新作ガンダムシリーズ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』は、ガンダムファンに大きな衝撃を与えています。
その理由は、シャア・アズナブルが“赤いガンダム”に搭乗してジオン公国を勝利に導くという、これまでにないIF展開が描かれているからです。
本記事では、この「ジークアクス」とは何か、その物語に登場する赤いガンダムの謎、そして作品の魅力や裏設定について、考察と感想を交えながら解説します。
※本記事には『ジークアクス』劇場版および第1~2話までのネタバレを含みます。
押さえておきたいポイント
別世界線のガンダム
『ジークアクス』の世界は宇宙世紀の正史とは異なるパラレルワールドで、「もし一年戦争でジオンが勝利したら…?」というIFストーリーになっています。
シャアがガンダムに乗りジオン軍を勝利に導くなど、原作とは全く違う展開が見どころです。
“赤いガンダム”の謎
本来アムロ・レイが搭乗するはずだったガンダム(RX-78)が赤く染まり、シャアに鹵獲されてしまいます。
終戦間際にシャアと共に行方不明となったこの赤いガンダムは、後に謎の少年シュウジ・イトウによって再び姿を現すことになります。
赤いガンダムの行方とシュウジの正体は物語の大きな謎となっています。
主人公機「ジークアクス」
タイトルにもなっているジークアクスは、女子高生パイロットであるアマテ・ユズリハ(エントリーネーム:マチュ)が操縦する謎の最新鋭モビルスーツです。
違法な決闘競技《クランバトル》においてチーム「ポメラニアンズ」の機体として投入されており、従来のガンダムシリーズにはない斬新な設定となっています。
シリーズ初の製作タッグ
本作は『エヴァンゲリオン』シリーズのスタジオカラーとサンライズ(バンダイナムコフィルムワークス)が初めてタッグを組んで制作している点も注目です。
監督は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の鶴巻和哉、脚本に榎戸洋司と庵野秀明が参加するなど、豪華スタッフ陣による意欲作となっています。
それでは、以上のポイントを踏まえつつ、物語の概要や赤いガンダムの秘密、そして裏設定に至るまで詳しく見ていきましょう。
ジークアクスとは?別世界線で描かれる新たなガンダム
『機動戦士ガンダム ジークアクス』は、宇宙世紀(U.C.)をベースにしながらも公式の歴史とは異なる世界線で展開する新作ストーリーです。
テレビシリーズは2025年4月より放送開始され、放送に先駆けて一部エピソードを再構成した劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』が2025年1月に公開されました。
タイトルの「ジークアクス」はカタカナですが、公式の英字表記ではGQuuuuuuX(読みはジークアクス)と表記されており、その意味深な綴りもファンの興味を引いています。
物語の大枠は一年戦争(U.C.0079)を題材にしていますが、原典とは異なる歴史改変が起こっているのが最大の特徴です。
具体的には、一年戦争中のサイド7でシャア・アズナブルが地球連邦軍の新型MS「ガンダム」を鹵獲し、そのまま戦局をジオン有利に傾けてしまいます。
この世界では、アムロ・レイがガンダムに乗らなかったことで歴史が分岐し、終戦までにジオン公国軍が一年戦争に勝利するというIF展開が描かれるのです。
こうした設定から、『ジークアクス』の世界は「『機動戦士ガンダム』とは別の世界線」とされています。
いわば「もしも一年戦争でジオンが勝っていたら?」という仮想の宇宙世紀を舞台にしており、原作ファンにとって驚きの連続でしょう。
シャアがガンダムに乗り活躍する姿はまさに異色であり、「シャアが主人公になった世界」とも言えるかもしれません。
その一方で、宇宙世紀の基本用語や戦争の経緯などは抑えられているため、ガンダム初心者でも大筋の流れは理解しやすい物語になっています。
登場作品とメディア展開:劇場版とテレビシリーズ
