べらぼう第24話ネタバレ感想 ていの覚悟と蔦重の逆転策!蔵出しの策略と恋心の交錯が胸アツすぎた

べらぼう
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2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」第24話では、物語の転機となる「丸屋買収劇」が大きく動き出しました。

日本橋の本屋・丸屋を巡って、蔦重率いる吉原勢とライバル鶴屋が激突。女将・ていの聡明さと信念が光る一方、蔦重は「一か八か」の策に出ます。

田沼意次の野望と誰袖の策略、松前家の兄弟間の軋轢も同時進行し、濃密な人間ドラマが交錯した第24話。この記事では、ネタバレを交えつつ見どころや考察をまとめます。

この記事を読むとわかること

  • 第24話における蔦重とていの駆け引きと心の変化
  • 丸屋買収をめぐる商人・政治勢力の思惑と策略
  • 恋と信頼が交差する人間模様と物語の転換点
  1. ていが蔵を守る理由と蔦重の決意が交差する!
    1. ていの信念:本を「紙屑」ではなく「希望」として扱う覚悟
    2. 蔦重の気づき:「書を以て世を耕す」精神の復活
  2. 鶴屋の策略が発動!丸屋をめぐる表と裏の駆け引き
    1. 鶴屋の誘導:上方書肆・柏原屋との契約とその裏の意図
    2. 証文の嘘を暴く!ていの鋭い指摘に亀屋の若旦那しどろもどろ
  3. 蔦重陣営、再び日本橋へ突撃!親父たちの無鉄砲作戦とは
    1. 立札を抜いて突入!吉原勢、白昼の地元問屋会所に現る
    2. ていの冷静な講釈と地元民への影響力
  4. 田沼意次の息子・意知の仕掛けが裏で動く!抜荷取引の思惑
    1. 東作の空振り報告と村上との接触、絵図の所在は?
    2. 松前廣年を餌にした意知の大博打が始まる
  5. 誰袖の手腕が炸裂!松前廣年を抜荷に導く巧みな説得
    1. 純粋すぎる廣年の葛藤と、誰袖の巧みな嘘と愛情演出
    2. 東作の口八丁が加わり、抜荷交渉がついに前進?
  6. 道廣と治済の危険な遊びと、田沼意次の芝居劇
    1. 庭で熊と人間の見極めショー!?恐怖の道廣
    2. 廣年の「吉原通い」疑惑で詰問される悲劇
  7. 女将・ていという人物像と、蔦重の恋の芽生え
    1. 本と知の守り手としての誇りと、ていの心の痛み
    2. 蔦重が惹かれる理由──女郎とは違う「松ぼっくり」な女
  8. 「心が近づく」ってどういうこと?距離を測りかねる人たちの“もどかしさ”
    1. 蔦重の“手の届かない”優しさ
    2. 誰袖と廣年――“愛してる”とは言わない関係
  9. 【まとめ】べらぼう第24話のネタバレと感想から見えた、蔦重とていの心の距離と策謀の転換点
    1. 恋か策か、それとも両方か──蔦重の選択は?
    2. ていの覚悟が物語の軸を変えた回として注目

ていが蔵を守る理由と蔦重の決意が交差する!

店を売る。そこに並ぶ本も、捨ててしまうかもしれない。

そんな「合理的な選択」を前にして、一人の女が、敢えて非効率な道を選ぼうとする

第24話で語られた「ていの信念」と「蔦重の覚醒」は、まさに物語の心臓部だった。

ていの信念:本を「紙屑」ではなく「希望」として扱う覚悟

本堂の静寂の中、ていの口から紡がれた言葉には、どんな武器より強い意志が込められていた。

「本は子どもたちの手に渡れば、“知”を伝える者となる」

この言葉の裏には、ただの蔵を守るというレベルを超えた、“思想”としての覚悟があった。

ていは、自分の過ちを悔いていた。店を傾け、夫を失い、選択肢は限られていた。

だが彼女は、自分の価値観を売らなかった。本をただの資産として処分するのではなく、「知の火種」として町に残すことを選ぼうとした

この瞬間、「てい」はただの本屋の娘ではなく、「日本橋の矜持」を背負う語り部となったのだ。

「店を売る=文化の終焉ではない」

ていが守ろうとしたのは、建物や商品だけじゃない。読み書きできる子どもが増えること知識で人生が変わる未来。彼女の視線は、10年後、100年後を見ていた。

蔦重の気づき:「書を以て世を耕す」精神の復活

その姿を陰から見ていた蔦重は、胸を撃たれる。

彼女の言葉の中に、かつての恩師・源内の言葉が蘇る。

「書を以て、世を耕すんだ」

金のために本を売るでも、評判のために出版するでもない。

「世を耕す」ために本があるのだと、原点の理念が蔦重の胸に戻ってくる。

自分は、何のために耕書堂をやってきたのか? 何を日本橋に持っていこうとしているのか?

