大追跡ネタバレ第6話 犯人・柏木はなぜ壊れた?誘拐ゲームの裏にあった「心の穴」とは

大追跡
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「大追跡」第6話は、“誘拐ゲーム”と称された犯罪の裏に、静かに滲む“人間の綻び”が描かれた回でした。

犯人・柏木の動機は金ではなく、かつてのライバル・名波への歪んだ執着心。同期との静かな闘争、積もるプライド、崩れた信頼…そのすべてが、今回の事件の導火線となっていました。

本記事では、6話で描かれた「犯人のリアルな綻び」「復讐の構造」「株価操作の裏側」までを、丁寧に深掘りしながら読み解いていきます。なぜ、彼はあの一言を口にしたのか——。

この記事を読むとわかること

  • 犯人・柏木の動機と崩壊の背景
  • 名波が“動けない探偵”として真相に迫った理由
  • 人間関係の綻びが事件に与えた深層的影響
  1. 犯人は柏木亮太──誘拐ゲームの“真の狙い”とは?
    1. 犯行動機は復讐と株価操作、そして名波への嫉妬
    2. 「こんな時に…」柏木の本音が漏れた瞬間
  2. 名波と柏木の過去:証券会社時代の因縁が導火線
    1. 4億の損失とプライドの崩壊がすべてを狂わせた
    2. 同期の友情が“執着”へと変質した経緯
  3. 「頭がいいのか悪いのか」人間味あふれる犯人像
    1. 動画を撮り、宣戦布告までした柏木の心理
    2. 計算と感情が入り混じった“リアルな綻び”
  4. 株価操作という“知能犯”の裏で動いた闇バイト
    1. 狙いは株価暴落と空売りでの大金獲得
    2. 実行犯はすべて外注化、犯罪の分業制が進む
  5. 名波は“動けない探偵”としてどう機能したか?
    1. 虫垂炎という偶然が事件解決を左右した
    2. 病室の中で真相にたどり着いた“静の捜査”
  6. バーチー(千葉雄大)の怪演が光った6話
    1. 「かわいい」の脱皮、演技派としての覚醒
    2. 壊れていく男を魅せる芝居がすごすぎる
  7. エンケン×相葉×松下奈緒の三角関係が進展
    1. 伊垣と青柳、元夫婦のいがみ合いの限界?
    2. 事件と関係ないところに垣間見える人間模様
  8. 「あいつはプライドの塊だった」──原の言葉が刺さる理由
    1. 同期の“温度差”は、なぜ悲劇を生んだのか
    2. 名波の“鈍さ”は、罪かもしれない
  9. 「大追跡 第6話」誘拐ゲームと犯人の心の穴を見抜くまとめ

犯人は柏木亮太──誘拐ゲームの“真の狙い”とは?

