「絶対零度 シーズン5 第7話」は、感謝されることのない人々の怒りと哀しみを浮かび上がらせた回でした。
一見すぐに解決したように見える“サイバーテロ”の裏には、もっと静かで根深い想いが息づいています。
この記事では、感情の揺らぎと物語の構造、そして見え隠れする黒幕の存在に焦点を当てながら、第7話のあらすじと感想を考察していきます。
- 清掃員が起こしたサイバーテロの真の動機と背景
- DICTと公安の葛藤に見る“命令と信念”の対立
- 声なき存在に光を当てた第7話の人間ドラマの本質
犯人の正体と動機に込められた“静かな叫び”とは?
第7話の真犯人が明かされた瞬間、ただの驚きでは終わらなかった。
そこにあったのは、誰にも気づかれずに積み重なった“無視され続けた存在の重み”だった。
事件の背後にあったのは、声にならないほどの叫びと、感謝されることのない日常へのささやかな復讐だった。
清掃員・高倉の動機が視聴者に刺さる理由
犯人は、病院で働く一人の清掃スタッフ・高倉。
ランサムウェアの操作など一切知らず、ただ送られてきたUSBを差し込んだだけの存在。
それでも、視聴者の胸に最も刺さったのは、その“手段”ではなく、彼の言葉に込められた切実な想いだった。
「感謝されることのない俺たちは、ただの景色だ」
この一言に、視聴者の心が揺れた。
働いても誰にも認識されない存在。
どれだけ丁寧に掃除しても、どれだけ現場を支えても、そこに評価も感謝もない。
高倉の怒りは、爆発的ではない。
だけど静かに、確実に、我々の心のどこかを押してくる。
この国で、あるいはこの社会で、“無視される人間”がどれほど多く存在しているのか。
「感謝されない存在」が物語に投げかけた問い
この事件は、“犯人探し”の物語ではなかった。
むしろ、誰にでもなり得る「高倉」という存在に、視聴者がどこかで自分を重ねてしまう。
「ありがとう」と言われない仕事。
いて当たり前、やって当然、存在に気づかれないまま、日々を消耗していく人たち。
けれど、そんな高倉に小さな光が差す瞬間があった。
入院患者・真由が、弱々しくも絞り出すように言った言葉。
「高倉さんの掃除が一番丁寧だって言っていたよ。今までお礼、言えなくてごめんなさい。いつもありがとう。」
この一言で、視聴者の涙腺は決壊する。
犯人が“許される”わけではない。
けれど、彼の心の奥に沈んだ“何か”が、少しだけ報われたような気がした。
この一瞬のやり取りが、物語の核心だった。
「人は誰かに必要とされることで、初めて人でいられる」という、極めて根源的な問い。
それを問いかけたのは、正義の側ではなく、犯罪者とされた側だった。
このドラマが強いのは、常に“答え”ではなく“問い”を観る者に残すところだ。
そしてその問いが、静かに、深く、私たちの日常に差し込んでくる。
サイバーテロの全貌と病院機能の混乱|本当に“大規模”だったのか?
「病院を襲った大規模なサイバーテロ」──そう銘打たれた今回の事件。
だが、その全貌が明かされていくにつれ、視聴者の多くはある疑問を抱いたはずだ。
これは本当に“大規模”と言えるのか?それとも、もっと小さな痛みの集積だったのか?
