやり取り”を支えていたのが、この場所の静けさだったと思います。
周囲の音が遠く感じられ、時間の流れが一瞬ゆるやかになる、そんな印象を与えるシーンでした。
稲城中央公園の所在地は、東京都稲城市長峰1丁目1番地。
アクセスは京王相模原線「稲城駅」または「若葉台駅」からバスで約10分ほど。自然に囲まれた静かな住宅街の中に位置しています。
園内には野球場のほか、芝生広場や散策路、子ども向けの遊具などもあり、市民の憩いの場として親しまれている場所です。
市民憩いの場に映る静かな名シーン
ドラマのロケ地として見たとき、稲城中央公園 野球場は“特別な場所”に映ります。
でも実際は、日常の中にある、誰にでも開かれた空間です。
ベンチに座る2人の姿を思い出しながら、自分もそこに腰を下ろしてみると、あのとき2人が感じた“静かな覚悟”や“過去との対話”が、自分にも流れ込んでくるような気がします。
筆者が訪れた際は、ちょうど野球少年たちの練習が行われていて、どこかホッとするような声が響いていました。
しかしそのすぐそばには、ドラマのような“深い沈黙”を受け入れてくれる空気も、確かに存在しています。
ロケ地巡りとしては、自由に入れる公共施設であるため、時間帯を選べば静かに景色を楽しむことも可能です。
ただし、野球場を利用する団体や地域の方の活動を妨げないよう注意し、あくまで「訪問者」としてのマナーを守ることが大切です。
『DOCTOR PRICE』というドラマが描くのは、正義や理想だけでなく、それぞれの“選択の迷い”でもあります。
その迷いに向き合う場所として、この稲城中央公園 野球場は、物語に“感情の緩衝地帯”を用意したとも言えるでしょう。
思いを声に出すには、静かな背景が必要なのかもしれません。
そんなシーンが心に残った方は、ぜひ一度この場所に足を運んでみてください。
整形外科医院のロケ地は実績多数の厚木市立病院
『DOCTOR PRICE』第1話の後半、宮内ひとみさん演じる新井夏希が新たな職場に向かうシーンが登場します。
彼女の新たな勤務先「霞野整形外科医院」の外観として使われたのが、神奈川県厚木市にある「厚木市立病院」です。
医療ドラマの名シーンにたびたび登場するこの病院は、ロケ地としての信頼感と安定感を持った場所として知られています。
数々の医療ドラマで使われた信頼のロケ地
厚木市立病院は、神奈川県厚木市水引に位置する中核医療機関。
地域住民への医療提供の場であると同時に、ドラマや映画のロケ地としても非常に高い実績を誇ります。
過去には『恋はつづくよどこまでも』、『大恋愛~僕を忘れる君と~』、『4分間のマリーゴールド』など、感動とリアルさを求められる医療作品で数多く使用されてきました。
医療現場のリアリティと撮影しやすい施設構造を兼ね備えた貴重な施設なのです。
正面玄関はガラス張りで、シンプルながらも現代的な印象を与える外観。
この建物が持つ少しだけ冷たい雰囲気が、「転職先への不安」や「まだ馴染めていない距離感」を見事に映し出しています。
何度もロケ地として選ばれる理由の一つには、撮影協力に理解がある自治体病院であることも挙げられます。
厚木市立病院が「映像作品と現実医療の接点」として果たしている役割は、非常に大きいのです。
新井夏希が転職した「霞野整形外科医院」の外観に
ドラマでは、新井夏希がかつての職場を離れ、新たな職場「霞野整形外科医院」で再出発する姿が描かれます。
その一歩を踏み出す瞬間に映るのが、この厚木市立病院の外観。
決して華やかではない、でも確かな医療の現場という印象が、彼女の“再出発”に説得力を与えています。
撮影では病院のエントランス付近や周囲の道路が使用され、新井がタクシーから降りて歩き出すシーンが静かに展開されました。
背景の建物は本物であるがゆえに、“セットでは出せない空気”が作品に自然な深みを加えているのが印象的です。