静かに、音もなく崩れていく人間のプライドほど、恐ろしいものはない。

「大追跡」第6話の事件は、まるで用意されたゲームのように始まったが、仕掛け人である柏木亮太(千葉雄大)の狙いは単純な金銭目的ではなかった。

誘拐、脅迫、そして警備システムの破壊――それらはすべて“仕組まれた舞台”にすぎなかった。

犯行動機は復讐と株価操作、そして名波への嫉妬

柏木が狙っていたのは「株価」だ。

表向きは防犯会社の社長・諸星を誘拐し、会社の中枢システムに攻撃を仕掛ける“大胆な窃盗計画”のように見えた。

だが、裏にはもっと冷ややかな企みがあった。

それは「諸星警備保障の株価を暴落させること」──つまり、株式市場の“空売り”によって利益を得るという、明確な金銭的利益を得るスキームだ。

これだけを見れば、柏木は冷徹な知能犯。けれど、彼の奥底にはもっと“泥臭くて、感情的なもの”がこびりついていた。

それが、名波凛太郎へのライバル心と嫉妬である。

同じ証券会社でエースとして並び称された二人。しかし、名波は警察官僚という道を選び、社会的な信用と新たなキャリアを手にした。

一方の柏木は、諸星社長の資産4億円を溶かし、怒りを買って会社を辞めざるを得なくなった。

その後、個人投資家として派手に儲けても、「名波に勝った」と感じられなかった。

その心の中には、「あいつに勝たなきゃ終われない」という呪いのような感情が根を張っていたのだ。

「こんな時に…」柏木の本音が漏れた瞬間

病床に伏した名波の元に、柏木は見舞いに訪れる。

一見、心配する同期の顔をしていたが、その言葉の端々には毒が混じっていた。

「こんな時に…」

名波が苦しんでいる姿を動画に収め、それをかつての同僚に送った理由。

それは「記録」ではなく、勝利宣言だった。

名波の無力さを証明し、俺の方が上だという証を見せつける。

けれど同時に、彼の言葉の中には、不意に“素”が漏れていた。

「よりによって、こんな時に…」

それは、名波が入院してしまったことに対する苛立ちであり、計画が狂った苛立ちでもある。

だがその裏側には、「本当はお前と正面から戦いたかった」という歪な友情が透けて見える。

これは復讐ではない。

これは「勝負」だった。

名波を標的にしながら、同時に名波に認められたいという矛盾。

柏木亮太の最大の誤算は、感情を隠しきれなかったことにある。

知能犯を演じきれず、友人の苦しむ姿を撮り、余計な一言を漏らし、そして最後に自ら捕まりに来る。

完璧な犯罪者にはなりきれなかった。

でもその未完成さこそが、今回の事件に“リアルな人間の哀しみ”を刻みつけた。

だからこそ、柏木の言葉に私たちは傷つき、引き込まれてしまう。

名波と柏木の過去:証券会社時代の因縁が導火線

どこで道を間違えたのか。

それとも最初から、二人は“同じ場所”を目指してなどいなかったのかもしれない。

名波凛太郎と柏木亮太。かつての証券会社時代、彼らは“トップ同期”と呼ばれた存在だった。

営業成績は常に上位。数字で語る世界の中で、彼らは互いを意識し、切磋琢磨しながら上を目指していた。

