相棒season15第2話「チェイン」は、冠城亘が正式に特命係に配属されてからの初めての事件です。
キーワードは「煙のように消えた男」と「香りだけを手掛かりにした捜査」。そして、その裏に隠された“18年前の罪”と“今も続く鎖(チェイン)”が核心を握ります。
本記事では、右京と冠城の捜査が導き出した「香りが繋ぐ過去と現在」、そして“特命係らしさ”が際立った再現実験の意味を、キンタの視点で深掘りしていきます。
- 相棒「チェイン」が描く罪と記憶の連鎖
- 香りによって暴かれる過去と人間関係の真相
- 右京と冠城が真のバディになるきっかけ
リトルシガーに秘められた「罪の記憶」──煙のように消えた男の正体とは?
香りだけを頼りに人を捜す──そんな“非現実的な依頼”から始まった、冠城亘の特命係としての最初の事件。
しかしこの第2話『チェイン』は、ただの「人探し」では終わらない。
リトルシガーに秘められた「香り」が、1年前と18年前の2つの事件を“罪の連鎖”として浮かび上がらせていくのだ。
1年前の事件と18年前の“事故”を繋ぐ香りの鎖
今回の事件の核心にあるのは、煙のように消えた男・工藤春馬という存在だ。
彼を探しているのは、右京に依頼をした羽賀、そして冠城に依頼をした桜子。
それぞれが語る工藤の姿は、同じ“香り”の記憶によってつながっている。
その“香り”とは、コーヒーと紅茶がブレンドされたオリジナルのリトルシガーの香り。
しかし、実はそれこそが、工藤春馬という存在を覆い隠す「仮面」だった。
話が大きく動いたのは、山中で発見された一体の遺体。
その人物は、1年前に暴力団関係者を殺害し、逃亡していた野中という男だった。
遺体のそばには、あの香りと同じ銘柄のリトルシガーの吸い殻が落ちていた──。
このシーンで私が震えたのは、香りが「物的証拠」ではなく「記憶の鍵」として機能していたことだ。
右京たちが追っていた“工藤”は、本当に「工藤」だったのか?
記憶が香りに染まり、真実を包み隠してしまう。
工藤春馬=石田祐太というもう一つの顔
後に明らかになる事実、それは──
工藤春馬の正体が「石田祐太」という全く別の人物だったということ。
石田は映画プロデューサーではなく、ただの風俗店の運転手。
しかし、紅茶とコーヒーの香りを融合させたリトルシガーを独自にブレンドし、それを通して他人と“繋がり”を築いていた。
では、なぜ石田は「工藤」を演じ、そして煙のように消えなければならなかったのか。
それは、18年前の“ある事故”に端を発する「罪の連鎖」が関係していた。
桜子の義父が工事現場で転落死したあの事故。
そのとき義父が吸っていたのも、pourquoiというタバコだった。
あのときの事件が“事故”でなかったとすれば?