蔦重は、その時はじめて、店ではなく、“てい”自身を説得しなければ意味がないと気づく。

策では勝てない。演技でも、金でも、駆け引きでも。

心で勝つしかないと理解した。

そしてその「心」を持つにふさわしい自分になることが、“べらぼう”な挑戦であり、自分に課せられた「物語」だと気づく。

この第24話は、ていと蔦重が「言葉ではなく、魂で会話した」記念すべきエピソードだった。

本を“紙屑”と見るか、“希望”と見るか。

ていは、蔦重の未来を揺さぶった。そして蔦重は、その揺れの中から、自分の芯を再び掘り起こした。

覚悟は、言葉ではなく、眼差しに宿る

ていの真っ直ぐな背中と、蔦重の覚醒。その交差点から、新しい物語が動き出す。

鶴屋の策略が発動!丸屋をめぐる表と裏の駆け引き

本屋を買う──それは土地を買うことでも、建物を得ることでもない。

信用と看板と、“人”を買うことだ

蔦重と吉原勢がそれを“策”で得ようとした時、既に鶴屋は“信頼”で攻め入っていた。

鶴屋の誘導:上方書肆・柏原屋との契約とその裏の意図

第24話で一気に存在感を増したのが、地本問屋・鶴屋喜右衛門。

彼の手際は見事だった。

柏原屋──名のある上方の本屋を早々に連れてきて、ていと契約直前まで漕ぎつける。

この動きに対して、蔦重は“出遅れた”というより、完全に“後手”を踏んでいた。

鶴屋はただの取引相手ではない。

通油町という土地と、地元の矜持を守る「自治意識」の代弁者でもあった。

彼が言う。「蔦屋が来れば町の格が下がる」──それは単なる偏見ではなく、“この町を吉原の延長にしない”という意志だった。

つまりこの構図は、ただの買収劇ではない。

文化と文化のぶつかり合い。そしてその最前線に立たされたのが、女将・ていだった。

証文の嘘を暴く!ていの鋭い指摘に亀屋の若旦那しどろもどろ

そんな鶴屋の戦略に対抗するべく、蔦重たちは“名義貸し”で勝負に出る。

亀屋という茶問屋の名義を借りて、表向きは吉原と無関係な者が丸屋を買うように見せかける。

だが──この策は、ていのたった一言で崩壊する

「この証文、裏に細工があるのでは?」

誰もが黙った。亀屋の若旦那はしどろもどろ。

あの瞬間、重ねてきた交渉も、紙のようにペラペラと破られた。

“てい”という存在は、ただの店主ではない。場を読む力、言葉の力、そして正義感を持つ人物として描かれていた。

交渉という名の舞台において、男たちは手段に頼り、女一人が本質を突いたのだ。

ていの眼差しは、誰よりも“本と町の未来”を見ていた。

そしてその視線は、蔦重の「策」より先に、“心の中の矛盾”を見抜いていた

ここにあるのは、静かな知略戦。

だがこの回を観終えた後に残るのは、複雑な策よりも、ていの真っ直ぐな言葉と、それに負けた男たちの姿だった。

鶴屋、てい、柏原屋──この構図は、蔦重にとってまさに「文化の壁」