だが、その関係に“ヒビ”が入ったのは──あるひとつの出来事だった。

4億の損失とプライドの崩壊がすべてを狂わせた

柏木は当時、諸星社長という大口クライアントを担当していた。

その信頼と資産を一手に預かっていた柏木は、証券マンとして絶頂にいたはずだった。

だが、市場は冷酷だった。ある判断ミスにより、彼は4億円もの資産を吹き飛ばしてしまう。

その瞬間、柏木の中で「誇り」は「呪い」へと変わった。

プライドが高ければ高いほど、失敗は「存在そのもの」を否定される体験になる。

諸星社長は激怒し、柏木は辞表を叩きつけて退職した。

名波はその少し前に、警察官僚への転職を果たしていた。

正義を選んだ男と、失敗に飲み込まれた男──。

そのコントラストは、柏木の中に静かな炎を灯した。

「なぜ、あいつだけ…」

もしかするとその時から、柏木の中で事件は始まっていたのかもしれない。

同期の友情が“執着”へと変質した経緯

柏木の中には、確かに名波への尊敬があった。

しかし、それは“正の感情”では保ちきれない。

尊敬が羨望に変わり、羨望が嫉妬に染まり、やがてそれは“執着”となる。

柏木は、名波のようになりたかった。

けれど、なれなかった。

だからこそ、せめて名波に「勝ちたかった」。

警察という舞台に行った名波に対し、金融知識と株のスキームで勝つ。

それが、彼なりの“リベンジ”だった。

しかも、名波が病院で寝込んでいるタイミング。

ある意味、それは柏木にとって「絶好のチャンス」でもあった。

けれど、感情というのは計算どおりにはいかない。

病室に来てまで煽ったのは、「勝利」を見せつけるためだけではない。

どこかで、「もう一度、俺たち二人でやり直したい」という、哀しみに似た感情があったのかもしれない。

柏木はゲームを設計し、名波に“解かせた”かった。

名波が動けない状況だからこそ、彼は名波の頭脳だけに挑戦した。

──あいつならきっと気づく。

──あいつだけには俺の動機が届く。

そう信じていたからこそ、柏木は“破綻”を織り込んだ。

完璧な犯行は、名波に届かない。

だからこそ、柏木はどこかで“捕まる覚悟”すらしていた。

それは、もはや復讐ではない。

ただ、愛にも似た承認欲求の果てだった。

人は誰かを越えたくて、誰かに認められたくて、時に道を踏み外す。

そしてその物語が、どこかであなたの人生にも繋がっている気がして、胸がざわつく。

「頭がいいのか悪いのか」人間味あふれる犯人像

「なんでそんなことしたの?」

事件を振り返ったとき、視聴者の多くがそう呟いたはずだ。

誘拐。窃盗。株価操作。緻密な犯罪計画を立てながら、“たった一言”で、すべてが崩れた。

それが柏木亮太という男の“限界”であり、“人間味”だった。

動画を撮り、宣戦布告までした柏木の心理

名波が病床で苦しんでいるとき、柏木はスマホを向け、動画を撮った。

それだけではない。その動画を、かつての同僚たちに送った。

ここに“勝ち誇った犯罪者”の顔が浮かぶ。だが、よく見れば、その目は笑っていない。

彼は何を撮っていたのか?