選択を迫られるエレベーターと手術室の葛藤
サイバー攻撃により、病院の中枢機能が停止。
復旧できるのは、エレベーターか手術室のどちらか一方だけ。
命の優先順位を決めろという、極限の選択を突きつけられる。
これは技術の話ではない。
「人間の価値をどう測るのか」という深い倫理の問題だ。
手術室には、幹事長の妻。
一方、エレベーターには清掃員・高倉と二宮が閉じ込められている。
指揮を取った佐生新次郎は、手術室の患者の命を優先。
反対する掛川啓を抑え、「これは命令です」と言い放つ。
この一言が、公安出身の人間が抱える“合理性”と“人間性”のはざまを鋭くえぐる。
誰かが助かれば、誰かが見捨てられる。
そんな非情な現実の中で、視聴者の視線は、自然と「見捨てられる側」へと向かっていく。
ランサムウェアの実態と“サイバーテロ”としてのリアリティ
技術的な側面を見ると、今回のサイバーテロは“ランサムウェア”を使った攻撃だとされている。
だが、その実行方法はあまりにも杜撰。
USBを差し込んだだけで病院機能が麻痺し、操作の痕跡すら残っていない。
ITやセキュリティの知識がある人から見れば、首をかしげる展開だ。
ログがない、アクセス制御が甘い、清掃員がパソコン操作できる体制。
「これが病院の危機管理か?」と感じた視聴者も少なくないだろう。
物語としてのドラマ性はあれど、サイバーテロのリアリティはかなり薄い。
視聴者の関心は技術ではなく、「なぜそんなことが可能だったのか?」に向く。
そこにいるはずの専門家たちが動かず、現場を知る人物が黙っている。
とくにシステム会社の社員・瀬野康太が真相を知りながら黙っていたことに、多くの視聴者は憤りを覚えたはずだ。
彼の行動は、単なる嫌がらせではない。
病院に対する“遺恨”と“復讐”という、もう一つの物語が裏で動いていることを示している。
つまり、これはシンプルな事件ではない。
複数の怨念と、個人的な想いが、偶然の中で絡み合い、ひとつの混乱を生み出したに過ぎないのだ。
そう考えれば、“大規模なサイバーテロ”というより、“複合的な人間の叫び”の集積として捉えるべきだろう。
この事件の本質は、技術ではなく、「見過ごされてきた人間たちの声」にあったのだから。
DICTと公安、そして警察官たちの役割のズレに違和感
ドラマ『絶対零度』シリーズは、警察内部の特別組織や公安、サイバー捜査班の緊張感ある連携が見どころの一つだった。
しかし第7話では、本来主役であるはずの警察官たちの動きが、どこかちぐはぐだった。
視聴者はその“ズレ”に、思わず首をかしげることになった。
警察よりも動いたのは“民間人”?視聴者のモヤモヤ
病院という重要インフラが、サイバーテロによって機能停止に陥った。
この非常事態において、最前線で動いたのは警察ではなく、DICTと呼ばれる民間組織だった。
もちろんDICTには公安や元捜査員が所属している設定だが、それにしても、警察組織そのものの存在感が希薄すぎた。
瀬野康太というシステム会社の人間が、病院のPCを扱うシーンがある。
だが、そこに立ち会う警察官は何をしていたのか?
重要な証拠がある可能性のあるPCに、民間人が自由に触れている違和感。
さらに、USBが差し込まれたパソコンが事件の“入口”であるにも関わらず、その捜査過程は淡白だった。
ウイルスの特定、アクセスログの解析、関係者の聴取──。
本来警察が行うべき“技術捜査”が、ほとんど描かれていない。
代わりに、視聴者の印象に残ったのは、清掃員の怒りとDICTの対応力。
つまり今回、事件解決の主導権が完全に警察の手を離れていた。
この構図は、スリリングであると同時に、どこかで「警察、何してたの?」というモヤモヤを残す。
元公安・佐生と掛川の判断に潜む矛盾
そんな中、元公安である佐生新次郎と掛川啓のやりとりは、ある種の緊張感を孕んでいた。
命を天秤にかける決断を迫られたとき、佐生は「これは命令だ」と言い切る。
だが、それを真っ向から否定するのが掛川。
二人とも公安出身であるがゆえに、“命の重さ”を言葉で語らずとも知っているはずなのだ。
それなのに、意見は真っ二つに割れた。
これは単なる価値観の違いではなく、“組織人”としての矛盾を浮き彫りにしていた。