そしてそれを超えるには、「べらぼうな策」よりも、「べらぼうな覚悟」が必要だということを、彼はまだ気づいていない。

蔦重陣営、再び日本橋へ突撃!親父たちの無鉄砲作戦とは

この回の中盤、空気が一変する。

あの吉原の連中が、真昼間の日本橋に現れるのだ。

風体も言動も、ここには似つかわしくない。

だが、その「似つかわしくなさ」こそが、蔦重たちの最後の勝負だった。

立札を抜いて突入!吉原勢、白昼の地元問屋会所に現る

日本橋・地本問屋の会所は、地元の本屋たちの牙城だ。

上方との流通、格式、秩序──すべてがここを軸に回っている。

そこに、吉原の町役とその仲間たちが堂々と乗り込む

表の立札を抜いて突撃する姿は、もはや時代劇のワンシーン。

「べらぼう」というタイトルが、これほど似合う瞬間はなかった。

だがこの突入、ただの荒っぽい演出ではない。

蔦重たちが抱える“吉原という出自”そのものを、正面からぶつけた瞬間だった。

つまりこれは、「対話」のための乱入だった。

話し合いの席にも呼ばれないのなら、こちらから土足で入ってやる──。

その無茶苦茶さこそ、吉原勢の覚悟だった。

ていの冷静な講釈と地元民への影響力

この騒動の中、誰よりも冷静だったのが女将・てい。

騒ぎ立てる問屋衆、吠える吉原の面々。

その場を治めたのは、ていの一言だった。

「どんな本屋がこの町にふさわしいか、それは私たちが決めることではありません」

“私たち”──その主語に含まれていたのは、町民、読者、そして未来の子どもたちだった。

ていの言葉は、「町の主権は本を読む者にある」という宣言でもあった。

問屋衆が黙る。鶴屋も一歩退く。

蔦重が声を荒げるまでもなく、ていはすでに“地元の信用”を手にしていたのだ。

これは一種の“反転”だった。

攻め入ったはずの蔦重が、結果的にはていの言葉に救われる。

吉原者としての自分ではなく、「誰にとっての書店主がふさわしいか」を見極める声が、町の中に確かに存在していた

この構図が胸を打つのは、“べらぼう”な者たちが、“まっとう”な想いを通そうとしたからだ。

それは暴力でも、買収でも、裏工作でもない。

「顔を見せ、声を届ける」という、もっとも原始的なやり方だった。

第24話のこの場面。

「やり方が乱暴すぎる」と言う人もいるだろう。

だが、守りたい信念がある者の行動は、時に秩序を壊す。

それでも壊す価値があると信じたとき、人は動く。

蔦重たちは、町を壊しにきたのではない。町の未来に触れにきたのだ。

田沼意次の息子・意知の仕掛けが裏で動く!抜荷取引の思惑

表で吉原勢が日本橋に風穴を開けていたその裏で、静かに、しかし確実に「政治の闇」が動いていた

それが、田沼意次とその息子・意知が絡む「蝦夷地利権」と「琥珀抜荷」の構図だ。

第24話は、「商売の話」だけに見えて、その奥底では“国家レベルの取引”が渦を巻いていた

東作の空振り報告と村上との接触、絵図の所在は?