名波の苦しむ姿を、勝利の証として? それとも、自分が“まだ彼のそばにいる”ことを見せたかった?

もっと言えば、自分の存在を忘れてほしくなかったのではないか。

「こんな時に…」

あのセリフに滲むのは、計画のズレに対する苛立ちと同時に、“本当は名波と向き合いたかった”という渇望だった。

その後、彼は見舞いに来て、名波に挑戦状を叩きつける。

礼儀も建前もない、まるで最終戦争の始まりのような対話。

だが、あまりに感情が漏れていて──もう、負けは始まっていた。

計算と感情が入り混じった“リアルな綻び”

柏木は頭が良い。金融スキーム、株価の操作、警備会社の裏をかくセキュリティ侵入。

一連の犯罪を見れば、それは明らかだった。

だが、計算できなかった。

──感情のノイズ。

“完璧な犯人”に必要なのは、「心を殺すこと」だ。

柏木は、それができなかった。

名波に勝ちたくて。認められたくて。見ていてほしくて。

その感情が、“設計”を狂わせる。

動画、言葉、接触、挑発……すべてのノイズが、彼の完璧な計画に「綻び」となって現れた。

そしてそれこそが、今回の事件が“ただの犯罪”ではなく“物語”として胸に残る理由だ。

犯人が完璧じゃなかったから、私たちは彼に揺さぶられる。

「やらなければよかったのに」

「誰か止めてやれなかったのか」

そんな言葉が、心にこだまする。

そして私たちは気づく。

本当のサイコパスは怖くない。

怖いのは──柏木のように、どこかにいそうな“綻びを抱えた人間”だ。

人間の弱さ、寂しさ、そして認められたいという痛み。

それが暴走すると、善悪の境界は簡単に溶けていく。

だからこそ、柏木亮太は“頭がいいのか悪いのか分からない”という形で、深く脳裏に残る。

株価操作という“知能犯”の裏で動いた闇バイト

事件の根っこにあったのは「金」だ。

それもただの現金じゃない。株価。市場。仕手筋。情報戦。

今回の柏木亮太の犯行は、表面だけ見れば感情的な復讐に見えるが、その奥には冷徹な「マネーゲーム」が仕組まれていた。

それは、まさに“犯罪を投資戦略として実行する”という異常な構造だった。

狙いは株価暴落と空売りでの大金獲得

柏木がターゲットにしたのは、自身がかつて担当していた諸星警備保障。

この企業の株を空売りし、その後、誘拐・窃盗事件を起こして「株価を暴落させる」

その瞬間に買い戻せば、何十億という利益が転がり込む。

一見、“犯罪の副産物”としての金銭目的かと思わせて、実はマネタイズが軸にある。

犯罪と経済操作が結びついたとき、事件はただの刑事ドラマの枠を飛び越える。

そこには“善悪”では裁ききれない世界が横たわっている。

柏木は警備システムを破壊させ、諸星社長を誘拐し、世間に混乱をもたらした。

だがそのすべては、「株を売るタイミング」と「世間の信用を揺るがす順番」まで計算された設計だった。

そう、彼は“証券マン”のスーツを脱ぎ捨てても、ずっと金融の亡霊に取り憑かれていたのだ。

実行犯はすべて外注化、犯罪の分業制が進む

そして、もっと恐ろしいのは──

柏木自身が「誘拐」も「窃盗」も、自らの手を汚していないという事実だ。

彼はすべてを“外注化”した。

闇バイト。SNSや裏掲示板で集めた実行犯たちに、犯罪のパートだけを任せた。

自分は「裏で見ている」だけ。

それはまるで、企業の“CEO”が事業計画を立て、現場は部下が動かすような構造。

今や、犯罪も“分業と戦略の時代”に突入している。

柏木はその“モデルケース”として、あまりにもリアルだった。

誘拐という暴力のイメージが、実際には「スーツ姿の男」の頭の中から始まっている。

その構造が、視聴者の背筋を凍らせる。

しかも、彼は「直接手を下していない」ことを、きっと法廷で武器にする気だった。

自分は指示していない。知らなかった。勝手にやられた。

責任の所在を曖昧にしながら、“ギリギリ”のラインで立ち回るつもりだったのだろう。

だが、計画が破綻した理由は明白だった。

自分で動画を撮り、言葉を漏らし、会いに来た。

柏木の感情が、全ての証拠になってしまった。

どれだけ計算しても、人間は「感情」には勝てない。

それは皮肉にも、最も人間的で、最も悲しい事実だった。

名波は“動けない探偵”としてどう機能したか?

「名波が入院していなかったら、柏木は捕まらなかったかもしれない」

そんな皮肉にも似た言葉が、伊垣の口から漏れた。

警察ドラマの常識をひっくり返すように、今回、名波凛太郎は“動けない探偵”として事件の真相に迫った。

現場にも出ず、指揮も執らず、病院のベッドから電話をかけるだけ。

それでも彼の推理は、すべてのピースをつなぎあわせていった。

そこには、“フィジカルではなく、思考で勝つ”というもうひとつの戦い方があった。

虫垂炎という偶然が事件解決を左右した

名波は虫垂炎で倒れ、強制的に現場を離脱した。

普通ならこれは戦力ダウンだ。刑事ものにおいて“動けない主役”は致命的。

だが、ここでこの偶然が事件の構図をズラした。

柏木の計画には“名波がいないこと”が組み込まれていた。

逆に言えば、名波が“寝ている状態で動けない”からこそ、彼は油断した。

あの動画を撮り、見舞いに現れ、挑発の言葉を残していく。

だがその全てが、名波の頭の中では“逆算”されていく。

柏木の行動が、彼の目的と動機をすべて語っていた。

まるで、謎解きの手順を“自分から教えに来た”ようなものだった。

動けなかったからこそ、見えた。

感情、間合い、言葉のニュアンス。

それは身体が自由だったら、見過ごしてしまったかもしれない“微細な綻び”だった。

病室の中で真相にたどり着いた“静の捜査”

