「隠し味にはロマンス」第6話ネタバレ感想 札幌で再燃する“あの恋”の火種

Netflixで配信中の韓国ドラマ「隠し味にはロマンス」。第6話では、ヨンジュがかつての恋人ミンとともに札幌を訪れ、ボムがその後を追いかけるという切なさ満載の展開が描かれました。

ヨンジュとミンの再会がもたらす“未解決の記憶”と、“今、隣にいてほしい人”をめぐる揺れる心──まるで火加減を見誤ったソースのように、感情が焦げつく瞬間が散りばめられています。

この記事では、札幌で交差する3人の思いと、再び選ばれる「味」と「人」の意味を、アユミの“共感レンズ”で丁寧に読み解いていきます。

ヨンジュが札幌に行った理由は“ミンのため”じゃない

第6話の舞台は、冬の札幌。

ヨンジュが突然向かったこの街には、ある過去の記憶と、決して“終わらせられなかった人”が眠っていました。

けれど、その行動の理由を「ミンのため」とだけ片付けてしまうのは、このドラマの深さを見逃すことになります。

認知症の恩人に届けた最後の料理

札幌に向かった本当の理由──それは、ヨンジュの料理人としての原点を知る“ある人”のためでした。

ル・ミュリのオーナーシェフが認知症を患い、もう会えるのは最後かもしれない。そう聞いて、料理ではなく「想い」を届けるためにヨンジュは札幌へ飛び立ったのです。

口にできるものがない中で唯一、かつて彼が好んで発注していた「ウニ」。

それを探すためにヨンジュとミンは市場を巡る──このシーンには、どこか“旅のような静けさ”がありました。

でもね、私が胸を打たれたのは、ヨンジュのこの一言。

「食べることって、生きることとつながってる。忘れていても、好きな味だけは身体が覚えてるから」

このセリフに込められた愛情は、まさに“料理の魔法”。

言葉じゃなく、味で伝える。それがヨンジュが選んだ、恩人への“最後の手紙”だったのかもしれません。

レストラン「ル・ミュリ」とヨンジュの過去

ル・ミュリは、ただの職場じゃなかった。

ヨンジュにとってそこは、“認められた場所”であり、“失った場所”でもありました。

ふぐを捌いたことによる責任を取り、彼女はその場を去る決断をした──けれど、それが本当に自分の意志だったのか、今も自問しているような眼差しでした。

そして、そこには“彼”──チョン・ミンがいた。

料理人としても、恋人としても、かつてヨンジュが最も信じ、最も裏切られた存在。

札幌での再会は、まるで過去と今を同じ鍋に入れて煮込むような時間。

ミンが語る「一緒にまたやらないか？」という提案には、料理人としてのリスペクトもあるように見えて、どこか「まだ終わっていない」と思い込む男の未練の匂いがしました。

だけど、ヨンジュの返事はなかった。

彼女が向き合っていたのは、ミンでもル・ミュリでもなく、“あの場所で抱えてきた悔しさと孤独”でした。

それを整理しに行ったんです、自分のために。

料理は誰かのために作るものだけど、たまには“自分の過去”に振る舞ってもいい。

この回は、そう教えてくれました。

ボムの札幌行きは“恋”のためだった──チョン・ミンへの対抗心と素直な気持ち

「料理は勝負じゃない。でも、この気持ちだけは負けたくない」

第6話、ボムが札幌に向かった理由──それはビジネスでも義理でもなく、まぎれもなく“恋心”でした。

ヨンジュの心が、かつての恋人・ミンに揺れ動くかもしれない。そう思った瞬間、いてもたってもいられなかった。

この“衝動の一歩”が、彼の恋の本気度を何よりも物語っていたのです。

チュンスンからお金を借りてまで追いかけた理由

御曹司だった男が、今や財布の中はスッカラカン。

それでもボムは、札幌に行くことを迷いませんでした。

借金してまでヨンジュに会いに行くって、そこに計算なんて1ミリもない。

ただ「会いたいから」「気持ちを確かめたいから」。

この“理由なき愛の行動”こそが、本物だと思いませんか？

チュンスンとの関係性もまた、このシーンでぐっと近づきましたね。

かつては厨房で小競り合いしていた二人が、今では背中を押し合う仲に。

恋って、いつのまにか自分の周囲まで変えてしまう力がある。

ボムが恋を知ってから、人間味がどんどん出てきたことにも注目です。

「ジョンジェ」という約束と、守りたい味

札幌でミンが語った言葉──「いつか2人で“ジョンジェ”という店を持とうって約束してたんだ」。