『ジークアクス』はメディアミックス的な展開も特徴です。
まず2025年1月17日に公開された劇場版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』は、テレビシリーズ前半のダイジェスト的な内容を再構成したものです。
映画『Beginning』では冒頭に一年戦争のIFストーリー部分が描かれ、中盤以降でテレビシリーズ本編につながる導入が示されました。
この映画の公開により、「シャアが赤いガンダムで戦う」という衝撃の設定が一気に世間に知れ渡り、多くのファンをざわつかせました。
テレビアニメ『機動戦士ガンダム ジークアクス』は2025年4月より放送開始されており、毎週新たなエピソードが展開されています。
第1話「赤いガンダム」では、新主人公アマテ・ユズリハが物語に巻き込まれるきっかけと、謎のMS「赤いガンダム」の出現が描かれました。
第2話「白いガンダム」では、一年戦争の裏側(シャアがガンダムを鹵獲した経緯からジオン勝利まで)が語られ、オリジナルの『機動戦士ガンダム』との違いが明確に示されています。
このように、テレビシリーズは過去(IF一年戦争)と現在(U.C.0085時点の物語)を織り交ぜつつ進行していきます。
なお、テレビシリーズは日本テレビ系で放送されると同時に、Amazonプライムビデオで見逃し配信も行われています。
既存ファンだけでなく、新規層にもリーチするための展開がなされており、メディア露出も積極的です。
例えば、劇場公開時には週替わりの来場者特典として設定資料集が配布され、庵野秀明による初期構想プロットなど貴重な資料が公開されるなど話題となりました。
ストーリー概要: シャアと赤いガンダムが導く意外な展開
一年戦争IFストーリー – シャアがガンダムを鹵獲
物語の過去パート(劇場版および第2話)では、我々が知る一年戦争が大きく様相を変えて描かれています。
宇宙世紀0079、サイド7に偵察に訪れたシャア・アズナブル大佐は、連邦軍の極秘プロジェクトである「V作戦」の要であった試作モビルスーツガンダム(RX-78-02)を強襲し、これを鹵獲することに成功します。
本来ならアムロ・レイ少年が乗り込んで連邦の切り札となるはずだった機体が、敵方であるジオン軍のエース・シャアの手に渡ってしまったのです。
シャアは鹵獲したガンダムを自らの愛機として赤いカラーリングに塗装し(彼の異名「赤い彗星」にちなんでいるのでしょう)、以後の戦闘に投入します。
この“赤いガンダム”に乗ったシャアは圧倒的な戦果を挙げ、原作では連邦優勢だった戦局を一転させてしまいました。
ジオン公国軍はソロモン、ア・バオア・クーといった要塞戦でも優位に立ち、連邦軍は終戦間際には月のルナツーが総攻撃を受ける寸前にまで追い詰められています。
この世界線におけるシャアは、オリジナルのシャアよりも遥かに高いニュータイプ能力を発揮している描写がなされています。
実際、『機動戦士ガンダム』本編でのシャアはニュータイプとして伸び悩む一面もありシロッコに「ニュータイプのなりそこない」と揶揄されたほどでしたが、ジークアクス世界のシャアは自らジオンを勝利に導くほど卓越した存在となっています。
名実ともに“アムロ不在の世界の主人公”となったシャアは、親友(?)のララァ・スンがいなくとも己の力で道を切り開いているように見えます。
シャアの行方不明と“ゼクノヴァ”現象
ところが、一年戦争の終戦直前に予想外の事件が発生します。
ジオン勝利目前の宇宙要塞ソロモンで、赤いガンダムのサイコミュが暴走し謎の発光現象「ゼクノヴァ」を引き起こしたのです。
眩い光とともにガンダムとソロモンの一部が空間から忽然と消失し、乗っていたシャア・アズナブルも行方不明となりました。
勝利を目前にしてエースを失ったジオン側ですが、シャア不在のままでも戦争自体はジオン有利のまま終結を迎えています(=ジオン公国の勝利で一年戦争終戦)。
この「ゼクノヴァ」と呼ばれる超常現象は、物語の重大な謎として現在の時代(U.C.0085)にも影を落としています。