佐生は、総理の近くにいる影の存在。
彼の判断には、単なる正義以上の“政治的責任”がまとわりついている。
誰を救うか、という判断の裏には「誰に顔を立てるか」という権力構造がある。
一方で掛川は、現場主義の男。
命に上下はないという信念のもと、目の前の命を助けることにこだわる。
このズレは、組織と現場、国家と個人という対立そのものだ。
そして視聴者は、この二人のどちらが“正しい”のかではなく、「本当に命を守れているのは誰か?」という問いを受け取る。
つまり、DICTも公安も警察も、完璧には機能していない。
人間の判断が絡む限り、そこには常に歪みやズレが生まれる。
今回の事件は、その“機能不全のリアル”を描いていた。
黒幕は誰なのか?「背後にいる存在」の気配を読み解く
高倉がUSBを差し込んだことで発生した病院の機能停止。
だが彼は、ウイルスの内容も、目的も知らなかった。
ならば誰が彼にUSBを託したのか?──それが今回最大の謎だ。
USBを渡した“謎の存在”と瀬野康太の沈黙
清掃員の高倉は、完全に“駒”として使われたに過ぎない。
その駒を動かしたのが誰か──その手がかりとして浮上するのが、システム会社の社員・瀬野康太である。
瀬野は明らかに事情を知っていた。
そして、その事実を意図的に隠していた。
彼の言葉は重い。
「この病院は娘を見捨てた。」
この一言に込められた怨念は、単なる職務怠慢や反抗心を超えている。
“愛する者を奪われた者の静かな復讐”。
つまり、今回の事件は「一人の清掃員の暴走」などではなく、複数の“私怨”が交差し、計画的に仕掛けられた攻撃である可能性が高い。
だが瀬野が“主犯”であるという印象は残らない。
彼は知っていたが動かなかった──それだけ。
本当に危険なのは、このUSBを誰が作り、誰が病院を標的に選び、高倉に渡したのかという“もっと外側の存在”だ。
ここに来て視聴者は気づく。
これはまだ序章に過ぎないということに。
次回以降に続く“総理の娘”誘拐事件との繋がり
エピソードの終盤、物語は急展開を見せる。
桐谷杏子のスマホに届いた一枚の写真──それは、拘束された総理の娘・カナの姿だった。
そして、謎の男の声が響く。
「カナが無事かどうかは、今後のあなた次第だ。」
これまで点で散らばっていた出来事が、ひとつの線に繋がる感覚。
つまり、病院のサイバーテロも、総理の娘の誘拐も、同じ勢力が動かしている可能性が高い。
そしてカナは単なる被害者ではない。
彼女は自ら進んで“闇側”に身を置いたようにすら見える。
フィッシング詐欺を作り、犯罪に手を染め、なおかつどこか楽しそうですらあった。
「被害者」ではなく「加害者になろうとした者」──これが彼女の立ち位置だ。
この構図は、社会の“底”で苦しむ者たちが、それぞれに方法を変えながら、今の体制に牙をむいているという物語でもある。
USBを使って病院を止めた者。
詐欺サイトを作って金を集める者。
そこにあるのは、同じ「声なき怒り」である。
そして今、視聴者は問われている。
誰が黒幕なのか?
ではなく──“何が彼らをここまで追い込んだのか”と。
それは決して他人事ではない。
もし自分が社会に無視され、理解されず、見捨てられ続けたら。
自分だったら、どこまで耐えられるのか──。
“感情”で振り返る第7話|視聴後に残るのは怒りか、切なさか
第7話の物語は、サイバーテロという“事件”の形をしていた。
だが、視聴者の心に残ったのは、爆発音でも、警察の活躍でもない。
誰にも知られず積み重ねられてきた怒りと、その奥にある“悲しみ”だった。
ラストの“ありがとう”が視聴者の心に残る理由
すべての真相が明かされた後、物語は不意に静かなクライマックスを迎える。
清掃員・高倉に向けて、病室の少女・真由が、かすれた声で語りかける。
「高倉さんの掃除が一番丁寧だって言っていたよ。いつもありがとう。」
このたった一言に、第7話すべての感情が凝縮されていたように感じられた。
怒り、虚しさ、孤独、後悔、そして希望。
高倉は、誰にも必要とされていないと思っていた。
でも、見ていた人はいた。
評価も報酬もない場所で、ただ真っ直ぐに働いていた人間に届いた“たったひとつのありがとう”。