それを聞いたとき、ボムの表情はほんのわずかに強張っていました。

でもそのあとに見せたまっすぐな瞳は、こんなふうに語っていた気がします。

「今、“ジョンジェ”を一緒に作ってるのは、俺だ」

そうなんです。

ボムにとって「ジョンジェ」は、ただの店じゃない。

ヨンジュと一緒に過ごし、成長し、恋してきた“思い出の集積地”なんです。

その場所の味を、守りたい。

その場所で生まれた感情を、嘘にしたくない。

だからこそボムは、ミンの提案に対抗したのではなく、“自分の心に正直でいたい”という気持ちで札幌まで来たのだと思うんです。

このときの彼は、御曹司でもない、シェフでもない。

ただ一人の男として、「好きな人を追いかけた」だけでした。

そしてその姿に、私は胸を掴まれました。

料理と恋は似てる──どちらも手間ひまかけて、誠実であることがいちばん美味しい。

チョン・ミンの“再提案”は愛か、策略か

札幌の夜。

再会したかつての恋人──チョン・ミンがヨンジュに投げかけた言葉、「一緒にまたやらないか？」。

その響きは、甘く、どこか未練がましく、そして少しだけ“ずるい”匂いがしました。

それは“愛”の名を借りた、もう一度自分の傍に戻そうとする戦略的なリクルートにも感じたのです。

この男の言葉、どこまで信じていいのでしょうか。

ふぐ事件の真相とミンの野望

かつて「ル・ミュリ」で起きた“ふぐ事件”。

責任を問われたのはヨンジュでしたが、実際に調理をしたのはチョン・ミン──。

この事実が明かされたことで、彼がどれだけヨンジュに罪をかぶせたのかが分かります。

ヨンジュは自ら辞めることで事を収め、誰のせいにもせず、ただ消えました。

でも、彼は何もしなかった。

それなのに今になって「一緒にやらないか」と手を差し伸べてくる。

タイミングが良すぎるのです。

そしてもう一つ──

ル・ミュリは今、ボムの兄・ソヌの手に渡り、合併されようとしている。

チョン・ミンがヘッドシェフに就任することも決まっている。

そう、彼には守るべき立場と成果があるのです。

ヨンジュを誘ったのは、単なる復縁ではなく、「戦力」として必要とされた可能性も見えてきました。

昔の過ちに目をつむらせ、今の肩書きで誘う──それは、誠実とは言えない。

私はこのとき、ミンの“優しさ”の中に、支配欲を見た気がしたのです。

“もう一度一緒にやらないか？”の本音を探る

このセリフ、皆さんはどう受け取りましたか？

一見すると未練を残した男の告白のようで、実は“自分の夢を叶えるための誘い”に聞こえました。

しかも、過去の罪を一度もちゃんと清算していないままの誘いです。

ヨンジュにとって、ル・ミュリは原点であり、トラウマでもある場所。

そんな空間に戻ることは、ただの職場復帰ではなく、「かつての自分に戻れ」と言われているようなものです。

でも彼女は、もうあの頃のヨンジュではありません。

“ジョンジェ”という店で、ボムと一緒に成長してきた。

味覚だけじゃなく、心の在り方まで変わったはずです。

だから私は、この問いにヨンジュがすぐ返事をしなかったことを、強さの証だと思いました。

「愛しているから一緒にやろう」と「必要だから戻ってきてほしい」は、似て非なるもの。

チョン・ミンの言葉は、少し曖昧で、少し甘くて、そして少し都合が良すぎた。

でもヨンジュはそれに流されない。

それが今の彼女の、“恋の基準”なんだと思います。

恋と料理は“嘘がつけない”──ヨンジュの選ぶ未来

札幌という異国の地で、ヨンジュは“ある選択”を迫られました。

かつての恋人、安定したポジション、そして恩師との再会。

でも、最後に彼女が向き合ったのは、「自分の味を信じるかどうか」という問いでした。

恋と料理──この2つには、共通点がある。

どちらもごまかしが効かない。作る人の心がそのまま味になる。

札幌で見つけた「答え」のヒントとは

ヨンジュがウニを握る手に、迷いはありませんでした。

認知症の恩師に、食べる喜びを届けたい──

その想いがすべてだった。

札幌という距離が、むしろ彼女にとっては自分を冷静に見つめ直す場所だったように感じました。

“誰といるのが心地いいか”より、“自分がどうありたいか”。

その基準で考えたとき、ミンの提案は華やかでも、心がときめかない。

そして思い出したのは、キャベツキムチを口にしたボムの、あの素直な顔。