上方から戻った東作は、思わぬ“手ぶら報告”をする。

蝦夷錦も絵図も見つからなかった──

だが、そこに落胆する田沼意知ではなかった。

むしろ東作が語った、“村上”という名の廻船問屋の存在に、意知の目が光る。

「抜荷の中継地が動いた。ならば、次はそこに糸を垂らせばよい」

この場面、見逃しがちだが、田沼家の“情報ネットワーク”の精密さが垣間見えるシーンでもある。

地図もない。証拠もない。だが、商人の動きから利権の流れを読む。

しかも意知は、父・意次とは違って、表に出ず“影で動く”スタイルだ。

この差異が、後の大きな策略へと繋がっていく。

表で目立つ父、裏で仕掛ける息子──

この“田沼の二重奏”が、幕末の混沌を体現していた。

松前廣年を餌にした意知の大博打が始まる

松前藩主・道廣が頭を抱えるほど厄介な存在、それが遊び好きの放蕩息子・廣年だ。

その廣年を“餌”に使ったのが、田沼意知と誰袖の策だった。

女郎屋「大文字屋」で、誰袖が“偶然を装って”接近。

そして、琥珀の直取引の話を持ち出す。

「吉原で松前藩が琥珀を捌けば、双方が儲かる」

金に目がない廣年はすぐ食いつき、道廣も「藩の財政難を救うなら…」と色気を見せる。

だがその裏では、すべて田沼意知が仕込んだ筋書きが展開していた。

実はこの時点で、抜け荷=違法取引を知る“証人”を意知は確保したも同然だった。

あとは、絵図か証文の一点が揃えば、松前藩を一網打尽にできる

つまり、松前廣年は“生け贄”として選ばれたのだ。

しかもそれを仕掛けたのが、花魁・誰袖という“愛”を語れる策士であるという構図。

視聴者としては、「誰袖は本気で廣年を思っているのか、それとも利用しているだけか」と揺さぶられる。

この“揺れ”こそが、第24話の政治サイドの妙味であり、愛と策略の境界線だった。

表の世界では、蔦重とていが「本屋」を巡ってぶつかっていた。

だがその裏側では、「琥珀」という金と情報がうごめいていた。

このドラマが持つ“二重構造”の面白さが、ここで一気に炸裂した

誰袖の手腕が炸裂!松前廣年を抜荷に導く巧みな説得

吉原には、金では買えないものがある。

それは「信じさせる力」だ

色も嘘も承知の上で、それでも“この人は自分だけを見ている”と思わせる。

その極地にいたのが、花魁・誰袖(たがそで)。

そしてその力が、ついに“抜け荷”という政争を動かし始めた。

純粋すぎる廣年の葛藤と、誰袖の巧みな嘘と愛情演出

松前廣年は、このドラマの中でも際立って“純粋すぎる”キャラクターだ。

放蕩三昧。女郎遊び。だがその背後にあるのは、父に認められたいという子どものような承認欲求

そんな彼の心を、誰袖はまるで古典落語のように、巧みにほぐしていく。

「貴方には、藩を背負う覚悟がある」

「大儲けではなく、町の子どもたちを救える琥珀です」

一見、無邪気なセリフに見えるが、その背後には意知の策が透けて見える。

誰袖は「愛」という名の衣を着た諜報員だ。

だが、それでも彼女の目に“本心”がにじんで見えるのはなぜだろう?

芝居なのに、真実が混じっているように感じる

この“虚と実の溶け合い”が、彼女の最大の武器だった。

東作の口八丁が加わり、抜荷交渉がついに前進?

誰袖だけではなかった。

そこに加わるのが、“調子よすぎる策士”東作である。

彼の立ち位置は極めて絶妙だ。

政治の裏を読めるが、行動は軽い。信念はあるようで、利も忘れない。

そんな東作が廣年に向けて放つ言葉は、実にズルく、そして効果的だ。

「松前藩が今、江戸の経済の中にどう居場所をつくるか──その鍵は廣年様にございます」

このひと言が、廣年の目を変えた。

それは“父のため”から“藩の未来のため”へと動いた瞬間だった。

意知の意図、誰袖の演出、東作の仕上げ──すべてが「廣年を動かす」一点に向けて機能していた。

だがそれでも、視聴者の心に残るのは、最後の誰袖の表情。

廣年が店を出てからの、ほんの一瞬の憂い。

そこには、計算ではない“感情の染み”がにじんでいた

“抜け荷交渉”という政治の道具にされた男と、道具にした女。

だけど、その間に生まれた一瞬の通い合いが、このドラマを「物語」へと引き上げている

策が策を呼ぶ中で、たったひとつの嘘だけは、本当であってほしい

そう願わせるのが、誰袖というキャラクターの“底知れなさ”である。

道廣と治済の危険な遊びと、田沼意次の芝居劇

政治と遊びが混ざるとき、それは「策略」ではなく「狂気」に変わる。

松前道廣と一橋治済が交わした“余興”は、笑えない危うさを孕んでいた

この回、画面の空気が変わった瞬間──それは“庭の熊”が現れたときだった。

庭で熊と人間の見極めショー!?恐怖の道廣

「あれは熊か、人か?」

庭に放たれたのは、熊に扮した男。

道廣と治済がそれを“見極める”という形式の余興。

だがその実態は、「人を人として扱わない」権力者たちの狂宴だった。

笑っていない目、無感情に命を賭け事の材料にする態度──

あれは、権威が常識を超えてしまった人間の顔だった。

なぜこのシーンが描かれたのか?