その場にいた野中、羽賀、そして桜子──それぞれが関与した可能性がある「過去」が、石田にとっての“見えない鎖”となっていた。
石田は、野中の死をきっかけにすべてを悟り、自ら毒入りシガーを吸い、静かにこの世を去る。
「罪をなかったことにはできない。でも、誰かの代わりに背負うことはできる」
彼の最期から、私はそんな言葉が聞こえた気がした。
罪は記憶として、香りに宿り、そして人の心を繋いでいく。
香りを追う捜査とは、感情と記憶をなぞる“心の捜査”なのだと、右京と冠城は教えてくれた。
「右京と冠城」の関係性が動き出す──冠城の“仕掛け”の意図とは
『チェイン』というタイトルにふさわしく、事件だけでなく“人間関係”も静かに連鎖していく。
それは事件の裏側で、特命係に新たに加わった冠城亘の“最初の事件”が、右京との関係性を結び直す物語にもなっていたということだ。
このエピソードが他と違うのは、冠城がただ“巻き込まれた”のではなく、“仕掛けた側”だったという点にある。
偶然のようで仕組まれていた“共同捜査”の裏側
右京が受けた依頼と、冠城が受けた依頼──その両方が、消えた男・工藤春馬を追う内容だった。
だがそれは、偶然ではなかった。
冠城が、あえて右京と同じ対象を追うよう仕向けた「仕掛け」だったのだ。
なぜ、そんなことをしたのか。
それは──右京と本気で“バディ”として関わってみたかったからだ。
「煙のように消えた男、手がかりはシガーの香りだけ──右京さんなら、きっと興味を持つと思いましたよ」
冠城が放ったこの台詞には、右京を誰よりも“知っている”という自信と信頼がにじみ出ている。
私はこの瞬間に、二人の間に走った“目に見えないチェイン”を感じた。
信頼とは言葉ではなく、相手の「選ぶだろう」という未来を想定して動くことだ。
冠城は、右京が好奇心を持たずにはいられない「謎」を用意し、真正面からぶつかっていった。
それは上司への媚びでもなく、忖度でもない。
対等な“相棒”としての歩み寄りだった。
右京が冠城に見た“特命係の資質”
これまでの「相棒」の中で、右京は“型破り”な人物とタッグを組むことが多かった。
だが冠城亘という存在は、歴代の中でも異質だ。
法務省出身のエリートでありながら、警察内部の論理を超えて動く柔軟さを持っている。
右京はその一手一手を、最初は半信半疑で見ていたに違いない。
だが、冠城の行動には、“相棒になりたい”という感情の真っ直ぐさが宿っていた。
事件の核心に迫るにつれ、二人は“補い合う”形で動くようになる。
紅茶に詳しい右京と、コーヒーに詳しい冠城。
リトルシガーの謎を解く場面では、その知識と嗅覚が美しく噛み合った。
事件の後、冠城はこう言った。
「こういうことですよ、僕が特命係に来た理由は」
この言葉には、彼なりの“信念”が込められていた。
法務省でも警視庁本庁でも味わえない、“心の奥を揺らす仕事”。
それを右京とともにやっていきたい──それこそが冠城の本音だったのだ。
右京は、その本音に気づいていた。
そして、だからこそ、事件の最後に再現されたシガーを冠城とともに吸う“儀式”に参加した。
煙が立ち昇るその一瞬に、二人のバディとしての信頼関係が静かに結ばれていた。
香りを再現する特命係──紅茶とコーヒーが導く真実
事件の核心に近づくために、右京と冠城が選んだのは“実験”だった。
それは取調室でも、鑑識の協力でもなく、「香りを再現する」という、極めて繊細で個人的な捜査手法だった。
この再現実験こそが、『チェイン』という回を唯一無二のものにしている。
右京の紅茶、冠城のコーヒー──知識が事件を動かす
工藤春馬(=石田祐太)のシガーに秘められた香り。
羽賀も桜子も、その香りに強く惹きつけられていた。
しかし、リトルシガーの素材を調べても、既製品の組み合わせでは絶対に再現できない香りだった。
手がかりとなったのは、現場に落ちていたシガーの吸い殻。
青木がこっそりと鑑識から持ち出したリトルシガーを、右京と冠城がばらして香りを分析する。
すると右京は、「紅茶の葉の香りがする」と気づき、冠城は「これはパナマ・アウロマール・ゲイシャだ」と即答する。