病院の住所は神奈川県厚木市水引1-16-36。
小田急小田原線「本厚木駅」からバスで10分ほどの距離で、市民に広く親しまれている実在の医療施設です。
なお、病院は日常的に診療を行っている現場であるため、聖地巡礼の際は立ち入りマナーを厳守することが求められます。
見学は病院側の許可なく行うことは避け、外観のみ静かに眺めるようにしましょう。
筆者がこのロケ地に注目したのは、新井の表情と建物のコントラストがとても印象的だったからです。
温かさを感じる演技と、どこか距離を保つような建物の硬質さ。
そのギャップが、彼女の“希望と不安”という入り混じる感情を見事に象徴していました。
物語の転換点としても、このロケ地は極めて重要な役割を担っていると言えるでしょう。
高級感漂う交渉シーンの舞台は、埼玉の老舗料亭「玉家」
ドラマ『DOCTOR PRICE』第1話の中でも、とりわけ緊迫感が張り詰めたシーンとして印象に残るのが、鳴木金成(岩田剛典)と夜長亜季(蒔田彩珠)が、七海竜騎(神保悟志)と交渉を行ったあの場面。
舞台となったのは、埼玉県さいたま市にある老舗料亭「玉家(たまや)」です。
ただの飲食の場ではなく、“裏で何かが動く空気”をまとった和の空間が、物語の厚みに寄与していました。
政治劇のような空気感を演出する格式ある空間
料亭「玉家」は、昭和39年創業の本格的な和食料亭で、冠婚葬祭や接待、政治家の会合などにも利用されてきた歴史を持つ格式高い店です。
その趣きある建物と庭園、調度品のすべてが、「非日常の中でしか交わせない会話」を成立させる力を持っています。
劇中では、テーブルを挟んで静かに視線を交わし合い、重たい言葉がひとつずつ落とされていく緊張のシーンが展開されました。
それを支えたのが、玉家の持つ“音が響くほど静かな空間”と、和の品格が漂う静謐な雰囲気でした。
また、石上道徳(三浦貴大)が料亭の外で鳴木を待ち伏せする場面もあり、内と外の緊張が対比的に描かれた構成も秀逸です。
これはロケーションそのものの演技力とも言えるでしょう。
建物内の個室は、日本庭園を望む座敷や堀ごたつ式の和室など複数あり、シーンによってさまざまな使い分けが可能です。
その汎用性と「重厚な静けさ」が、このドラマにとって理想的だったことは間違いありません。
落ち着いた和のロケーションがドラマに重厚感を与える
料亭 玉家の所在地は、埼玉県さいたま市緑区原山4丁目1-4。
最寄り駅はJR浦和駅で、そこからバスやタクシーを利用することでアクセス可能です。
周囲は住宅街に囲まれていますが、一歩敷地内に入ると空気が変わるような、異空間のような静けさに包まれます。
一般営業も行っているため、予約をすれば食事を楽しみながらロケ地を体感することが可能です。
ただし、撮影に使われた個室については、日時やプランによって利用できない場合もあるため、事前の確認が必須です。
筆者が訪れた際、建物の格子戸や、手入れの行き届いた庭園の眺めに、自然と背筋が伸びるような感覚を覚えました。
そして、「ここであのセリフが交わされたのか」と想像した瞬間、物語の重みが静かに自分の中にも降りてきたように感じたのです。
この料亭が持つ空気は、まるで言葉に出せない“裏のやりとり”までも映し出すような深さがあります。
それは政治やビジネスの交渉だけでなく、人の心が揺れるときにふさわしい舞台でもあるのでしょう。
『DOCTOR PRICE』が描く「医療×転職×裏社会」の構造において、この玉家というロケ地は、物語の深層を支える静かな“演者”のような存在でした。
『DOCTOR PRICE』ロケ地巡りの前に知っておきたい注意点
『DOCTOR PRICE』の舞台となったロケ地の数々は、リアルで、印象的で、そして何より“行ってみたくなる”場所ばかり。
ですが、実際に足を運ぶ前に、いくつか大切な注意点を知っておくことで、より安心して聖地巡礼を楽しむことができます。