「彼の狙いは株価操作だと思います」

名波が病室から伊垣にかけた一本の電話。

あの時点で、彼の中では“犯人像”が明確になっていた。

情報の断片をつなぎ、柏木の過去と重ね、現状と照合し、そして一つの結論へ。

その推理力は、まるで戦場にいないスナイパーのようだった。

どこか安全な場所から、しかし鋭く正確に“核心”を撃ち抜く。

名波が見たのは、証拠ではなく「動機」だった。

同期として、長く近くにいたからこそ、柏木の“性格”と“弱さ”を知っていた。

「彼がやりそうなこと」ではなく、「彼にしかできないこと」にフォーカスした。

そして決定的だったのは、名波が“柏木を信じた”という視点だ。

最初から殺人などできるわけがないと断じ、真の実行犯は別にいるはずと考えた。

この“信頼から始まる推理”が、彼を導いた。

それは警察官としての視点ではなく、“かつての友”としての理解だったのかもしれない。

こうして名波は、病院という“檻の中”で、事件の中心に最も近づいた。

見舞いに来た男の表情、言葉、沈黙、すべてを観察し、彼は一人で“たどり着いた”。

動けない主役が、最も動かしたのは、他人ではなく、真実だった。

バーチー(千葉雄大)の怪演が光った6話

6話のラストカット、柏木が逮捕される瞬間。

顔には汗、口元は引きつり、視線だけが“まだ名波を探している”。

この瞬間、私たちはようやく理解する。

千葉雄大はもう「かわいい」だけの俳優ではない。

それどころか、彼にしかできない「壊れ方」がある。

そしてこの回は、そのすべてを証明するための45分だった。

「かわいい」の脱皮、演技派としての覚醒

千葉雄大には、長らくつきまとうイメージがあった。

「童顔」「柔らかい雰囲気」「どこか中性的」

それは武器であると同時に、“型”にもなっていた。

けれど、第6話の柏木役では、その「かわいい」を土台にしながらも、まったく違う光を放っている。

序盤の名波との会話。笑顔は崩さず、しかし目が笑っていない。

「退院しろよ」と言う声には、軽さの奥に棘が潜んでいる。

この“温度差のある芝居”が、観る者の胸をザラつかせる。

可愛さがあるからこそ、狂気が映える。

これが、演技派としての千葉雄大の“真骨頂”だ。

明るい仮面をつけたまま、地獄へと進んでいくキャラクター。

この難役を、彼は決して“演じている感”を出さずにやってのけた。

壊れていく男を魅せる芝居がすごすぎる

柏木は、完璧な犯人ではなかった。

詰めが甘く、感情が漏れ、言葉が綻び、最後には罠にかかる。

だがこの“壊れていく過程”が、あまりにもリアルだった。

芝居で“狂気”を出すとき、俳優は往々にして声を荒げる。顔を歪める。派手に動く。

だが、千葉雄大は違った。

彼は声を落とし、微笑んだまま、沈んでいく。

その姿が、むしろ恐ろしい。

電話で「諸星を殺せ」と告げる声。淡々としていて、感情が見えない。

だからこそ、余計に怖い。

観ている側は、「この人はどこまで本気なんだろう」と距離感を見失っていく。

それはまるで、感情の地雷を見失ったまま地面を歩かされている感覚だ。

そして、逮捕の直前。

あの表情──混乱、怒り、悲しみ、そしてどこか“ホッとしたような顔”。

すべてを出し切った人間の顔だった。

千葉雄大が演じた柏木は、犯罪者ではある。

でも同時に、“誰かを羨ましがるだけの男”でもあった。

その哀しみが、観終わった後もしばらく心に残り続ける。

つまり、それは演技じゃない。

“体験”として届いてしまった芝居。

この回を観て、彼の名前をもう一度言いたくなった。

バーチー、すげぇな。

エンケン×相葉×松下奈緒の三角関係が進展

ドラマは事件を追う。

でも視聴者は、事件の合間にチラつく“人間関係の火花”を見逃さない。

「大追跡」第6話で、捜査線とは別のところで静かに進行していたのが、伊垣(大森南朋)×名波(相葉雅紀)×青柳(松下奈緒)による“三角関係の微熱”だった。

恋愛ドラマじゃない。なのに、どこかで視聴者の心をくすぐってくる。

この人間模様の妙が、作品全体の温度をゆるやかに上げてくる。

伊垣と青柳、元夫婦のいがみ合いの限界?

この二人、もともと夫婦だった。

今は“元夫婦”としてSSBCで顔を突き合わせている。

一緒に仕事をするたびに、噛みつき合い、否定し合い、でも絶妙な呼吸がある。

まるで長年使ったスニーカーのように、擦り切れてるけど、履き心地は悪くない。

6話では特にその“いがみ合い”が目立った。

「あんたの感情論はもう聞き飽きた」と言い捨てる青柳に、伊垣は「お前のその決めつけ癖がムカつくんだよ」と返す。

この応酬、まるで熟年夫婦の食卓のよう。

ただ、そろそろ限界かもしれない。

事件のたびにいがみ合ってる場合じゃない。

捜査本部の空気がピリつく中、少しずつ周囲もその関係に気づき始めている。

このままじゃ、事件より先に“人間関係の破綻”が起きかねない。

でも視聴者の一部は、こう思っている。

──もう、くっついちゃえば?

事件と関係ないところに垣間見える人間模様

一方の名波は、伊垣からも青柳からも信頼されている。

特に伊垣にとっては、「期待のホープ」「弟分」のような存在。

虫垂炎で入院した名波のもとに、事件の情報を逐一届ける伊垣の姿には、“過保護な兄”の匂いがする。

青柳にとっての名波はどうか?