ヨンジュはボムのそばにいると、料理が楽しい。

「ジョンジェ」は彼女の再出発の場所であり、未来の種が蒔かれた場所でもある。

料理人として、そして一人の女性として、“嘘のない未来”を選ぼうとする姿が、とても美しく映りました。

ボムとヨンジュに流れた静かな夜の余韻

札幌の夜、居酒屋で過ごしたボムとヨンジュ。

派手な演出も、大きな告白もない。

けれどその沈黙にこそ、2人の距離感のリアルさが滲んでいました。

一緒にたこ焼きをつまむ、焼き鳥を食べる。

その些細な時間が、「あなたといると、自分を偽らなくていい」と教えてくれる。

ヨンジュにとって、それが一番必要だった“恋の調味料”だったのではないでしょうか。

それは甘さではなく、安心感。

それは刺激ではなく、静けさ。

嘘がつけない味、嘘がつけない恋。

だからきっとヨンジュは、またあの小さな店に戻ってくる。

たった一つのテーブルの向こうで、今日も誰かが笑ってくれる未来のために。

“札幌”は心の再出発地点だったのかもしれない

第6話を見終えてふと思ったんです。

札幌って、ただのロケ地じゃなくて、登場人物たちにとって「今の自分を見つめ直すための、仮の住まい」だったんじゃないかなって。

観光地に行くと、つい気が緩んで、普段だったら言えないことが口から出たり、逆に“気づいてしまう感情”があったりしませんか？

あの札幌の夜も、まさにそうだった気がします。

“旅行”じゃなくて、“感情の棚おろし”の時間だった

ヨンジュにとっての札幌は、たぶん「逃避」でも「ロマンス」でもなかった。

過去の自分に会いに行くような気持ちで、ミンと再会して、料理人としてのスタート地点と再び向き合った。

でも、そこにもう「帰りたい」と思える気持ちはなかった。

代わりにあったのは、“今の自分が心地いいと思える味”と“そばにいてほしい人の顔”。

恋も仕事も、昔は憧れや評価で選んでいたけど、

今は「ちゃんと自分で選びたい」と思えるようになった──。

この旅は、そんな小さな成長の記録だったのかもしれません。

誰の人生にも“札幌みたいな時間”ってあるよね

このエピソードを見ながら、私たち自身にもこういう時間ってあるよなって思いました。

ちょっと立ち止まって、過去の自分と目を合わせてみる。

あのときの選択は間違ってなかったのかな？とか。

今、自分が選んでることって、ちゃんと“好き”って思えてるかな？とか。

そういう小さな心の棚おろしを、旅や再会ってさせてくれるんですよね。

ボムもヨンジュも、すごく華やかなドラマの中の人たちなのに、

ふとした瞬間に、自分のことみたいに感じられるのは、

“人を選ぶとき、自分も選び直してる”っていう感覚があるからなのかも。

札幌の夜に、ちょっと自分を重ねて見たくなる。

そんな余韻を残してくれる6話でした。

「隠し味にはロマンス」第6話の切なさと伏線を味わうまとめ

第6話は、一言で言えば“心の温度が変わる回”だったと思います。

料理の記憶、過去の恋、そして未来の選択。

一つひとつのシーンが、まるで丁寧に火を通した出汁のようにじんわりと胸にしみてきました。

チョン・ミンは過去の約束を盾にヨンジュを引き戻そうとした。

でもヨンジュは、その優しさの中に“都合のいい選択”が混ざっていることを見抜いていた。

一方で、ボムはお金も地位もなくした今でも、ただ「会いたいから」札幌までやってきた。

そこにあったのは、強がりも戦略もないまっすぐな気持ちだけでした。

そして何より、この回で描かれた“味”というテーマ。

「身体が覚えている味」は、記憶を呼び起こし、心を揺らす力がある。

それは、料理だけじゃなく、恋にも言えること。

一緒に過ごした時間や、ふとした仕草。

それらもまた、“舌が思い出す味”のように、忘れようとしてもふと蘇るのです。

ヨンジュが選ぶのは、どちらの“味”なのか。

かつての華やかさと安心か、それとも不器用でもあたたかな日常か。

この回の終わりは、その“選択”の序章でした。

静かな居酒屋、すすきのの街灯、たこ焼きの湯気。

どれも派手じゃないけれど、今のヨンジュにとって大切な“心の隠し味”になっていた気がします。

次回、第7話ではどんな食材が心を揺らすのか。

そして、誰のレシピが恋の一皿を完成させるのか。

また一緒に、見届けていきましょう。