ロケ地は、誰かの現場であり、生活の場所であり、時には静寂を大切にする空間でもある——その意識が巡礼を“心ある旅”にしてくれます。
施設の利用状況や一般立ち入り可否を事前確認しよう
まず確認すべきなのが、その場所が「一般公開されているのかどうか」という点です。
今回紹介したロケ地の中には、HYPERMIX門前仲町や料亭玉家のように予約制で利用可能な商業施設もあれば、創価大学やスヴェンソン本社のように一般の立ち入りが制限されている場所も含まれています。
特に大学や医療機関、企業のオフィスなどは、施設の本来の目的が「ドラマファンの見学を受け入れること」ではないため、むやみに立ち入るとトラブルになる可能性があります。
それぞれの公式サイトや、問い合わせ先を通じて、一般の訪問が可能かどうかを必ず事前に確認しましょう。
また、撮影が行われたエリアであっても、特定の時間帯や曜日に限ってアクセスできる場合もあります。
事前に情報収集をしておくことが、ロケ地巡りをスムーズでストレスのない体験にしてくれます。
聖地巡礼はマナーを守って楽しむのが鉄則
ロケ地を訪れる際に最も大切なこと、それはマナーを守ることです。
私たちが「ドラマの感動をもう一度体感したい」と思うその気持ちも、周囲の環境に配慮できてこそ、心に残る巡礼になります。
たとえば、病院や大学、公園などでは、写真撮影を遠慮すべきエリアがあります。
患者さんや学生、市民の生活を邪魔してしまうような行動は避け、静かに景色を楽しむことを心がけてください。
また、SNSなどに投稿する際も、他の人のプライバシーが写り込んでいないか、撮影禁止の場所ではないかなど、配慮を忘れずに。
巡礼者としての意識と節度があれば、ロケ地も訪問者も気持ちよく存在できるはずです。
筆者自身もロケ地を訪れるときは、風景の中に“そっと自分を溶かすような気持ち”で歩くようにしています。
そうすると、たとえ声を出さなくても、「あのとき鳴木がここに立っていた」ことを、自分の中で静かに感じ取れるのです。
『DOCTOR PRICE』は、派手な演出よりも、人物の想いや対話、心の動きを丁寧に描くドラマです。
その世界観を壊さないように、“静かに寄り添うロケ地巡り”を意識することで、ドラマへの愛がもっと深くなるはず。
あなたの歩幅で、あなたの想いで、この作品の舞台をめぐってみてください。
ロケ地が語る“心の距離感”──言葉より雄弁だった場所たち
『DOCTOR PRICE』のロケ地をひと通り振り返ってみて、ふと感じたことがあります。
それは、どの場所も“人と人との距離”を描くために選ばれているということ。
登場人物の気持ちがすれ違ったり、近づいたりする瞬間に、その空気をそっと後押ししていたのが、ロケ地の“間”だったのではないかと。
近すぎず、遠すぎず──あえて“余白”を残す空間設計
たとえば、稲城中央公園のベンチ。
鳴木と依岡が並んで話すあのシーン、ふたりの間には小さな隙間があります。
でもその距離は、心の距離とぴったり重なっていた。
話せるけど、全部は言えない。
その“まだ言葉にならない関係性”を、ベンチの幅や芝生の静けさがそっと包んでくれていた気がします。
ロケ地が、感情の“にごり”や“溜め”を引き出す装置になっていたというのは、他のドラマではあまり感じなかった面白さです。
「ちゃんと話せる場所」は、どこか外の世界と遮断された場所だった
また、料亭・玉家の個室シーンも象徴的でした。
完全に閉じた空間で、誰にも邪魔されずに、真っ向から本音がぶつけられる。
でも逆に、オフィスの会議室では“建前”しか出てこない。
この対比を意識してロケ地を選んでいたのだとしたら、すごく繊細な演出だと思います。
本音は、壁に囲まれた“外と切り離された場所”でこそ出てくる。
これは、現実の人間関係でもちょっと思い当たる節がある方、多いのではないでしょうか?