劇中では、ニュータイプ同士が脳波で交信できるサイコミュ技術がゼクノヴァ発生に関与したと示唆されています。
シャア失踪の際、彼は誰か(おそらく遠い場所にいる人物)に呼びかけられて転移したのではないか…という噂も登場人物の間で語られています。
ファンの間で有力視されているのが、「シャアを呼んだ人物」としてララァ・スンの名前です。
ララァはオリジナルではシャアの人生に大きな影響を与えたニュータイプの少女ですが、『ジークアクス』本編(U.C.0085の世界)には現在未登場です。
しかしゼクノヴァ現象とサイコミュを考えると、ララァの存在を匂わせる要素が随所に見られます。
もしシャアがララァとサイコミュ越しに交信し、その結果としてララァがいる原作世界へ転移してしまったのだとすれば、ララァ不在の理由やシャアのその後も説明がつくかもしれません。
さらに、このゼクノヴァについてジオン側(キシリア・ザビ)は「シャロンの薔薇」という謎のオブジェクトが関与している可能性を示唆しています。
劇中では詳細に触れられていませんが、グラナダ基地地下に保管されていたこの物体がシャアと共に消失したとも言われ、SF的な裏設定が用意されているようです。
シャアがどこへ消えたのか、ララァやシャロンの薔薇とは何なのか――これらは今後の物語で解き明かされるべき最大の謎と言えるでしょう。
赤いガンダムの謎とキーキャラクターたち
再び現れた赤いガンダムとシュウジ・イトウ
シャアと共に消えたはずの赤いガンダムが、終戦から数年後のU.C.0085に再び姿を現します。
しかもそのパイロットはシャアではなく謎の少年シュウジ・イトウでした。
物語の現代パート(テレビシリーズ第1話後半~第3話)において、シュウジは突如サイド6・イズマコロニーに赤いガンダムで飛来し、コロニー内に侵入します。
当然ながらジオン軍(この世界では戦勝国の支配勢力)やコロニー軍警察は大混乱に陥り、軍警ザクとの激しい市街戦が勃発しました。
この戦闘に偶然巻き込まれたのが、主人公のアマテ・ユズリハです。
彼女は民間の違法ジャンク屋で発見された試作MS「ジークアクス」に咄嗟に乗り込み、シュウジの赤いガンダムと共闘する形で軍警ザクと渡り合いました。
混乱の末、シュウジはコロニーから姿を消し、ジークアクスはその場に居合わせたアマテの手に委ねられることになります。
この一件がきっかけで、アマテは「マチュ」というコードネームでクランバトルに参戦することになり、物語が本格的に動き出します。
しかしシュウジと赤いガンダムの謎は残されたままです。
彼らは一体どこから来たのか?
物語中で明かされたヒントとして、シュウジの隠れ家にあった一隻のスペースランチ(脱出艇)が挙げられます。
このランチ艇は、連邦軍が使用していたデザインそのままのものでした。
『ジークアクス』の世界では、登場するモビルスーツや艦艇、キャラクターのビジュアルはすべてリファイン(再デザイン)されているのに対し、このランチだけが唯一オリジナル版と全く同じ外観だったのです。
この事実から推測されるのは、「シュウジ・イトウはオリジナルの宇宙世紀世界(連邦が存在する世界線)から来たのではないか」という可能性です。
もし仮に、先のゼクノヴァ現象でシャアが原作世界に飛ばされていたとすれば、シュウジはその原作世界でシャアと出会った人物なのかもしれません。
シャアはジークアクスの世界でやり残したこと(例えばジオン残党の未来など)を託すために、自分の乗っていた赤いガンダムごとシュウジを送り出した、といった筋書きも考えられます。
シュウジ自身も謎の多いキャラクターで、コロニーの外壁にグラフィティを描いて回る型破りな少年ですが、その目的や素性はまだ明かされていません。
彼が持ち歩いている自作の四脚ロボット「コンチ」など細かな設定も含め、シュウジは物語の鍵を握る存在です。
シャア不在の世界で台頭するシャリア・ブル
もう一人、赤いガンダムの謎に深く関わる人物としてシャリア・ブルの存在が挙げられます。
