ドラマ『水平線のうた』前編では、震災で妻子を失ったタクシー運転手・大林賢次(阿部寛)が、少女・りら(白鳥玉季)との出会いを通じて「風になった妻子」の記憶をたどる物語が展開されました。
りらが口ずさんだ旋律は、賢次の亡き妻・早苗(松下奈緒)が演奏していた曲でした。偶然か運命か、その楽譜が大船渡の喫茶店に13年間も保管されていたことが発覚します。さらに、りらには亡くなった人の記憶が見えるという不思議な力があり、賢次は彼女の言葉を通して過去と向き合うことになります。
震災の記憶、喪失と再生、音楽が繋ぐ想い——感動的な物語の前編を詳しく解説し、考察していきます。
- ドラマ『水平線のうた』前編のあらすじと主要な展開
- 亡き妻・早苗が遺した楽譜の意味とその背景
- 少女・りらが持つ「亡くなった人の記憶を見る能力」の謎
りらが口ずさむ旋律と賢次の記憶
物語の始まりは、公園で及川皇(中川翼)がチェロを演奏するシーンからでした。
その音色に耳を傾ける人々の中に、タクシー運転手の大林賢次(阿部寛)と、偶然乗せた女子高生・りら(白鳥玉季)がいました。
りらが口ずさんでいた曲に賢次は聞き覚えがあると感じます。
それは、震災で亡くなった妻・早苗(松下奈緒)が生前に練習していた曲でした。
タクシーの中で響いた「見知らぬ曲」
りらが何気なく口ずさむ旋律に、賢次は驚きを隠せません。
「どこでその曲を覚えたんだ?」と尋ねると、りら自身も曲名は知らないと言います。
しかし、彼女はその旋律をはっきりと記憶しており、「もう一度聴かせてほしい」と頼む賢次の前でハミングします。
賢次は「その曲は妻が亡くなる1か月前に練習していた」と告白し、りらは「大船渡に行けば何かわかるかもしれない」と提案。
こうして二人は、大船渡への旅に出ることになります。
楽譜が繋ぐ13年前の記憶
大船渡の音楽喫茶店で、二人を迎えたのは店主の三好(宇野祥平)夫妻でした。
りらはピアノの三好と共にリコーダーでその旋律を奏でます。
その瞬間、三好の妻が古びた手書きの楽譜を取り出しました。
それは13年前に流れ着いたものであり、その筆跡を見た賢次は「これは妻の字だ」と確信します。
さらに、三好は「これはパート譜面で、おそらく四重奏の楽譜ではないか」と説明します。
妻・早苗が遺した楽譜は、一体どのような意味を持つのか?
りらの不思議な能力とは?
物語が進むにつれ、りらには特別な能力があることが明らかになっていきます。
彼女は「亡くなった人の記憶が見える」と語り、それが賢次の妻・早苗に関する重要な手がかりとなります。
一体、りらの能力とは何なのでしょうか?
亡くなった人の記憶を宿す少女
りらは、「私は霊が見えるときもあるし、亡くなった人の記憶が自分の中に入ってくることもある」と語ります。
彼女が口ずさんでいた曲も、どこで覚えたのか分からないまま頭の中に残っていたものでした。
この能力を持つ彼女は、賢次の妻・早苗が残した「水平線のうた」と深い繋がりを持っている可能性が高いのです。
りらの「風の導き」が示すもの
りらは、自分が何かに導かれるようにしてタクシーに乗ったと説明します。
「風がいろんな記憶を落としていく」と言い、まるで過去の出来事が風に乗って彼女のもとへやってくるかのようでした。
その言葉に賢次は驚きを隠せず、「俺しか知らないことをなぜ君が知っているんだ?」と問いかけます。
りらは、「それは早苗さんの記憶なの」と答え、賢次は彼女の能力を信じざるを得なくなります。
果たして、りらの能力は「水平線のうた」の真相を明かす鍵となるのでしょうか?