このシーンは本当に痺れた。
それはただの“推理”ではない。
二人の「知識」と「感覚」が、同じ一点に向かって自然に重なる瞬間だった。
右京はこれまで、誰よりも論理的に事件を解いてきた。
だが、香りを言語化するには、論理だけでは足りない。
冠城の持つ“生活のセンス”、そして“嗅覚の鋭さ”が、この場面では右京の相棒として完璧に機能していた。
再現実験の裏にある「二人のシンクロ」
コーヒーと紅茶、それぞれの専門店を回り、原材料の入手先を調べ、顧客名簿から対象人物を絞り込む。
その捜査のプロセスは、従来の特命係の捜査とは少し違う。
「人の営み」そのものに潜るような、静かな捜査だった。
そして二人が手に入れた葉と豆を使い、工藤の香りを再現する──。
鑑識課の部屋をこっそり拝借しての実験は、もはや“科学”というより“芸術”の域に近い。
香りを調合し、紙を選び、火をつけて香りの広がりを確かめる。
その一連の流れは、まるで「犯人の記憶」を追体験しているかのようだった。
再現された香りを吸ったとき、羽賀も桜子も、その表情を変える。
「これだ…工藤の香りだ」
それは、単なる情報ではなく、「心に残った記憶」だったという証だ。
この実験が象徴していたのは、特命係の捜査が“情報の解明”ではなく“人の感情への理解”に重きを置いていることだ。
最後に右京は、こう言う。
「事件の鍵は、科学でも証言でもない──記憶の奥にある“香り”ですよ」
まるでそれが、“人間の罪や後悔は、香りとして残る”とでも言いたげだった。
右京と冠城が同じ空気を吸い、同じ香りを追い、同じ記憶に触れたとき、二人は本当のバディになった。
それは煙のように儚くも、確かに存在する“信頼”の香りだった。
野中・羽賀・桜子──過去の連鎖が導いた死と償い
事件の真相は、1年前の殺人でも、煙のように消えた男でもなかった。
本当に解き明かされるべきだったのは、“18年前の過去”だった。
それは3人の若者──野中、羽賀、桜子が、ある出来事を境に背負うことになった、消えない罪の記憶。
18年前の“事故”の真実──それぞれの加担
すべての発端は、18年前に起きた“工事現場での転落死”。
亡くなったのは、桜子の義父だった。
その事故の真相をひも解くとき、浮かび上がるのは偶発的な災難ではなく、「誰かが誰かを殺すことを許した」構図だ。
桜子は、義父から日常的な暴力を受けていた。
その苦しみの中で、彼女は恋人の野中に「殺してほしい」と願ってしまう。
野中はその願いに応えようとし、実行を羽賀に託す。
羽賀はアメリカ留学の資金と引き換えに、その“仕事”を請け負った。
この構図に、明確な加害者はいない。
それぞれが自分を守ろうとした結果、静かに「死を選ばせる連鎖」が動き出してしまった。
事件の表面には出ないまま、それぞれの心に沈殿したままになっていた“記憶”が、1年、5年、18年という時間を超えて、香りという形で再び立ち上がってきた。
工藤(石田)が選んだ“連鎖を断つ”という選択
工藤春馬という仮面を被っていた石田祐太。
彼は“消えた男”ではなく、“罪の連鎖を見つめていた男”だった。
石田は、おそらく野中の過去と向き合ったときに、真実をすべて悟ったのだろう。
野中が殺した相手は過去の因縁から繋がった存在だった。
そして、自分がこの連鎖の中に組み込まれてしまったことも。
石田は逃げなかった。
むしろ、野中が背負った罪を「香り」に託し、香りで“繋がった人たち”の記憶に罪を共有させた。
そして彼は、自らシナシアンを仕込んだリトルシガーを吸い、静かに命を絶った。
それは逃避ではなく、“連鎖を断ち切る”という祈りにも似た行為だった。
右京はその意図を見抜いていた。
だからこそ、羽賀と桜子に対して、こう告げる。
「この香りを、最後の一本にしてはどうでしょう?」
罪は消えない。
しかし、香りが記憶となって、誰かの心に届くなら、それは“贖罪”という形に変わる。
野中は、18年という時間をかけて“過去”を背負った。
桜子と羽賀は、その責任から逃げ続けてきた。
だが、この事件を通して──いや、この香りを通して、彼らはようやく「向き合う覚悟」を決めた。