その重みは、どんな制圧劇やサスペンスよりも深く心に刺さる。
それは、私たちが日々の中でどれほど“ありがとう”を言いそびれているかを気づかせる。
そして、誰かの存在を当たり前にしてしまっていることの罪を問いかけてくる。
高倉の行動は罪か、それとも声なき声の代弁か
もちろん、高倉の行動は正当化されるものではない。
USBを差し込み、病院の機能を停止させた行為は、明確な犯罪だ。
しかし、彼はその“意味”すら知らされていなかった。
彼に届いたのは、ただの一本のUSB。
差し込めば、きっと“誰かが気づいてくれる”──。
そう信じた、最後の手段だったのかもしれない。
それでも彼は、病院を壊したかったわけではない。
復讐を成し遂げたかったわけでもない。
ただ、自分がいたことを、誰かに気づいてほしかった。
高倉の姿に、私たちはふと“自分”を重ねる。
会社で、学校で、家庭で。
評価されない場所で懸命に生きている人たちの、姿なき叫び。
その叫びを、ドラマという形で描いてくれたことに、静かに感謝したくなる。
そしてふと思う。
最後の「ありがとう」は、本当はもっと早く言えたはずだったのにと。
この物語の結末がハッピーエンドかどうかはわからない。
でも、確かに心に何かを残していった。
それは「誰かのために働くこと」の尊さであり、「誰にも気づかれない存在の尊厳」だった。
誰にも見えない仕事が、この世界を回している
第7話を観ていると、病院というシステムが“生き物”のように見えてくる。
無数の人の手が、音もなく動き、清掃員も看護師もシステム管理者も、みんなそれぞれの歯車をまわしている。
だけど、どの歯車も壊れかけているように感じた。
システムが止まる瞬間、初めて人は“誰か”を思い出す
エレベーターが止まり、手術室が凍りつき、病院が沈黙したとき。
誰もが初めて、当たり前のように動いていた“裏側”を思い出した。
そのときに感じた焦りや不安は、単なるサスペンス的な緊張じゃない。
それは日常の裏にある「支えられていた現実」を思い知らされる痛みだった。
清掃員の高倉が差し込んだUSBは、単なるウイルスじゃない。
それは社会の“無関心”に対するリセットボタンだったようにも見える。
システムが落ちた瞬間、人は思い出す。
誰が空気をきれいにしていたか、誰が廊下を磨いていたか。
そして、自分がどれほど多くの人の“見えない努力”に依存していたか。
「ありがとう」は、いつも遅れて届く
真由の「ありがとう」は、遅すぎるほど遅かった。
けれど、それでも届いた。
その遅れた感謝の重みこそが、この回の“静かな爆発”だったと思う。
日常の中で、人は感謝を後回しにしてしまう。
忙しさ、習慣、照れ──理由はいくらでもある。
でも、その一言が届かないまま時間が過ぎていくと、人はどんどん透明になっていく。
高倉のように、怒りの形でしか声を出せなくなる人もいる。
だけど、その怒りの根はいつだって「見てほしい」という願いだ。
それを理解できたとき、このドラマは単なる刑事モノから一歩踏み出す。
見えない仕事がこの世界を支えている。
そして、感謝の言葉がそれを救う。
このシンプルな真実を、誰も語らないタイミングで突きつけてくるのが『絶対零度』らしさだと思う。
命令と信念のあいだにある“沈黙の絆”
第7話で最も静かに熱かったのは、サイバーテロでも黒幕の存在でもなく、佐生と掛川の一瞬のやり取りだった。
「これは命令です」と言い切る佐生の声の奥に、掛川だけが気づいた“揺らぎ”があったように見えた。
その一言の裏にあるのは、国家のためでも任務のためでもない、“人間としての限界線”だ。
組織に生きる者ほど、迷いを隠すのがうまい
佐生も掛川も、元公安という肩書きを持ちながら、今はDICTという曖昧な組織にいる。
そこは警察でも政治でもない、言わば“誰の責任にもならない場所”。
だからこそ、二人の「信念」が真っ向からぶつかる。
佐生は命令を優先した。
だがその目は、自分の決断を誰かが否定してくれることを望んでいるようにも見えた。
掛川が反発したとき、彼は怒らなかった。
むしろ安堵したような沈黙があった。
その瞬間、命令の裏で“迷い”を共有している二人が確かにいた。
組織の中に長くいると、正しいことを言うことよりも、「間違いを上手にやり過ごす」方が楽になる。