それは、“藩主たちの精神状態”を視覚的に、強烈に提示するためだ。

政治の舞台裏にあるのは、理性ではなく衝動

この熊の演出は、まさにその象徴だった。

廣年の「吉原通い」疑惑で詰問される悲劇

そんな狂気の只中に放り込まれたのが、廣年だった。

松前家の内情に疎い彼は、吉原の遊びの余韻も冷めぬうちに、道廣に詰問される。

「吉原で湯水のように金を使っているそうだな」

問い詰める声に、廣年の表情が一瞬で曇る。

女郎・誰袖の名前を挙げかけ、慌てて言葉を飲み込む。

彼は何に怯えているのか。

それは、“父の怒り”でも、“失脚”でもない。

信じた女を守れない自分の無力さ──それこそが、彼の恐怖の正体だった。

道廣の怒声の中で、彼はまるで“庭の熊”のように扱われていた。

権力の中において、若さや優しさは何の役にも立たない

それでも廣年は、女をかばおうとした。

この小さな“勇気”が、彼をただの放蕩息子ではなく、“物語の鍵”に変えた。

一方、そんな芝居を全て見透かしている男がいた。

田沼意次。

庭での熊の余興も、廣年の破綻も、彼にとっては“計画通り”の段取りだった。

すべてを見て、笑いもせず、語りもせず。

ただ黙って“演者たち”の動きを観察するその姿は、まさに「舞台裏の演出家」

この第24話で、物語は2つの顔を持ち始めた。

  • 吉原と日本橋、本屋を巡る「表の商戦」
  • 蝦夷地、琥珀、藩と幕府の利権を巡る「裏の政戦」

そして道廣と治済の狂気を前にして、視聴者は「善悪」という単純な軸では測れない人間の深淵を突きつけられる。

この世界では、狂っている者が勝つのか?

それとも、狂気に抗う「小さな誠実」が最後に灯をともすのか──。

女将・ていという人物像と、蔦重の恋の芽生え

「賢くあろうとする人間には、孤独がつきまとう」

第24話で描かれた女将・ていの姿には、そんな静かな痛みが滲んでいた。

彼女は本屋の娘として、蔵を背負い、文化を守り、そして“言葉”の力を誰よりも信じていた

本と知の守り手としての誇りと、ていの心の痛み

ていが口にする言葉には、どれも“重さ”があった。

「本はただの紙束ではない。誰かの救いになり得る」

そう語る彼女の横顔に、蔵に眠る数千冊の本が重なった。

だが、それは信念と同時に、“負い目”でもあった

父の死、店の経営の傾き──ていは誰にも責められない代わりに、自分をずっと責めていた

「本が好きだったから、夫を死なせてしまったのかもしれない」

この独白には、視聴者の多くが胸を締めつけられたに違いない。

それは、正しいことを信じて進んだ者にしか届かない、静かな後悔だった。

蔵を売るか、守るか。

それは経済の話ではなく、「自分がこれまで何を信じてきたか」を問う、魂の決断だった。

蔦重が惹かれる理由──女郎とは違う「松ぼっくり」な女

蔦重がていに心を寄せる理由は、誰袖や吉原の女たちに抱く情とはまったく異なる。

そこには、色や艶ではなく、“知”と“矜持”への敬意がある。

ていは女将でありながら、町の「知の番人」でもあった。

本の価値を知り、言葉の責任を知り、それでいて他人を傷つけない距離を保てる。

そんな彼女を見たとき、蔦重の中で何かがほどけたのだ。

蔦重が語った「松ぼっくり」──これは彼なりの“恋のメタファー”だった。

「派手ではない。でも芯があって、どこか香ばしい」

ていは、その言葉のとおり、強く、静かに、そして深く心に残る存在だった。

だからこそ、蔦重は「買う」ではなく、「守りたい」と思った。

彼にとって“蔵”とは、商売の拠点ではなく、ていの心そのものに他ならなかったのだ。

この回での二人の会話には、まだ“恋”という言葉は出てこない。

だが、目の奥に宿る光、呼吸の間合い、言葉の余白──

そうした非言語の表現が、むしろ強く“惹かれ合い”を示していた。

誰かを守りたいと思うこと。

誰かの信念を壊したくないと願うこと。

それはすでに、恋の始まりなのだ

蔦重にとって、ていという存在は「本屋の女将」では終わらない。

それは、自分の人生観そのものを照らし返す“もう一人の自分”かもしれない。

だからこそ、恋は“ときめき”ではなく、“気づき”から始まるのだ。

「心が近づく」ってどういうこと?距離を測りかねる人たちの“もどかしさ”