それは誰に命じられたわけでもない。
ただ、“記憶”が彼らの罪を呼び起こし、向き合わせたのだ。
香りが“連鎖”を解く──これほど静かで、これほど力強い物語の終わり方があるだろうか。
最後の一本──リトルシガーに込められた贖罪の香り
事件は解決した。
だが、誰も裁かれず、誰も手錠をかけられないまま物語は静かに終わる。
そして、残されたのはたったひとつの“香り”。
それこそが、石田祐太が託した「最後の言葉」だったのだ。
右京と冠城の「優しさ」という名の結末
羽賀と桜子は、自らの罪と向き合う決意を固めた。
だが、右京はそれを追い詰めることなく、ある提案をする。
「このリトルシガーを“最後の一本”にするのはいかがでしょう?」
この台詞に、私は心をえぐられるような感覚を覚えた。
それは法の正義でも、倫理の説教でもない。
右京と冠城の“赦し”に近い「優しさ」が、そこにあった。
この再現された香りは、刑罰ではなく“儀式”だった。
過去に踏み込んだ者たちへ向けた、小さな葬送。
罪は償われるものではなく、背負い続けていくものだという哲学が、この1本に込められていた。
右京と冠城は、香りという無言のメッセージを手渡すことで、過去に線を引いた。
その行為に、私は“特命係”という存在の美学を見た。
再現された香りが二人に託したメッセージ
事件の終盤、右京と冠城も再現したリトルシガーに火をつける。
このシーンは、ただの“エピローグ”ではない。
“香り”を吸い込み、過去を抱え、未来へ向かうための通過儀礼だ。
冠城が言う。
「こういうことですよ。僕が特命係に来た理由は」
法では届かない場所。
規則では測れない感情。
そのど真ん中に踏み込んで、人の心に火をつける──。
それが、彼の求めた「本当の仕事」だった。
この“最後の一本”は、右京と冠城にとってもまた、“共犯関係”の象徴だったのかもしれない。
事件を解いた者ではなく、痛みを引き受けた者として、ふたりはその煙を胸に納める。
煙はやがて空に溶ける。
だが、あの香りを吸い込んだ者の心には、確かに「記憶」として残る。
それは、過去に引きずられた者たちにとって“終わり”ではなく、未来への一歩目だった。
この結末は、誰も完全に救われない。
けれども、誰もが「自分の歩み」で決着をつけていく。
それが、相棒という物語が教えてくれる、“罪と向き合う”という行為の静かな美しさなのだ。
香りをめぐる“記憶の継承”──名もなき人の「人生の重さ」に触れた瞬間
「チェイン」は誰かの過去を暴く話じゃない。むしろ、その過去を“受け取る側”に焦点を当ててる気がしてならなかった。
羽賀や桜子みたいに罪に関わった人間たちのドラマはもちろん濃いけど、地味にグッときたのは、工藤(=石田)の人生の描かれ方。
職業は風俗店の運転手。経歴だって特別なものはない。
でも彼は、「香り」というたったひとつの感覚を通して、出会った人たちと繋がろうとしてた。
その静かな営みが、あの香りには染み込んでる。
「ただの運転手」に込められた、石田の“ささやかな哲学”
紅茶とコーヒーのブレンド──それをリトルシガーに仕立てて人に渡す。
普通に考えたら地味だし、意味も分からない行動。
でも、あれは石田なりの“人生の証明”だった気がする。
名前や職業じゃなくて、香りで記憶される人間。
それって案外すごいことだと思う。
過去に触れた人の中に、自分の存在がふっと香りとして残る。
石田は、そうやって誰かの記憶の中で“続いていく”ことを選んだんじゃないか。
右京と冠城が受け取ったのは、“罪”だけじゃない
この事件、たしかに罪の連鎖を描いてる。
でもラストの再現実験や、“最後の一本”をめぐるやりとりを見て思った。
右京と冠城が引き継いだのは「後悔」や「贖罪」だけじゃなく、石田の生き方そのものなんじゃないかと。
自分の仕事や人生を、香りのように人の心に残す──
そんな静かな覚悟を、二人はちゃんと受け取ってた。
だからこそ、最後の煙を吸ったときの表情が、どこか誇らしげにも見えた。
「特命係って、こういうことか」って。
事件を追うだけじゃない。誰かの人生の“重さ”に、真正面から向き合う場所なんだと、改めて思った。