早苗が残した『水平線のうた』とは
賢次が妻・早苗の楽譜を見つけたことで、その曲『水平線のうた』がどのような意味を持つのかが少しずつ明らかになっていきます。
単なる思い出の曲ではなく、それは未完の四重奏曲であり、早苗の「ある想い」が込められていました。
四重奏のための楽譜の謎
音楽喫茶店の店主・三好(宇野祥平)は、この楽譜が四重奏のために書かれたものだと指摘しました。
ピアノ、チェロ、フルート、クラリネットで構成されたこの曲は、誰か特定の人々によって演奏される予定だったと考えられます。
りらの記憶をたどると、早苗は震災前、地元の人々のためにミニコンサートを開いていたことがわかります。
つまり、『水平線のうた』は、早苗が震災の年に演奏する予定だった曲だったのです。
賢次へのサプライズだった楽曲
さらに、賢次が楽譜の本当の意味を知る場面も描かれました。
楽譜を見た菊池敏子(加藤登紀子)は、「これは結婚10周年に早苗が賢次に贈るはずだった曲」だと告げます。
早苗は密かに仲間たちと計画し、この曲を記念として演奏するつもりだったのです。
しかし、震災によりその想いは叶わず、楽譜だけが長い年月を経て、今、賢次のもとへと戻ってきました。
13年の時を経て、この未完の楽曲は再び命を吹き込まれることになるのでしょうか?
震災と向き合う賢次の決意
13年前の震災で妻子を失った賢次は、それ以来ずっと過去と向き合うことを避けて生きてきました。
しかし、『水平線のうた』の楽譜が彼の元へ戻ってきたことで、彼はついに妻・早苗と娘・花苗の思い出に向き合う決意を固めます。
なぜ彼はタクシー運転手になったのか
震災前、賢次は仙台の建設会社で設計士として働いていました。
しかし、震災後、彼は設計の仕事を辞め、タクシー運転手になりました。
その理由を「震災の後、タクシーには時々霊が乗ると聞いて、なんとなく始めた」と語ります。
最初は半信半疑だったものの、りらとの出会いを通じて、「霊が導いてくれたのかもしれない」と考えるようになりました。
これは単なる迷信ではなく、自分自身が妻子の記憶を受け入れる準備ができていなかったからこそ、過去を振り返らない生き方を選んできたのかもしれません。
「もう一度、家に帰る」——再生への一歩
物語の終盤、賢次はりらに「次は二人を家に連れて帰る」と語ります。
これは、彼が早苗と花苗の魂を受け入れ、自分の人生を取り戻す決意をした瞬間でした。
震災以降、彼はどこか「自分は生き残ってしまった」という罪悪感を抱えていました。
しかし、妻が遺した楽譜を通じて、「自分が前に進むことで、亡き人々の思いを繋げることができる」と気づいたのです。
そして、その楽譜を四重奏として完成させることこそが、彼にとっての「再生」への一歩となるのでしょう。
『水平線のうた』前編まとめ|後編への期待
『水平線のうた』前編では、亡き妻が遺した楽譜をめぐり、過去と向き合う賢次の姿が描かれました。
また、りらの不思議な能力によって、震災で失われた記憶や想いが呼び起こされる展開となりました。
賢次はついに「もう一度、家に帰る」と決意し、物語は後編へと続いていきます。
音楽が繋ぐ記憶と癒し
この作品の大きなテーマのひとつは、音楽が人の記憶を繋ぐ力です。
早苗が残した『水平線のうた』は、賢次だけでなく、りらや周囲の人々の心にも響いていました。
特に、震災を経験した人々の記憶が音楽を通じて蘇り、それが新たな一歩を踏み出すきっかけとなる点が印象的です。
後編では、この楽曲がどのように演奏されるのかに注目が集まります。
最終的に誰が「水平線のうた」を演奏するのか?
『水平線のうた』は、元々四重奏として演奏される予定だった楽曲でした。
しかし、当時演奏を予定していたメンバーは、震災で亡くなってしまっています。
では、誰がその楽曲を完成させるのでしょうか?
考えられる候補として、
- りらと賢次が中心となり、遺された人々が楽譜を完成させる
- 震災を乗り越えてきた人々が集まり、鎮魂の意味を込めて演奏する
- りらの能力によって「風が運んできた」形で演奏が実現する
どの形であれ、この楽曲が亡き人々の想いを繋ぐ象徴として描かれることは間違いないでしょう。
後編では、賢次がどのように過去を乗り越え、音楽とともに前へ進んでいくのかが大きな見どころとなりそうです。
- 『水平線のうた』前編は震災で妻子を失った賢次(阿部寛)の物語
- 少女・りら(白鳥玉季)の口ずさむ曲が、亡き妻・早苗の遺した楽譜と判明
- 楽譜は四重奏のために作られ、震災で叶わなかった演奏計画が浮かび上がる
- りらは亡くなった人の記憶を感じ取る能力を持ち、賢次の過去と深く関わる
- 賢次はついに「もう一度、家に帰る」と決意し、再生への一歩を踏み出す
- 後編では『水平線のうた』が誰によって演奏されるのかが大きな見どころ
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