この第24話、商売、政争、恋愛と盛りだくさんだったけど、ふと気づくとどの登場人物も「距離感」に迷ってた。

ていと蔦重、誰袖と廣年、意次と意知、道廣と治済──どこかで心がすれ違いそうで、でもギリギリ届きそうな距離にいる

この“縮まりそうで縮まらない感”が、見てるこっちの感情をめちゃくちゃ揺さぶってくる。

蔦重の“手の届かない”優しさ

蔦重って基本、策士だし調子のいい男なんだけど、ていに向ける視線だけは別格だった。

ただ、あの人、「近づき方」がヘタ。

優しさも、気遣いも、照れ隠しで全部“策”に見えちゃう

ていはていで、それが本心か見えないから突き放す。

ふたりとも、自分の感情より「相手にどう見えるか」を気にしてる。

で、そのせいで一歩踏み込めないまま、お互いが“いい人”で止まっちゃう

この感じ、すごく現代的。

本気で誰かを想ったとき、逆に下手になる──そんな不器用な感情を、蔦重は見せてくれた。

誰袖と廣年――“愛してる”とは言わない関係

一方で誰袖と廣年は、言葉にしない関係。

廣年はたぶん、本気で誰袖に惹かれてる。

でもそれを自覚しないように、遊びの範囲に留めてる。

誰袖も、廣年を利用しながら、完全には突き放せない。

「これが仕事」って線引きしてるけど、心のどこかで揺れてる

言葉じゃなく、表情とか、間とか、タイミングでしか気持ちを伝えられないふたり。

その曖昧さが、かえってリアルだった。

「好き」と言わない恋愛のほうが、余白があって切ない

この話数、誰かと誰かが「ちゃんと通じ合った」瞬間は、実はほとんどない。

でも“ちゃんと伝えたい”という気持ちだけは、どの人物もむき出しだった

それが見てて痛いし、愛おしい。

「距離感のある会話」が多かったこの回、だからこそラストのちょっとした眼差しの変化が沁みた。

心の距離は、近づこうとすることそのものが物語になる

【まとめ】べらぼう第24話のネタバレと感想から見えた、蔦重とていの心の距離と策謀の転換点

蔦重は、もともと策を使って生きてきた。

言葉の才、商才、人心掌握──すべてを武器にして、この江戸という都市を泳ぎ続けてきた。

だが、第24話で彼は「策」では動かせないものに直面した。

ていの覚悟と、揺るがない意志

恋か策か、それとも両方か──蔦重の選択は?

蔦重がていに惹かれているのは、もう明らかだ。

けれどその感情が「恋」なのか、「共鳴」なのか、彼自身が分かっていない。

だからこそ、行動が鈍る

好きになった女の想いを利用してまで、蔵を手に入れる気にはなれない。

一方で、何もしなければ町も、信念も、想いも手に入らない。

この“はざま”で揺れる蔦重は、これまでになく人間くさかった。

恋も策も、どちらかを選ぶんじゃない。どちらにも誠実でいようとする

それが今の彼の選択だ。

それが通じるかどうかは、これからの物語が証明してくれる。

ていの覚悟が物語の軸を変えた回として注目

そして今回の主役は、間違いなくていだった。

彼女は“語られない声”を、ひとつずつ代弁した。

町の本屋の誇り、父の遺志、未来を担う子どもたちへのまなざし。

そのどれもが、蔦重や田沼のような男たちの論理とは違う次元で動いていた。

ていの一言で、柏原屋との契約が揺れ、亀屋の策が崩れた。

たった一人の女が、町全体の“温度”を変えてしまった

それは、力ではない。権威でもない。

言葉と姿勢と、生き方が生む“信頼”の力だった。

この回で、物語は大きく軸足を変えた。

  • 男たちの戦略ゲームから、
  • “人が人をどう思うか”という、より感情的で複雑な戦いへ。

その変化を生んだのは、誰でもない、ていの「たたずまい」だった。

第24話は、蔵の行方を巡る話のようでいて、実は「信じたい相手を信じられるか」という、信頼と覚悟のドラマだった。

そしてその覚悟が、恋を動かし、町を揺らし、国家の利権までも侵食していく。

静かな声が、物語の心臓を撃ち抜いた。

この記事のまとめ

  • 丸屋の買収を巡り、蔦重と鶴屋が激突
  • ていの信念が策を覆し、物語の鍵に
  • 田沼意知と誰袖による抜荷の裏交渉が進行
  • 廣年が愛と野心の間で揺れる葛藤
  • 権力者・道廣の狂気と廣年の孤独が交差
  • 蔦重とていの心の距離が少しずつ近づく
  • “策”よりも“言葉”が人を動かした回
  • 「心の距離」がテーマに浮かび上がる構成
  • 商い・政治・恋愛が交錯する濃密な一話

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