相棒season15「チェイン」に込められたテーマを振り返るまとめ
『チェイン』は、物語としては「煙のように消えた男を追うミステリー」として始まり、やがて18年前の過去にまで遡る「罪の連鎖」へと深化していきます。
だが、本当に描かれていたのは「人と人がつながる」ということの意味──目には見えないが、確かに存在する“香りのような絆”の物語だった。
事件に登場する人物たちは、皆どこかで“繋がって”いる。
それは偶然ではなく、感情の連鎖、決断の連鎖、そして後悔の連鎖によって結びついていた。
その「連鎖」が形を持ったのが、リトルシガーだった。
煙の中に隠された後悔と赦しの香りが、登場人物たちの過去を浮かび上がらせ、彼らの未来に小さな“決着”を与えていく。
右京と冠城という新たなバディの始動回でありながら、特命係という「人の心に触れる」部署の在り方を、美しく象徴したエピソードでもありました。
法では届かない、人の内面の奥。
過去を裁くのではなく、未来への責任を提示すること。
それこそが、この回が我々に残した最大のメッセージではないでしょうか。
罪は、香りのように消えない。
だが、それに向き合う勇気があれば──きっと、人は変われる。
罪は時を越えて“香り”に姿を変える
『チェイン』というタイトルは、“連鎖”を意味するだけではない。
記憶、感情、罪、贖罪──すべてが時を超えて繋がっていくということだ。
1年前の逃亡者と、18年前の転落死。
一見無関係に思える出来事が、“香り”という感覚の記憶で繋がり、過去と現在が一つの鎖になる。
この構造は、単なるサスペンスではなく、人の業と情に迫る物語であることを証明している。
冠城の「特命係としての原点」となる1話
右京と冠城の関係が、単なる「先輩後輩」から「本当の相棒」へと踏み出した記念すべき回。
そのきっかけが、“香り”という形にならない手がかりだったことに、私は深い意味を感じる。
右京は論理で真相を導く。
冠城は感性で人の内面に踏み込む。
その2つが噛み合ったとき、事件は真に解き明かされるのだ。
そして、この事件の最後で冠城が言った「こういうことですよ」という一言。
それは、“右京と同じ目線で捜査できた”という確かな実感の表れだった。
読者への問い──あなたにとっての「最後の一本」は?
誰にでも、向き合いたくない過去がある。
できればなかったことにしたい感情や、誰にも話せない秘密も。
だが、その記憶はふとした瞬間に“香り”として蘇る。
あなたにとって、その香りは何だろう?
そして、あなたが“最後の一本”を吸うとき──そこに誰かの赦しはあるだろうか。
『チェイン』は、そう問いかけてくる。
これは刑事ドラマの顔をした、“心の鎖を解く物語”だった。
右京さんのコメント
おやおや……実に重く、静謐な物語でしたねぇ。
一つ、宜しいでしょうか?
今回の事件において最も不可解だったのは、「香り」という非科学的な感覚が、論理を超えて真実を導いた点です。
ですが、香りとは記憶の器。人の心に沈殿した“罪”や“贖罪”を引き寄せる鍵でもあります。
工藤春馬、あるいは石田祐太という存在は、過去に縛られた人々の記憶を結び直す媒介者であったと言えるでしょう。
なるほど。そういうことでしたか。
罪に蓋をするのではなく、香りとして残し、それぞれの心に問うという姿勢──それこそが、今回の事件の本質だったのです。
さて、僕もアールグレイを一杯淹れて、もう一度この“香りの連鎖”について思いを巡らせてみるとしましょう。
- 衣装が登場人物の感情や決意を視覚化する装置として機能
- 真夏の白ジャケットとブルーが理性と闘志を表現
- 花火の柔らかな服装は脆さと他者依存の心理を示す
- スタッズや直線的小物が「感情のトゲ」として語る
- 衣装の色・素材・変化が物語の伏線を担う
- 『チェイン』では香りが記憶と贖罪の象徴として登場
- 香りと衣装、どちらも“語られない感情”の媒体として機能
- キンタの視点で両作を重ねると、人間の防衛と赦しが浮かび上がる
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