でも、掛川はまだその境地にいない。
彼は現場の空気を知っていて、理屈よりも“人の息づかい”で判断する。
だからこそ、佐生の合理性に一瞬でも人間味を見出してしまった。
“命令”の奥にあった、救いの願い
この二人の関係は、ただの上司と部下じゃない。
もっと根の深い、“同じ闇を見てきた者同士の信頼”のようなものがある。
その信頼は、言葉ではなく、沈黙の呼吸で交わされている。
佐生が「命令だ」と口にしたのは、権威のためではない。
掛川に「止めてくれ」と伝える、最後の手段だったのかもしれない。
命令という仮面を被って、迷いを隠す。
掛川はそれを察して、あえて反論した。
つまり、あのシーンは対立ではなく、“人として踏みとどまらせるための対話”だった。
正義や職務なんて言葉よりも、もっと原始的な感情――“誰かを見捨てたくない”という直感が、二人の間に流れていた。
だから、このドラマの“正義”は常に揺らいでいる。
理屈ではなく、人の体温で構築されている。
サイバー空間の冷たい光の中で、この二人の人間くささが逆に美しかった。
合理と情熱、任務と信念、そのどちらも正しい。
けれど、そこに“揺らぎ”がある限り、人は人でいられる。
それが、この回が描いた最もリアルな“人間ドラマ”だったと思う。
絶対零度 シーズン5 第7話を通して見えてきた人間ドラマの本質まとめ
表面的には、USBを使ったサイバーテロとその解決。
だが第7話が本当に描いていたのは、もっと深い、人間の尊厳と“見えない痛み”の物語だった。
事件が解決しても、何もスカッとはしない。
正義と罪、そして“見えない存在”へのまなざし
高倉は“犯人”というレッテルを貼られた。
だが、彼が抱えていたのは怒りよりも、感謝されなかった人生の哀しみだった。
誰にも気づかれず、誰にも守られず、それでも人のために働いてきた。
そんな存在が、ある日、誰かに利用され、加害者に仕立てられる。
その理不尽さに、視聴者はただ静かにうなずくしかない。
正義とは何か。罪とは誰が決めるのか。
見えない人たちに、私たちはどんなまなざしを向けているのか。
このドラマは、そうした問いを一つひとつ、丁寧に差し出してくる。
華やかな主人公や派手な捜査シーンよりも、名もなき人の心の機微にこそ、リアルが宿っていた。
そのリアルは、不器用で、苦しくて、だからこそ、観終わったあともずっと心に残り続ける。
次回への伏線と、まだ明かされない“真の黒幕”
物語は終わっていない。
ラストに浮上したのは、“総理の娘”カナの拘束事件。
写真と電話、そして謎の声。
明らかに、病院のサイバーテロと同一線上にある気配が漂っていた。
しかもカナは、以前から闇に足を突っ込んでいた。
フィッシング詐欺を作り、犯罪に加担し、どこか開き直っているようにすら見える。
彼女が“誘拐された被害者”というには、あまりにも不自然だ。
自ら選んでその場所にいる──そう視聴者に感じさせる演出は見事だった。
では、彼女を動かしている“黒幕”とは誰なのか。
次回以降の展開で、DICTの過去、そして佐生や中野の本当の顔が浮かび上がってくるだろう。
物語の“中心”にいたと思われていた人物たちが、実は別の大きな歯車の中にいた──。
その可能性に、今から鳥肌が立つ。
そして、こうも思う。
正義の顔をした者こそが、最大の黒幕かもしれないと。
第7話は、ドラマの中盤でありながら、感情の“底”を見せてきた。
静かで、冷たく、重く、でもどこかあたたかさの残る30分。
この余韻を抱えたまま、次回の“真実”に向かって進んでいく。
- 第7話は“声なき存在”の怒りと哀しみが描かれる
- 清掃員・高倉の動機は感謝されない日々から生まれた
- 「ありがとう」は届くのが遅すぎたが確かに響いた
- サイバーテロの裏に別の黒幕と私怨が潜む
- DICTと警察の機能不全が事件の混乱を拡大させた
- 佐生と掛川の“命令と信念”が静かにぶつかる
- 誰が黒幕かより「なぜそこまで追い込まれたか」に注目
- 見えない仕事と支える人間への眼差しを再考させられる




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