第10客室の女

第10客室の女

『第10客室の女(ウーマン・イン・キャビン10)』ネタバレ考察──誰も信じてくれない世界で、彼女は現実をつかめるか

<p>豪華客船という海上の密室。波音に包まれた夜、ジャーナリストのロウは“第10客室”から人が海へ落ちるのを見たと証言する。だが、記録上その部屋に客はいない。誰も彼女を信じない。</p> <p>ルース・ウェアの『ウーマン・イン・キャビン10(第10客室の女)』は、密室殺人の形を借りながら、「女性の声が社会に届かない」という現代的恐怖を描き出す心理スリラーだ。</p> <p>本稿では、キンタモードでこの作品を読み解く。“見たのに、いない”という矛盾の中で、彼女は何を失い、何を取り戻したのか。その真相は、事件の向こうにある“現実の裂け目”にある。</p>