シャリア・ブルは原作『機動戦士ガンダム』では終盤に登場したニュータイプ専用MAビット機のパイロットですが(劇中では戦死)、ジークアクスの世界では生存しジオン軍で重要な役割を果たしています。
彼はシャア失踪後のU.C.0085時点で中佐に昇進しており、巡洋艦ソドンの艦長として行方不明となったシャア(と赤いガンダム)を捜索し続けている設定です。
さらに興味深いのは、ジークアクス世界にララァ・スンが登場しない代わりに、そのポジションを事実上シャリア・ブルが担っている点です。
宇宙世紀正史ではララァがシャアとアムロ双方にとって特別なニュータイプとなりましたが、ジークアクス世界ではシャアの側にシャリアという男性ニュータイプパートナーがいたことになります。
実際、先述の一年戦争IFストーリーでは、シャアとシャリアがコンビを組んでMS戦術「M.A.V.(マヴ)」を確立したと語られています。
M.A.V.とは詳細不明ですが、2機のMSによる連携戦術のようで、シャア=赤いガンダムとシャリア=ブラウ・ブロ(?)のコンビだった可能性があります。
シャリアは0085年でも引き続きシャアの捜索に奔走しており、シュウジや赤いガンダムを追ってサイド6の軍警察と交渉するシーンも描かれました。
彼にとってシャアは上官であると同時に同志的存在でしょうから、必ずやもう一度シャアと相まみえる展開がありそうです。
シャリアが物語に深く絡むことで、ララァ不在問題やニュータイプ論にも新たな切り口が生まれています。
「シャアにララァは必要ない?」というファンの考察もあるほどで、自信に満ち揺るぎないジークアクス版シャアには、導いてくれる母性的存在(=ララァ)は不要なのではないかとも指摘されています。
このあたりのテーマは、今後ララァ本人が登場するのか否かと合わせて注目ポイントです。
主人公機「ジークアクス」のスペックと特徴
タイトルにもなっているモビルスーツ「ジークアクス」は、本作オリジナルの機体であり物語のもう一つの主役とも言える存在です。
正式名称はGQuuuuuuX(ジークアクス)で、型式番号はgMS-Ω(オメガ)と設定されています。
その名の通り最新鋭の試作MSであり、機体色は白と紺を基調に発光するバイザーが特徴的な近未来的デザインです。
開発経緯やメーカーなど詳細な公式設定は明かされていませんが、「謎の最新鋭モビルスーツ」として劇中に登場します。
ジークアクスはアマテ・ユズリハ(コードネーム:マチュ)が搭乗する機体で、非合法モビルスーツ決闘競技《クランバトル》において使用されます。
アマテは成り行きでこの機体を手に入れたものの、元々はクランバトルチーム「ポメラニアンズ」の所属機体でした。
クランバトルとは宇宙世紀世界で流行しつつある裏競技で、民間人同士がMSで決闘し賞金を稼ぐ闇試合のようなものです。
ジークアクスは、その違法バトル用に用意されたカスタム機とも考えられます。
現時点で判明しているジークアクスの基本スペック・特徴をまとめると次の通りです。
- 型式番号:gMS-Ω(オメガ)
- 所属:クランバトルチーム「ポメラニアンズ」の機体(のちにアマテ個人所有)
- 搭乗者:アマテ・ユズリハ(コードネーム:マチュ)
- 機体性能:詳細不明(最新鋭機ゆえ量産機ザクを圧倒する性能と推測)
- 特殊装備:オメガ・サイコミュ搭載の可能性あり(ニュータイプ用の新型サイコミュシステム内蔵か)
とくに最後のオメガ・サイコミュというワードは注目です。
サイコミュとはニュータイプ能力をMS兵器に反映させるためのシステムですが、ジークアクスにはそれをさらに発展させた「Ω(オメガ)」の名を冠する新型が組み込まれている模様です。
劇中では、ジオン軍人のエグザベ・オリベがニュータイプ適性を期待されジークアクスを与えられたものの、このオメガ・サイコミュを起動できずに赤いガンダムを取り逃がした…というエピソードが語られています。
このことから、ジークアクスはニュータイプ(もしくはそれに準ずる適性者)でなければ真価を発揮できない機体である可能性があります。