ロケ地って、ただの背景ではなくて、“心の安全圏”として機能しているんだなと改めて感じました。
こうして改めて見てみると、
- 気持ちが届かないときは、空間もどこか広くて寒い
- 分かり合えたときは、狭い空間でも不思議とあたたかい
そんな風に、ロケ地が“感情の鏡”になっていたのかもしれません。
『DOCTOR PRICE』の世界を旅するとき、ぜひ「この距離感って、2人の心を表してたのかも」と思いながら歩いてみてください。
ロケ地が語っていた、もうひとつの“台詞のない会話”が、きっと聞こえてくるはずです。
『DOCTOR PRICE』のロケ地と感情の余韻をめぐるまとめ
『DOCTOR PRICE』は、医療やビジネスという複雑なテーマを扱いながらも、どこか“静かに心を揺らす”ドラマでした。
そしてそれを支えていたのが、確かなリアリティを持ったロケ地の数々です。
物語の登場人物たちが立っていた場所に、自分の足で立ってみる──それは、ただの“撮影スポット巡り”とは少し違う、感情の旅のような体験かもしれません。
リアルな空間が物語をより深くする
鳴木が理念を語ったオフィス、葛葉が立ち尽くした病院、依岡と静かに話したベンチ、そして重厚な料亭の個室。
それぞれの空間が放つ空気感と、登場人物たちの“感情の密度”がリンクしているからこそ、視聴者の記憶に深く刻まれるのだと思います。
ロケ地は、舞台装置であると同時に“共演者”でもある。
『DOCTOR PRICE』の空気を形作ったのは、まさにそうした空間との調和だったのではないでしょうか。
創価大学や厚木市立病院といった医療・教育機関は、登場人物たちの「過去」と「専門性」を語る装置として。
LINK FORESTやHYPERMIX門前仲町のような近代的施設は、「未来」や「選択の分岐点」を象徴する場として。
そして玉家や稲城中央公園のような“余白”のあるロケーションは、「言葉にならない心の動き」を受け止める場所として機能していました。
それぞれの空間に意味があり、誰かの人生の変化が、そこで静かに描かれていたということ。
そのことを思い出すだけで、地図を見る視点が少し変わってくるように思います。
一歩足を踏み入れれば、あの名シーンの感覚がよみがえる
ロケ地に実際に足を運ぶと、画面越しに感じていた空気が、現実として自分の中に流れ込んできます。
人の少ない時間帯にふと立ち寄ると、「このベンチに、鳴木が座っていたな」と自然と思い出す。
その“記憶の再生”が、ロケ地巡りの最大の醍醐味だと私は思います。
もちろん、作品の世界はフィクションです。
でも、実在する場所で撮影されていたという“確かさ”が、感情の余韻に現実味を与える。
その余韻は、見る人それぞれの人生ともどこかで交差していくように思います。
『DOCTOR PRICE』という作品は、ただの医療ドラマでも、ただの転職物語でもありませんでした。
「今いる場所を変えること」に向き合ったすべての人の物語であり、ロケ地もまたその心情を支えてきた静かな舞台です。
ロケ地巡りを通して、作品にもう一度出会い直す。
その過程で、もしかしたら自分自身の“次の選択”についても、少しだけ考えてみたくなるかもしれません。
画面の中にあった景色が、目の前に広がる瞬間。
そこに流れる風や、音や、匂いの中に、ドラマの余韻がそっと生きている。
それこそが『DOCTOR PRICE』のロケ地をめぐる旅がくれる、ほんとうの体験なのだと思います。
- ドラマ『DOCTOR PRICE』のロケ地を全10箇所以上紹介
- 撮影場所の詳細・アクセス情報を正確に掲載
- 各ロケ地が物語のテーマや人物の感情とどう結びつくかを考察
- 門前仲町や厚木市立病院など一般施設の注意点も解説
- 視聴者が共感した“あの名シーン”の背景を実際の空間から振り返る
- ロケ地巡礼のマナーと心得について丁寧に案内
- アユミ独自の視点で「ロケ地が語る心の距離感」も深掘り
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