言葉少なに見守っているが、その目線はどこか“個人的な好意”すら漂わせている。

つまり、今このチームには、名波を中心に“静かな三角形”ができつつある。

面白いのは、誰もそれを言葉にしないところだ。

あくまで仕事。捜査。職務。

でも、ふとした言葉の棘や、少し長い沈黙に、それぞれの感情が滲む。

この微妙な距離感が、事件の張り詰めた空気とはまた別の“感情の緊張”を生んでいる。

ドラマの“骨”はサスペンスかもしれない。

でも“血”を流しているのは、こうした日常の人間模様だ。

そして、その中心にはいつも名波がいる。

誰からも信頼され、距離を置かれ、同時に近づかれていく。

彼の存在が、このチームの“温度”を保っている。

「あいつはプライドの塊だった」──原の言葉が刺さる理由

柏木亮太という男は、名波凛太郎に向けて事件を仕掛けた。

だが、その裏で静かに揺れていたのが、原恭平という第三者の視線だった。

かつての同僚。名波とも、柏木とも、ちょうど中間にいた男。

その原が口にした一言──

「お前は知らないだろうけど、あいつはプライドの塊だった」

このセリフは、単なる説明じゃない。

これは、原自身が“柏木の崩壊”に気づいていた証言だ。

同期の“温度差”は、なぜ悲劇を生んだのか

名波は柏木を「ライバルじゃなかった」と言った。

だが、柏木は名波を“倒すべき存在”だと思っていた。

このズレは、どこから生まれたのか。

そしてそれを一番近くで見ていたのが、原だった。

きっと原には見えていた。

表では冗談を言いながらも、柏木が名波に見せる“張り合いの目”を。

どんなに仕事で勝っても、どこかで名波の“人としての信頼”に追いつけない自分を、柏木自身が分かっていたことも。

原の中では、事件の序盤から答えが見えていたのかもしれない。

でも、それを言えなかった。

友達だったから。

そして、その距離感の曖昧さが、事件を止められなかった理由でもある。

名波の“鈍さ”は、罪かもしれない

この第6話で、名波は名探偵として輝いた。

けれど、人としてはどうだっただろうか。

柏木が、原が、かつての同僚たちがどんな感情を抱えていたのか──

名波は、それに気づけていなかった。

純粋で、誠実で、誰よりも正義感が強くて。

でもその“まっすぐさ”が、誰かの歪みを浮かび上がらせてしまう。

柏木にとっては、「名波が眩しすぎた」のかもしれない。

原にとっても、「名波が正しすぎた」のかもしれない。

そうやって、名波の“無自覚な光”が、周囲に影を作っていく。

この構図、ちょっと切ない。

正しい人が、知らないうちに誰かを壊してしまう。

でも、それが現実だ。

そういうドラマだった。

「大追跡 第6話」誘拐ゲームと犯人の心の穴を見抜くまとめ

誘拐という「事件の構図」に、株価操作という「金のスキーム」、そして友情から執着へと変質した「感情のねじれ」。

第6話の『大追跡』は、ただの犯罪ドラマでは終わらなかった。

“心の穴”に焦点を当てた、痛みを伴う物語だった。

犯人・柏木亮太は、ただ頭が切れるだけの知能犯ではない。

彼は人間だった。誰かに認められたくて、もう一度勝ちたくて、愛されたくて、暴走した人間だった。

だからこそ、完璧に見えた犯罪に“ほころび”があった。

そしてそのほころびこそが、名波に拾われ、事件は解決へと向かった。

今回、病室から動けなかった名波は、“静の探偵”として機能した。

動けなかったからこそ見えた、柏木の言葉、感情、そして過去。

この“行動しない捜査官”が真相を見抜く構図もまた、今作がただの刑事ドラマでないことを証明している。

さらに言えば、千葉雄大の芝居が、この物語に「余白」と「悲しみ」を与えた。

狂気を叫ぶのではなく、静かに滲ませる。

この静けさが、逆に観る者の心を深くえぐる。

6話は、一見すれば“事件の回”。

でも実際は、“人間の心の綻び”にそっと指を差し込む回だった。

プライド、嫉妬、友情、敗北。

それらが重なり、静かに崩れていくさまを、私たちはただ見ていることしかできなかった。

そして、どこかで思ってしまう。

──こんな柏木みたいな人、現実にいる気がする。

だからこそ、この回はフィクションを超えて“現実の痛み”を背負っていた。

心を抜かれたような、余韻だけがあとを引く。

それが「大追跡 第6話」だった。

この記事のまとめ

  • 誘拐事件の裏にある株価操作という知能犯の戦略
  • 柏木亮太の動機は復讐と名波への執着心
  • 名波は病床から推理し“静の探偵”として活躍
  • 千葉雄大の怪演が「壊れていく男」を体現
  • 柏木の感情の綻びが計画を破綻させた鍵
  • 元夫婦・伊垣と青柳の関係に見える人間模様
  • 原の証言が描く、第三者から見た柏木の本音
  • 名波の“鈍い正しさ”が周囲を無意識に傷つけた構図

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