今のところパイロットのアマテはごく普通の一般人ですが、物語が進むにつれ彼女の中にもニュータイプ的素質が開花するのかもしれません。
デザイン面でも、ジークアクスはファンの興味を引く存在です。
メカニカルデザインを担当したのは山下いくと氏で、エヴァンゲリオンのメカなども手掛けたクリエイターです。
そのためジークアクスのフォルムにはどことなくエヴァやSFロボットアニメのエッセンスが感じられ、従来の「ガンダムタイプ」とは一線を画す斬新さがあります。
また、本機は頭部にツインアイ(ガンダムのカメラアイ)を持たない珍しいガンダム系MSでもあります。
代わりにバイザー状の単眼センサーが光っており、一見するとガンダムというより異質な試作機・もしくは敵側MSのようにも見えるデザインです。
このあたりも「正史とは異なるガンダム」の象徴として意図されたデザインかもしれません。
武装に関しては映像描写から、ビームサーベルやバルカン砲などオーソドックスな装備を持つようですが、詳細スペックは今後の公式情報待ちです。
先述のオメガ・サイコミュに関連してビット兵器などが登場する可能性も示唆されており、(赤いガンダムには実際ビットが2基追加装備されていました)ジークアクスも後々隠された能力を発揮するかもしれません。
裏設定・制作トリビア:ファン必見の豆知識
ここからは、『ジークアクス』をより深く楽しむための裏設定や制作に関するトリビア的な情報をいくつか紹介します。
既存のガンダムファンなら思わずニヤリとするネタや、制作陣の意図を感じさせる興味深いエピソードが多数あります。
庵野秀明の深い関与
本作の脚本には『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明氏が参加しています。
実は『ジークアクス』の一年戦争IFパート(シャアが赤いガンダムに乗るプロット)は庵野氏の初期構想がベースとなっており、「シャアが赤いガンダムで戦う」というアイディアは彼のプロットからそのまま採用されたそうです。
庵野氏は大のガンダム好きとして知られますが、自身の作品でその“妄想”を公式に実現させた形になっており、ファンにとっても制作側にとっても夢のコラボと言えるでしょう。
スタジオカラー×サンライズ初タッグ
制作スタジオ面でも特筆すべきポイントがあります。
本作はサンライズ(現BNフィルムワークス)と庵野秀明氏率いるスタジオカラーの共同制作であり、これはガンダムシリーズ史上初の試みです。
監督の鶴巻和哉氏やシリーズ構成の榎戸洋司氏など、『エヴァ』にゆかりの深いスタッフが多数参加しています。
そのため映像面でも非常に作画クオリティが高く、シャアやモビルスーツが「美麗かつ今風な作画」で描かれている点も見逃せません。
シャアの仮面の下の素顔が現代的イケメン描写で拝める日が来るのか、ファンから期待の声も上がっています。
旧作キャラ&メカのリファイン
ジークアクスの世界には、一年戦争時代のおなじみのキャラクターやモビルスーツが多数登場します。
ただし、前述した通りそれらのビジュアルはほぼ全て新規デザインで描き起こされました。
例えばザクIIは各勢力(軍警察仕様や民間仕様など)ごとに細部がアレンジされ、ガンキャノンやホワイトベース系の艦船も新解釈のデザインになっています。
キャラクターも、カイ・シデンやハヤトといった人物が登場するものの服装や容姿は現代風にリメイクされています。
一方で前述の連邦軍ランチ艇のように意図的にオリジナルデザインを残したものもあり、ファンサービス的な「お遊び」を探すのも一興です。
シャア専用のその後
シャアが使用していた機体群も本作では健在です。
シャア専用ザクII(赤いザク)は一年戦争序盤のみ登場し、その後シャアが赤いガンダムに乗り換えたため放棄されたようです。
しかしア・バオア・クー戦では代わりにシャア専用ゲルググではなくガンダムに乗っていたり、シャアの乗艦もムサイ改「ファルメル」から鹵獲連邦艦に変更されていたりと、細かな差異が散りばめられています。
こうした「もしもシャアが○○に乗っていたら…」的なお約束は、過去のゲーム作品(『ギレンの野望』シリーズ等)でも描かれたことがありますが、公式映像作品で堂々とやってみせた点が痛快です。
宇宙世紀0085年の世界情勢
本作の現在パートの年代はU.C.0085とされています。
一年戦争でジオンが勝利した後の世界がどうなったのかも興味深いところです。
劇中設定によれば、サイド6など中立コロニーは引き続き自治権を保有していますが、空域はジオンが管轄しており治安維持にあたる軍警察も駐留しているようです。
地球連邦政府は健在ではあるものの、大勢はジオンに従属しているか休戦状態にあると推測できます。
その中で連邦系の技術や人物(カムラン・ブルームなどサイド6の連邦寄り政治家も登場)がどう絡んでいるかも見どころです。
宇宙世紀という土台を使いながら、「もうひとつの0080年代」を描いている点で世界観考察も捗ります。
まとめ・感想: 既存ファンも初心者も楽しめる新たなガンダム像
『機動戦士ガンダム ジークアクス』は、長年培われてきたガンダム宇宙世紀シリーズに大胆なIF設定を盛り込み、新旧ファンの興味を同時に引き寄せる意欲作です。
シャアが主人公のように活躍し、赤いガンダムが飛び回る物語は、往年のファンにとって「こんなのアリ!?」と驚きつつもワクワクが止まらない展開でしょう。
随所に散りばめられた宇宙世紀ネタや裏設定(ララァへの言及やシャリア・ブルの活躍など)は、古くからのファンほどニヤリとできるサービス精神が感じられます。
一方で、アマテやシュウジといった新キャラクターの視点で物語が進むため、ガンダム初心者でも置いてけぼりになりにくい親切設計になっています。
アマテは普通の女子高生であり、彼女がジークアクスに乗って成長していく物語は王道のロボットアニメ的なワクワク感があります。
シュウジの抱える謎や、クランバトルという新要素もスリリングで、単純に一つのSFアクション作品として楽しめるでしょう。
特に筆者が感じた魅力は、「もしも」の設定を徹底的に作り込んでいる点です。
ジオン勝利という大枠だけでなく、その後の世界のあり方、人間関係、技術発展まで考証が行き届いており、単なる思いつきのIFではなく一つの世界観としてリアリティを持っています。
例えばシャア不在のジオン軍でシャリアが奮闘していたり、地球圏各所で不穏な動き(違法バトル流行や勢力間の思惑)が渦巻いていたりと、「もう一つの宇宙世紀史観」が感じられるのです。
今後の展開では、シャアとララァの物語への関与、そして赤いガンダムとジークアクスの直接対決などが期待されます。
シャア・アズナブルはこのまま別世界に消えたままなのでしょうか?
それとも再びジークアクスの世界に戻ってくるのか?
彼が復活すれば、“仮面の男”シャアと素顔のシュウジという対比も一層ドラマチックになるはずです。
また、アマテとシュウジのバディ(=M.A.V.)もどのように発展していくのか目が離せません。
『ジークアクス』はガンダムシリーズの新たな挑戦であり、原点へのオマージュと革新を同時に楽しめる作品です。
既存ファンは裏設定やIF展開に思いを馳せながら、初心者の方もアマテたちの冒険譚としてドキドキしながら、この「赤いガンダム」が導く物語を追体験できるでしょう。
今後明かされるであろう数々の謎に想いを巡らせつつ、引き続き『ジークアクス』の世界を堪能したいと思います。
- 『ジークアクス』は一年戦争IF世界を描く新作ガンダム
- シャアが赤いガンダムに乗りジオンを勝利へ導く展開
- 謎の少年シュウジ・イトウと赤いガンダムの再登場
- 主人公アマテが最新鋭機ジークアクスを操る
- スタジオカラーとサンライズ初の共同制作
- ニュータイプ技術とゼクノヴァ現象の謎が鍵
- シャリア・ブルが重要キャラクターとして台頭
- 既存ファンも初心者も楽しめる親切設計
- 「もう一つの宇宙世紀史観」が描かれる作品
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